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夜中の2時半に

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夜中の2時半に

夜中の2時半、私は眠れぬまま天井を見つめていた。明日も忙しいから、早く寝ないとと思うけれど、どうしても眠れない。携帯を手に取り、SNSをスクロールしながら、ふとリビングの方に目を向けると、愛する家族がいた。ソファに深く腰掛け、何やら甘いものを食べながらテレビを見ている妻と、隣でスマホをいじっている娘。

「お母さん、タピオカミルクティーが飲みたい。」

突然、娘の声が響いた。目を覚ましたわけではないけれど、寝かしつけてからもうずいぶん経つし、心のどこかで今夜は眠れるかなと思っていた。だが、その一言で目が覚めてしまった。

「今、タピオカミルクティーが飲みたい?」

私は驚きながら、ふと時計を確認する。夜の2時半。それもそのはずだ。娘は普段、夜遅くにお菓子を食べることはないのに、何故か今は、夜中のこんな時間にタピオカミルクティーが飲みたくなったという。

「うーん、なんで今、タピオカミルクティー?」

「なんとなく。」

「でも、こんな時間にコンビニやってるかな?」

私は言いながら、考え込んだ。確かに、私が住んでいる場所は便利なところにあるが、こんな時間にタピオカミルクティーを扱っているコンビニがあるかはわからない。しかし、何か知らないが、私はすぐに立ち上がってしまった。

「いいよ、ちょっと行ってくる。タピオカミルクティーくらい、探してきてあげるから。」

妻が少し驚いた様子で顔を上げる。

「え? こんな時間に?」

「だって、欲しいんでしょ? それに、まだ寝られそうにもないし。」

そう言うと、私はリビングから出て、玄関でジャケットを羽織った。夜中に家を出るのは久しぶりだが、娘が喜ぶ顔が見たい、そしてそのためならなんだってするつもりだと思った。

「気をつけてね。」

妻が心配そうに見送ってくれるが、私は笑って手を振った。

「大丈夫、すぐ戻るよ。」



まず最初に向かったのは、家から歩いて5分のところにある24時間営業のコンビニだった。入ると、冷たい夜風が私を迎え、明かりの下に並ぶ商品が妙に静かに見えた。お客さんもいないので、静かな店内を少し歩きながらタピオカミルクティーを探す。しかし、見当たらない。

おそらく、この時間にはもうタピオカミルクティーなんて置いていないだろうと思いつつ、店員に聞いてみる。

「すみません、タピオカミルクティーってありますか?」

店員は少し考え込み、首を振る。

「申し訳ありません、こちらでは置いていません。」

一瞬、落胆の気持ちが胸に広がった。だが、私はすぐに気を取り直して頭を切り替えた。この街にはもう一軒、24時間のコンビニがある。

「わかりました。ありがとうございます。」

お礼を言って店を出ると、寒さが一層身に染みる。だが、次の店に向かうためにすぐに歩き出した。



次に向かったのは、歩いて10分ほどのところにある、少し大きめのコンビニ。入り口のドアを開けると、今度は少し賑やかな雰囲気だ。店員さんが数人忙しそうに動き回っており、商品の棚にはいろいろな種類のお菓子やドリンクが並んでいた。

タピオカミルクティーのコーナーを探しながら歩くが、やはり見当たらない。

「あの、タピオカミルクティーありますか?」

私は再度、店員さんに尋ねた。店員さんは、こちらも少し考えてから答える。

「申し訳ありません、うちには置いてないですね。」

少しがっかりしたが、またもや気を取り直して次のコンビニへ向かう決意を固めた。

「ありがとうございました。」



最後に行くコンビニは、家からさらに歩いて15分ほどのところにある小さな店舗だ。ここならもしかしたら、と思った。しかし、時間が遅く、店の中には人がほとんどいない。

店内をゆっくり歩き、冷蔵庫の飲み物の中にタピオカミルクティーを探す。少し奥まった棚にようやく、見覚えのあるパッケージを見つけた。

「ありました!」

私は心の中でガッツポーズをし、手に取ると、レジに向かった。店員さんは眠そうに見えたが、愛想よく対応してくれた。

「ありがとうございました。」

「ありがとうございます!」

家に向かう途中、少しだけ顔がほころぶのを感じた。こうして手に入れたタピオカミルクティーを娘に渡したとき、どんな顔をするのだろう。娘は、きっと嬉しそうに笑ってくれるに違いない。



家に帰り、リビングに戻ると、妻と娘がまだソファに座っていた。私は少し息を切らしながら、タピオカミルクティーを差し出す。

「お待たせ、見つけたよ。」

「おお、ありがとう!」

娘は目を輝かせてタピオカミルクティーを受け取る。その瞬間、私の心の中に温かいものが広がった。疲れた体でも、家族が喜んでくれるなら、どんなに遠回りしてもそれが報われると感じた。

「お母さんも一緒に飲んでいい?」

妻が微笑みながら聞くと、私はうなずいた。

「もちろん。」

そして、家族全員で夜中の2時半に、タピオカミルクティーを楽しんだ。夜空には星が瞬いていたが、家の中は、どこか穏やかな温かさに包まれていた。






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