「俺は小説家になる」と申しております

イケメンハーレムを作ってみた

イケメンハーレムを作ってみた

「イケメンハーレム…それって、どうやったら作れるんだろう？」

友人たちの前で、何気なく口にした言葉が発端だった。彼らはまさか本気にするとは思わなかったのだろう。しかし私はその日から密かに、私だけの「イケメンハーレム計画」をスタートさせることに決めた。

まずは、対象となるメンバー探しから。大学のクラスメイト、アルバイト先、カフェの店員、SNSで偶然繋がった人…ちょっとした縁を頼りに、自分の周りのイケメンたちをリストアップしていった。

選出基準は、「イケメン」だけではなく、性格や趣味、話しやすさも重要だ。外見だけでなく内面も光る人たちを集めてこそ、理想のハーレムが完成する。私はリストに載せた彼らと少しずつ関係を築くことに専念した。

ハーレムの第一人者となったのは、同じゼミの佐藤くん。端正な顔立ちと穏やかな性格で、話しやすく親しみやすい。彼には、他のメンバーへの紹介役も兼ねてもらうことにした。次にアルバイト先の先輩である木村さん。彼はクールで寡黙だが、芯の強い魅力がある。

しばらくして、カフェの店員である田中くんも加わった。彼は爽やかで明るく、話していると気分が明るくなるタイプだ。さらに、SNSで偶然繋がった外国人留学生のマークも仲間入り。彼のエキゾチックな雰囲気は、ハーレムの「異国のスパイス」として完璧だ。

彼らと日々、何気ないメッセージや時々のグループチャットで交流を重ねていくうちに、それぞれのキャラクターが徐々に私の日常に溶け込んでいった。

ある日、私は思い切って彼ら全員に同時にメッセージを送ることにした。

「ねえ、今度みんなで集まらない？それぞれと話しているのも楽しいけど、みんな一緒の方が絶対楽しいと思うんだ！」

驚いたことに、全員が快諾してくれた。その週末、カフェで彼らとの初めてのグループ集合が実現した。最初はぎこちなかったが、時間が経つごとに皆がリラックスし始め、まるで旧知の仲のように打ち解けていった。

佐藤くんが率先して話を回し、木村さんが鋭いツッコミを入れる。田中くんは気さくに場を盛り上げ、マークが独特のユーモアで皆を笑わせた。ふと気づくと、私は彼らの間にいることが心地よく、楽しくて仕方がなかった。

ハーレムと聞くと、どうしても異性関係や恋愛が絡んでいるようなイメージがつきまとうが、私にとってのハーレムは少し違っていた。私は彼らと友情を築きたかったし、それぞれが私の大切な友人になっていくのが嬉しかった。

それでも、少しのドキドキがなかったわけではない。例えば、田中くんが不意に「今度二人で出かけない？」と誘ってきたときや、佐藤くんが真剣な顔で「お前って、意外と頼りになるよな」と言ってくれたとき、心が跳ねるのを感じた。

そんなちょっとした胸の高鳴りを楽しみながら、彼らとの関係は穏やかに深まっていった。

しかし、ある日事件が起きた。大学の講義が終わった後、私は佐藤くんと食事に行く予定だったが、思いがけず木村さんと田中くんも同じ店に現れたのだ。偶然にしては出来過ぎている。お互いに気まずい空気が流れた。

「もしかして、君って複数の男子と友達なのか？」田中くんが冗談めかして言ったが、その瞳の奥には少し戸惑いが見えた。

一瞬言葉に詰まったが、私は笑顔で応えた。「そうだよ、みんな友達だもん。それに、友達が多いって楽しいじゃない？」

彼らも一瞬驚いた様子だったが、やがて笑顔を見せた。その場は無事に収まり、再び和やかな雰囲気に戻った。

結局、私のイケメンハーレム計画は、特別な恋愛感情を伴うものにはならなかった。しかし、何でも話せる気の置けない友人たちが増えたことは、私にとって大きな宝物となった。彼らとの時間が日々の支えとなり、時には励まし合い、時には一緒にバカなことをすることで、お互いの絆はさらに深まっていった。

「イケメンハーレム」という名前は、もう私たちの間で笑い話になっている。しかし、それでも私たちの絆は確かなものであり、これからも続いていくのだと信じている。

いつか誰かが恋人を作って別々の道を歩んでも、この特別な時間があったことを、私は決して忘れないだろう。