「俺は小説家になる」と申しております

春秋花壇

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立ち上がる力

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 「立ち上がる力」

彼女の名前は、真由美。大手商社の営業部で働いている。社内でも有能と評判だった真由美は、次々と結果を出し、ついには大手クライアントを担当するプロジェクトリーダーに抜擢された。若くして責任のあるポジションを任され、将来を嘱望されていた彼女だったが、ある日、突然の悪夢のような出来事が彼女を襲った。

納品目前のプロジェクトで、信頼していたサプライヤーが突如契約を破棄。しかも、代わりのサプライヤーもすぐには見つからない。納期は刻一刻と迫っている。さらには真由美の会社のミスではないものの、クライアントに与える信頼の損失は計り知れない。彼女の頭の中は、激しいストレスと不安でぐるぐると渦を巻いていた。

だが、真由美はすぐに机に戻り、書類を一つ一つ見直しながら、新しい解決策を模索し始めた。息苦しくなりそうなほどのプレッシャーを感じながらも、彼女は知っていた。今こそ「レジリエンス」、つまり柔軟な適応力と精神的な回復力が試される時なのだと。

「大丈夫。必ず何か方法があるはず。」真由美は自分に言い聞かせた。彼女はパニックに流されることなく、他のサプライヤーに急ぎ当たってみることにした。何社も断られ続けながらも、決して諦めない。彼女は、信頼のおける協力先を求めて、休日も返上して動き回り、問い合わせを続けた。

数日後、ようやく応じてくれる業者が見つかった。しかし、次に彼女を待っていたのは、予定していた予算の大幅な超過だった。通常の契約よりも急ぎのため、見積もりは高騰してしまったのだ。彼女はプロジェクトの継続が不可能なように思われる中、上司と何度も相談し、取引先との交渉を重ね、ようやく妥協点を見出すことができた。

その後、真由美は厳しいスケジュールをチームで共有し、細かなタスクに分けて効率的に進めるよう指示を出した。リーダーとして常にチームを励まし、サポートする真由美の姿勢に、同僚たちも最後まで諦めることなくプロジェクトに尽力してくれた。クライアントからは怒りや失望の声も寄せられたが、彼女は一つ一つ丁寧に対応し、誠意を尽くして説明した。

そして納期の日、真由美たちはぎりぎりの時間でプロジェクトを無事に完了させることができた。すべてが終わった後、真由美は会社の休憩室で、やっと肩の力を抜いて深く息をついた。その瞬間、今まで感じていた重圧が一気に解放され、彼女の目にはうっすらと涙が浮かんだ。

しかし、彼女はこの経験が自身の成長につながったと確信していた。レジリエンスとは、単に困難を避けることではなく、それに立ち向かいながら自分の力で乗り越える力。どんなに厳しい状況でも、冷静に解決策を模索し、前に進む勇気を持つことだと。

数週間後、真由美はクライアントから直接感謝のメールを受け取った。彼らも、彼女の誠実な対応に感銘を受け、今後も信頼関係を続けたいとのことだった。そのメールを読みながら、真由美は新しい自信が芽生えるのを感じた。

「あの日、あの瞬間にあきらめていたら、今の自分はなかったかもしれない…」

彼女の胸には、また新たなプロジェクトへの挑戦意欲が満ちていた。






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