「俺は小説家になる」と申しております

春秋花壇

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あの光は何?

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あの光は何?

黄昏時、街の片隅にある図書館の一角で、ミキは古い天体図を広げていた。小さな光が、彼女の心に静かに呼びかけているようだった。「あの光は何?」と彼女はつぶやく。夢中になっていた星の配置を見つめると、太古の時代からの運命を引き寄せる何かを感じる。彼女の目は、宇宙の広がりに引き寄せられ、心は未来へと旅立っていた。

その時、頭の中に浮かんだのは彼のことだった。遥か昔、彼と一緒に見上げた夜空の星々。彼は「宇宙は僕たちを見守っている」と言っていた。その言葉が、今でも彼女の心の中で響いている。彼との思い出を辿りながら、彼女は静かに思い出す。

「君は何をしているの?」彼が去ってから何年も経つ。彼のいない日々は、まるで暗い宇宙の中を漂う惑星のようだった。風の便りも届かず、彼の存在は薄れていくばかり。けれども、彼との絆は、心の奥深くで揺らめいているのを感じる。

「太陽を待ち焦がれているのかもしれない」と彼女は思う。愛のメッセージは、何万光年も先にいる彼に届いているのだろうか。彼女の心に秘めた思いは、星の煌めきとして空に浮かんでいるかのようだった。

黄昏の図書館での時間は静かに流れ、ミキは新しい小説を執筆することにした。彼との再会を願いながら、過去を振り返るのではなく、未来を描くことに焦点を当てた。彼女は、「これからどうなるかは分からないけれど、光は見える」と自分に言い聞かせた。

物語は、涼介という名の主人公が過去のトラウマを抱えながらも、未来への希望を探し続ける話に決まった。彼の成長や葛藤を描くことで、ミキは自らの心の中の光を見つけ出そうとした。「何を描き直したいのか?」と自問自答しながら、彼女はペンを走らせる。

時は流れ、物語が形になっていく。涼介が出会う人々や、彼の心の変化を描くことで、ミキは自らの心の声を反映させていった。彼女は「この人生はやり直したい声に満ちている」と感じながら、星の煌めきを思い出した。彼との再会が叶わないとしても、彼の存在は彼女の中で生き続けるのだ。

ある晩、彼女は再び図書館に足を運び、星を見上げた。夜空には数え切れないほどの星が輝いていた。その中の一つが、彼のように感じられた。彼は、遠い宇宙から彼女を見守っているのかもしれない。

「見える?あの星、あの光は何?」彼女は一人、星に問いかける。その瞬間、彼女は自らの心に光が戻ってくるのを感じた。未来がどうなるかは分からないけれど、彼との思い出と新しい物語が彼女を導いてくれる。彼女は、夜明けを迎えるまでの夢の中で、彼と再び巡り会えることを信じていた。

「夜明けまでは夢よ、覚めるな」と心の中で呟きながら、ミキはペンを置いた。彼女の物語が、新しい希望の光を放つことを願いながら。宇宙の広がりの中で、彼との絆は永遠に続いていくのだから。






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