「俺は小説家になる」と申しております

終わりの歌

「終わりの歌」

夜のカラオケボックス。店内にはポップな音楽が流れ、たくさんの人たちが楽しんでいる。そこにひとりの女子高生、あかり（仮名）が静かに座っていた。彼女は、周りの騒がしさから離れて、自分の世界に没頭しているようだった。彼女の手にはスマートフォンがあり、画面には「メンヘラ写真」と題された画像が次々とアップされていた。

あかりは、空虚な気持ちを紛らわせるために、こうして写真を撮ってSNSにアップすることで自己表現をしていた。今日も彼女は、少し怖い表情で鏡に映った自分の姿を撮り、その写真を「悲しい夜」とともに投稿した。

「誰か、私を助けてほしい…」

その夜、あかりはSNSで知り合ったおっさん、たけし（仮名）にメッセージを送った。彼は、あかりのメンヘラ写真を見て、彼女に対する興味を持っていた。これまでの彼は、無邪気な感情で返信していただけだったが、あかりの悲しいメッセージに応じて、彼は自分の感情が少しずつ変わっていることに気づいていた。

「迎えに来てほしい。」

その言葉を見て、たけしは混乱しながらも、あかりの頼みに応じることに決めた。彼は、あかりの住所を聞いて、深夜のドライブを始めた。彼の心には不安と好奇心が入り混じっていた。

到着したのは、古びたマンションの一室だった。あかりは扉を開け、彼を迎え入れた。部屋の中は、彼女の悲しみを象徴するかのように暗く、雑然としていた。たけしは、自分の判断が間違っていたのかもしれないと感じたが、彼女を放っておくわけにはいかないと思っていた。

「何かあったのか？」たけしは心配しながら聞いた。

あかりは静かに微笑み、テーブルの上にあった薬の瓶を指差した。「これを見て…」

たけしは驚きのあまり言葉を失った。薬の瓶には、多量の錠剤が入っており、それを見たとき、彼の心に恐怖が広がった。あかりは、自分の心の痛みをこれで和らげようとしているようだった。

「これを飲んで、もう苦しまないでいいんだ…」

たけしは慌てて、あかりを止めようとしたが、彼女はすでに薬を口にしていた。彼の手が震え、彼は彼女の行動を止めることができなかった。彼はすぐに救急車を呼ぶことにしたが、あかりは意識を失ってしまった。

救急車が到着する前に、あかりの命はすでに尽きていた。たけしは、彼女が亡くなってしまったことに衝撃を受け、何もできなかった自分を責めた。彼はその場を逃げるように立ち去り、数日間は何も言わずに過ごしていた。彼の中には、後悔と罪悪感が渦巻いていた。

しかし、警察からの連絡が入り、たけしは未成年者略取の容疑で追われることになった。彼は逃げ回りながらも、深い罪悪感に苛まれ、自分が何をしてしまったのかを真剣に考えることになった。

数週間後、たけしはついに警察に自首し、逮捕された。彼の心の中には、あかりの無惨な死を思い出し続ける日々が続いていた。彼は、自分の行動がどれほど危険であったかを理解し、悔い改めるしかなかった。

この事件は、SNSでの出会いがどれほど危険であるか、そして他人の問題に対してどう対処すべきかを考えさせるものだった。メンヘラの助けを求める声には、慎重な対応と理解が必要であることを、社会全体に強く訴えかけるものであった。

彼は、自分の行動の結果を深く反省し、今後は誰かを助けるために、より慎重に行動することを誓った。社会に対する影響と自分の罪を償うために、彼はその後も努力を続けることとなった。