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書いても書いても点数が低いの><
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書いても書いても点数が低いの><
「俺は小説家になる」と申しております
「また低い……」
パソコンの画面を見つめながら、俺はため息をついた。24時間ポイントが更新されるたびに、心が重くなる。448pt。今月はそれなりに書いたつもりだったのに、この数字だ。ランキングは2,774位。190,489件中の順位としては悪くないはずなのに、どうにも心が晴れない。
「俺は小説家になるって決めたんだ。なのに、これじゃ一生叶わないのかもな……」
俺は椅子にもたれかかり、天井をぼんやりと見つめる。書けば書くほど、文字数は増えるのに、評価は上がらない。それどころか、お気に入りの数も増えていない。初回公開からずっと同じペースで更新を続けてきたのに、結果は芳しくない。
「何がいけないんだろう……」
ふと、キッチンからの音で我に返った。妻のアヤが夕飯の支度をしている音だ。彼女はいつも俺の挑戦を支えてくれている。文句ひとつ言わず、ただ淡々と家事をこなし、俺の小説を書く時間を作ってくれる。その姿を見ると、ますます自己嫌悪に陥る。
「こんなに応援してもらってるのに、俺は……」
書き始めた頃は、何もかもが新鮮で楽しかった。アイデアが溢れ出し、物語がどんどん形になっていく感覚が心地よかった。しかし、今では毎日が苦痛だ。読まれないのなら、書く意味なんてあるのだろうか。
「もう辞めたほうがいいのかな……」
そう呟いた瞬間、アヤがキッチンから顔を出した。
「どうしたの?」
「いや、なんでもないよ」
「またポイントのこと?」
俺の顔を見ただけで、彼女はすべてを察してしまった。ため息をついている俺を見るのも、もう慣れてしまったのだろう。彼女は静かにこちらに近づき、椅子の横に立った。
「いつも頑張ってるの、私にはわかってるよ。でも、自分の価値を他人の評価で決めつけないで」
アヤの言葉に、一瞬だけ心が軽くなった。だが、現実の数字が突きつける事実は変わらない。
「でもさ、結果が出ないと意味がないんだよ。どんなに書いても、誰にも読まれなかったら意味がないじゃないか。俺は小説家になるって決めたのに、このままじゃ夢も叶わない」
アヤはしばらく俺を見つめていたが、やがて優しく微笑んだ。
「結果がすぐに出るなんて、思ってないよ。結果よりも、書き続けることが大事なんじゃないの?」
彼女の言葉は単純だが、的を射ている。確かに、書き続けることこそが作家の基本だ。それでも、評価が伴わない苦しさは、何度も心を折りそうになる。
「わかってるよ。でも、これだけやってもダメだったら、本当に才能がないんじゃないかって思っちゃうんだ」
アヤは少し考え込み、そして意外な言葉を口にした。
「才能だけじゃなくて、タイミングもあると思うよ」
「タイミング?」
「そう。今は、あなたの作品が世に評価されるタイミングじゃないだけかもしれない。でも、いつかきっと評価されるときが来るって信じてるよ。だって、こんなに一生懸命書いてるんだもの」
俺は驚いた。アヤがそんな風に思ってくれていたなんて。
「ありがとう、アヤ」
俺は素直に感謝を伝えた。彼女の言葉が、胸の中で温かく広がっていく。
「そうだ、アヤ。今書いてる作品、ちょっと読んでもらってもいい?」
「もちろん!いつでも読むよ」
彼女はにっこりと笑って、俺の隣に座った。俺はノートパソコンを開き、最新の作品を彼女に見せた。
彼女が読み始めると、俺は彼女の表情をちらりと盗み見た。時折うなずき、笑みを浮かべている彼女の姿に、少しだけ自信が戻ってくるのを感じた。
読み終わった彼女が、目を輝かせて言った。
「これ、すごくいいわ!特に最後の展開、予想外で驚いたし、感動したよ!」
俺は思わず顔がほころんだ。彼女の一言が、何よりも俺の心を軽くしてくれる。
「本当に?よかった……」
「うん、本当にいい作品だと思うよ。このまま書き続けていけば、きっともっと多くの人に読んでもらえると思う」
俺は深く息を吸い込み、そしてゆっくりと吐き出した。焦る必要はない。大切なのは、書き続けることだ。彼女の支えと信頼が、俺の心に灯をともしてくれた。
「よし、もう少し頑張ってみるか」
俺はもう一度、キーボードに手をかけた。言葉が自然と溢れ出し、物語が再び動き出す。数字や評価に惑わされず、自分のペースで書き続ける。それが、俺の小説家への道だ。
「俺は小説家になる」と申しております
24h.ポイント 448pt 12 小説 2,774 位 / 190,489件 現代文学 25 位 / 8,160件
お気に入り 6
初回公開日時 2024.01.07 16:43
更新日時 2024.09.18 13:50
文字数 1,504,782
24h.ポイント 448 pt (2,774位)
週間ポイント 6,317 pt (1,532位)
月間ポイント 34,164 pt (1,218位)
年間ポイント 209,847 pt (3,015位)
累計ポイント 210,992 pt (15,587位)
「俺は小説家になる」と申しております
「また低い……」
パソコンの画面を見つめながら、俺はため息をついた。24時間ポイントが更新されるたびに、心が重くなる。448pt。今月はそれなりに書いたつもりだったのに、この数字だ。ランキングは2,774位。190,489件中の順位としては悪くないはずなのに、どうにも心が晴れない。
「俺は小説家になるって決めたんだ。なのに、これじゃ一生叶わないのかもな……」
俺は椅子にもたれかかり、天井をぼんやりと見つめる。書けば書くほど、文字数は増えるのに、評価は上がらない。それどころか、お気に入りの数も増えていない。初回公開からずっと同じペースで更新を続けてきたのに、結果は芳しくない。
「何がいけないんだろう……」
ふと、キッチンからの音で我に返った。妻のアヤが夕飯の支度をしている音だ。彼女はいつも俺の挑戦を支えてくれている。文句ひとつ言わず、ただ淡々と家事をこなし、俺の小説を書く時間を作ってくれる。その姿を見ると、ますます自己嫌悪に陥る。
「こんなに応援してもらってるのに、俺は……」
書き始めた頃は、何もかもが新鮮で楽しかった。アイデアが溢れ出し、物語がどんどん形になっていく感覚が心地よかった。しかし、今では毎日が苦痛だ。読まれないのなら、書く意味なんてあるのだろうか。
「もう辞めたほうがいいのかな……」
そう呟いた瞬間、アヤがキッチンから顔を出した。
「どうしたの?」
「いや、なんでもないよ」
「またポイントのこと?」
俺の顔を見ただけで、彼女はすべてを察してしまった。ため息をついている俺を見るのも、もう慣れてしまったのだろう。彼女は静かにこちらに近づき、椅子の横に立った。
「いつも頑張ってるの、私にはわかってるよ。でも、自分の価値を他人の評価で決めつけないで」
アヤの言葉に、一瞬だけ心が軽くなった。だが、現実の数字が突きつける事実は変わらない。
「でもさ、結果が出ないと意味がないんだよ。どんなに書いても、誰にも読まれなかったら意味がないじゃないか。俺は小説家になるって決めたのに、このままじゃ夢も叶わない」
アヤはしばらく俺を見つめていたが、やがて優しく微笑んだ。
「結果がすぐに出るなんて、思ってないよ。結果よりも、書き続けることが大事なんじゃないの?」
彼女の言葉は単純だが、的を射ている。確かに、書き続けることこそが作家の基本だ。それでも、評価が伴わない苦しさは、何度も心を折りそうになる。
「わかってるよ。でも、これだけやってもダメだったら、本当に才能がないんじゃないかって思っちゃうんだ」
アヤは少し考え込み、そして意外な言葉を口にした。
「才能だけじゃなくて、タイミングもあると思うよ」
「タイミング?」
「そう。今は、あなたの作品が世に評価されるタイミングじゃないだけかもしれない。でも、いつかきっと評価されるときが来るって信じてるよ。だって、こんなに一生懸命書いてるんだもの」
俺は驚いた。アヤがそんな風に思ってくれていたなんて。
「ありがとう、アヤ」
俺は素直に感謝を伝えた。彼女の言葉が、胸の中で温かく広がっていく。
「そうだ、アヤ。今書いてる作品、ちょっと読んでもらってもいい?」
「もちろん!いつでも読むよ」
彼女はにっこりと笑って、俺の隣に座った。俺はノートパソコンを開き、最新の作品を彼女に見せた。
彼女が読み始めると、俺は彼女の表情をちらりと盗み見た。時折うなずき、笑みを浮かべている彼女の姿に、少しだけ自信が戻ってくるのを感じた。
読み終わった彼女が、目を輝かせて言った。
「これ、すごくいいわ!特に最後の展開、予想外で驚いたし、感動したよ!」
俺は思わず顔がほころんだ。彼女の一言が、何よりも俺の心を軽くしてくれる。
「本当に?よかった……」
「うん、本当にいい作品だと思うよ。このまま書き続けていけば、きっともっと多くの人に読んでもらえると思う」
俺は深く息を吸い込み、そしてゆっくりと吐き出した。焦る必要はない。大切なのは、書き続けることだ。彼女の支えと信頼が、俺の心に灯をともしてくれた。
「よし、もう少し頑張ってみるか」
俺はもう一度、キーボードに手をかけた。言葉が自然と溢れ出し、物語が再び動き出す。数字や評価に惑わされず、自分のペースで書き続ける。それが、俺の小説家への道だ。
「俺は小説家になる」と申しております
24h.ポイント 448pt 12 小説 2,774 位 / 190,489件 現代文学 25 位 / 8,160件
お気に入り 6
初回公開日時 2024.01.07 16:43
更新日時 2024.09.18 13:50
文字数 1,504,782
24h.ポイント 448 pt (2,774位)
週間ポイント 6,317 pt (1,532位)
月間ポイント 34,164 pt (1,218位)
年間ポイント 209,847 pt (3,015位)
累計ポイント 210,992 pt (15,587位)
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