上 下
1,284 / 1,684

ひ・み・つ

しおりを挟む
ひ・み・つ

静かな田舎町にある古い家の一室で、アヤは古びた日記を手にしていた。彼女がそれを見つけたのは、祖母の家を整理しているときだった。日記はボロボロで、皮の表紙が擦り切れている。しかし、アヤの興味を引くのは、その表紙に刻まれた小さな鍵穴だった。

「これは一体何だろう?」アヤは呟きながら、日記を丁寧に開けてみた。中には、過去の出来事が細かく記されているようだった。彼女の祖母が若かったころの生活や、町の人々との関わりがつづられている。しかし、いくつかのページには奇妙なことが書かれていた。「ひ・み・つ」とだけ書かれた短いメモが散らばっているのだ。

アヤはそれが何を意味するのか気になり、日記をさらに詳しく調べることに決めた。日記をめくっていると、突然、一枚の紙が滑り落ちた。それは古い地図のようで、地図の中心に「ひ・み・つ」と書かれた場所が示されていた。

「これが祖母の秘密なのか?」アヤはその地図をじっと見つめ、心の中に冒険心が芽生えた。彼女はその地図に従って、家の周りの森に足を運ぶことに決めた。心の中で不安と興奮が入り混じりながらも、彼女は未知の場所に向かって歩き出した。

森の中を歩くうちに、アヤは地図に示された地点に辿り着いた。それは古びた木製の小屋だった。小屋は長い間誰も入っていなかったようで、扉には厚いほこりが積もっていた。アヤはその扉を開け、静かに中に入った。

中は薄暗く、空気がひんやりと感じられた。しかし、アヤは恐怖よりも好奇心が勝っていた。小屋の中には様々な古い道具や箱が散らばっていた。彼女は慎重に箱を開けていくと、次第に興奮が高まっていった。

その中で、アヤは一つの古びた木箱を見つけた。箱の蓋には小さな鍵穴があり、日記の鍵穴と一致するように見えた。彼女の手は震えていたが、日記の鍵と合わせてみると、ぴったりと合った。アヤはゆっくりと鍵を回し、箱を開けた。

箱の中には、いくつかの古い手紙や写真が入っていた。手紙の中には、アヤの祖母が若いころに書いた愛の告白がつづられていた。それは、かつての恋人へのもので、非常に情熱的で、深い感情が込められていた。アヤはその手紙を読み進めるうちに、自分が知らなかった祖母の一面を知ることができた。

写真の中には、若いころの祖母とその恋人が一緒に写っているものがあった。二人は幸せそうに笑っており、その笑顔からは深い愛情が感じられた。アヤはその写真を見て、祖母がどれほど強い感情を抱いていたのかを理解した。

その後、アヤは祖母の家に戻り、家族にこれらの発見を伝えた。祖母の恋人については、家族の中でも知らなかった人が多かったようで、アヤの発見は家族にとって驚きであり、感動的なものであった。

「ひ・み・つ」の正体は、ただの古い記録ではなく、祖母の若き日の情熱と愛の証だった。アヤは、その秘密を知ることで、祖母の過去に対する新たな理解と、家族の絆の深さを感じることができた。

これまでの生活で感じていた欠けた部分が、祖母の秘密を通じて埋められたような気がした。アヤはこれからも、家族の歴史を大切にしながら、自分自身の人生を豊かにしていこうと心に誓った。
しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

小さなことから〜露出〜えみ〜

サイコロ
恋愛
私の露出… 毎日更新していこうと思います よろしくおねがいします 感想等お待ちしております 取り入れて欲しい内容なども 書いてくださいね よりみなさんにお近く 考えやすく

注意欠陥多動性障害(ADHD)の日常

春秋花壇
現代文学
注意欠陥多動性障害(ADHD)の日常

落ち込んでいたら綺麗なお姉さんにナンパされてお持ち帰りされた話

水無瀬雨音
恋愛
実家の花屋で働く璃子。落ち込んでいたら綺麗なお姉さんに花束をプレゼントされ……? 恋の始まりの話。

騙されて快楽地獄

てけてとん
BL
友人におすすめされたマッサージ店で快楽地獄に落とされる話です。長すぎたので2話に分けています。

イケメン彼氏は年上消防士!鍛え上げられた体は、夜の体力まで別物!?

すずなり。
恋愛
私が働く食堂にやってくる消防士さんたち。 翔馬「俺、チャーハン。」 宏斗「俺もー。」 航平「俺、から揚げつけてー。」 優弥「俺はスープ付き。」 みんなガタイがよく、男前。 ひなた「はーいっ。ちょっと待ってくださいねーっ。」 慌ただしい昼時を過ぎると、私の仕事は終わる。 終わった後、私は行かなきゃいけないところがある。 ひなた「すみませーん、子供のお迎えにきましたー。」 保育園に迎えに行かなきゃいけない子、『太陽』。 私は子供と一緒に・・・暮らしてる。 ーーーーーーーーーーーーーーーー 翔馬「おいおい嘘だろ?」 宏斗「子供・・・いたんだ・・。」 航平「いくつん時の子だよ・・・・。」 優弥「マジか・・・。」 消防署で開かれたお祭りに連れて行った太陽。 太陽の存在を知った一人の消防士さんが・・・私に言った。 「俺は太陽がいてもいい。・・・太陽の『パパ』になる。」 「俺はひなたが好きだ。・・・絶対振り向かせるから覚悟しとけよ?」 ※お話に出てくる内容は、全て想像の世界です。現実世界とは何ら関係ありません。 ※感想やコメントは受け付けることができません。 メンタルが薄氷なもので・・・すみません。 言葉も足りませんが読んでいただけたら幸いです。 楽しんでいただけたら嬉しく思います。

生きる

春秋花壇
現代文学
生きる

サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由

フルーツパフェ
大衆娯楽
 クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。  トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。  いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。  考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。  赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。  言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。  たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。

💚催眠ハーレムとの日常 - マインドコントロールされた女性たちとの日常生活

XD
恋愛
誰からも拒絶される内気で不細工な少年エドクは、人の心を操り、催眠術と精神支配下に置く不思議な能力を手に入れる。彼はこの力を使って、夢の中でずっと欲しかったもの、彼がずっと愛してきた美しい女性たちのHAREMを作り上げる。

処理中です...