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断捨離できたらいいのにな

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断捨離できたらいいのにな

美奈子は、今日もまた押入れの扉を開けた。中に積まれている箱や袋が、日々の生活に溜まった不必要なものを物語っている。その度に彼女はため息をつき、物に囲まれた自分の生活を見つめ直そうとするのだが、なかなか踏み出せない。

「これも、あれも…」

彼女は一つ一つの箱を取り出し、その中身を確認した。古い衣類や使わない家電、無駄に増えた調理器具など、どれも使わないことはわかっているが、捨てる決断ができないのだ。

「どうしてこんなに物が増えちゃったんだろう」

美奈子は頭を抱えながらも、何とかして断捨離を進めたいという気持ちが募っていた。彼女の家は、モノに圧倒されているように感じられ、物の山に埋もれてしまうのではないかと不安になっていた。

「一度、専門家に相談してみようかな」

その夜、美奈子はネットで「断捨離 専門家」で検索し、いくつかのサイトを見て回った。断捨離の専門家がブログや動画でアドバイスをしているのを見て、少し勇気が湧いてきた。

「よし、明日電話してみよう」

翌朝、美奈子は決意を固め、断捨離の専門家に電話をかけた。専門家のアドバイザーはとても親切で、初回の相談を受けてくれることになった。

「こんにちは、美奈子さん。まずはお宅を見せていただき、どのように進めていけばいいかアドバイスさせていただきますね」

アドバイザーが到着すると、美奈子は恥ずかしさを感じながらも、自分の家を案内した。アドバイザーは冷静に部屋を見渡し、すぐにいくつかのアドバイスをくれた。

「まずは、物をカテゴリーごとに分けてみましょう。衣類、書類、家電、思い出の品など、ジャンルごとに分けると、どれを残すべきか決めやすくなります」

「なるほど、分けてみるのはいいかもしれませんね」

美奈子はアドバイザーの助言に従い、まずは衣類から始めることにした。古い服や着なくなったコート、サイズが合わない靴などを一つ一つ取り出し、それがまだ必要かどうかを考えた。

「これは一度も着なかったし、もうサイズも合わないから…」

彼女は思い切って、まだタグが付いている未使用の服や、着古した靴を捨てることにした。物を減らすことで、部屋が少し広く感じられるのを実感することができた。

次に、美奈子は書類の整理を始めた。たくさんの領収書や契約書、仕事で使った書類が山積みになっていた。アドバイザーは、どの書類が必要か、どの書類を捨てるべきかを明確にする方法を教えてくれた。

「これも、あれも、迷ってしまうけど…」

美奈子は悩みながらも、必要ない書類を片っ端から処分していった。紙の山が減ることで、心も少し軽くなっていくのを感じた。

「よし、次は思い出の品だね」

最後に、美奈子は家族や友人からもらったプレゼントや旅行の記念品など、思い出が詰まった品々を整理する番になった。これらは捨てるのが難しいものだったが、アドバイザーは感情的になりすぎず、どのように整理するかを具体的に指導してくれた。

「思い出は心の中に残りますから、物として残す必要はないんです」

その言葉に励まされ、美奈子は必要ないものを手放す勇気を持つことができた。大切なものだけを残し、他の物は手放すことで、心の整理もできた。

「これで本当にスッキリした」

数週間後、美奈子の家は見違えるほどきれいになり、必要な物だけが整然と並んでいた。彼女は毎日の生活がずっと快適になり、家の中に流れる空気も軽やかになったと感じた。

「断捨離できたらいいのにな」と思っていた自分が、ついに実現できたという達成感が、美奈子を満たしていた。新たな生活が始まる予感と共に、彼女は心の中に新しい希望を抱きながら、これからの生活を楽しみにしていた。








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