「俺は小説家になる」と申しております

春秋花壇

文字の大きさ
上 下
1,174 / 1,782

緑の夢とワインの色

しおりを挟む
緑の夢とワインの色

20歳のミナは、今日も朝早くから自分のキッチンガーデンを世話していた。スペアミントの鉢を外に出したのは、葉が黄ばんできていたからだ。彼女はいつも植物たちのために最善を尽くし、愛情を注いでいる。彼女の心には、緑のジャングルのような庭と日当たりの良い場所に蘭を置くという夢があった。

「外の空気は気持ちいいな。」ミナは鉢を置きながら、柔らかな生成りの木綿のワンピースの裾を整えた。秋の風が肌に心地よく、彼女のワンピースの色合いとワイン色のカベルネ・ソーヴィニヨンが秋の雰囲気にぴったりだった。

今日は特別な日だった。彼女は近くのタワーマンションに住む友人のアヤと待ち合わせをしていた。アヤのタワーマンションは彼女が理想とする場所にぴったりだった。高層のアパートからは朝日や夕日が美しく見え、日当たりの良いベランダには蘭が咲き誇る夢のような場所だったのだ。

「こんにちは、ミナ!」アヤが笑顔で迎えた。彼女の家に入ると、緑に囲まれたリビングが広がっていた。観葉植物やハーブ、セントポーリアがさりげなく置かれた空間は、まるでジャングルのような心地よさを感じさせた。

「わあ、すごい!まるで私の夢の中にいるみたい。」ミナは目を輝かせて言った。

「ありがとう!実は最近、私もスペアミントを育てているの。もう少しで収穫できるかもしれないわ。」アヤはミナの興奮に微笑んだ。

二人はリビングのソファに腰を下ろし、秋の昼下がりの空気を楽しんでいた。アヤはワインを持ってきて、「このデル・スール カベルネ・ソーヴィニヨン、試してみて。果実味が豊かで、秋にぴったりの味わいよ。」と、グラスを差し出した。

ミナは一口飲んで、「すごく美味しい!これも私の夢の一部みたい。」と笑顔を見せた。彼女はアヤの家が夢に近い場所であることに、深い感謝の気持ちを抱いていた。

「今日は、私のベランダも見ていって。最近、蘭もたくさん育てているのよ。」アヤは誘うように言った。

ミナは興味津々でアヤのベランダに出ると、そこには色とりどりの蘭が美しく咲き誇っていた。朝日や夕日が差し込むその空間は、彼女がずっと夢見ていた場所そのものだった。

「わあ、ここは本当に素晴らしい。高所恐怖症だけど、ここからの景色は怖さを忘れさせてくれるわ。」ミナはしみじみと感動していた。

「実は、私も高い場所が苦手だったの。でも、この場所での風景が心を癒してくれるから、少しずつ克服できたわ。」アヤは自分の体験を語りながら、ミナの手を取った。

二人はしばらくベランダで静かに過ごし、その後、夕日を見ながらワインを楽しんだ。美しい景色とワインの香りに包まれたその時間は、ミナにとって特別なひとときとなった。

「アヤ、ありがとう。今日の一日が、私にとってどれだけ大切なものかは言葉では表せないわ。」ミナは感謝の気持ちを込めて言った。

アヤは優しく微笑み、「私も楽しかったわ。これからもお互いに夢を追い続けましょうね。」と応えた。

その日、ミナは心から満たされ、彼女の夢に一歩近づいたような気がした。新しい季節の始まりと共に、彼女は自分の未来に希望を抱きながら、緑とワインの色に包まれた幸せなひとときを過ごした。









しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

友達の母親が俺の目の前で下着姿に…

じゅ〜ん
エッセイ・ノンフィクション
とあるオッサンの青春実話です

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

注意欠陥多動性障害(ADHD)の日常

春秋花壇
現代文学
注意欠陥多動性障害(ADHD)の日常

ママと中学生の僕

キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

服を脱いで妹に食べられにいく兄

スローン
恋愛
貞操観念ってのが逆転してる世界らしいです。

今日の授業は保健体育

にのみや朱乃
恋愛
(性的描写あり) 僕は家庭教師として、高校三年生のユキの家に行った。 その日はちょうどユキ以外には誰もいなかった。 ユキは勉強したくない、科目を変えようと言う。ユキが提案した科目とは。

生きる

春秋花壇
現代文学
生きる

処理中です...