「俺は小説家になる」と申しております

高得点を叩き出せる魔法のパソコン

「高得点を叩き出せる魔法のパソコン、か…」

真琴は呟きながら、空想の中に没入していた。彼女の目の前には、古びたパソコンが置かれていたが、それはただの古いモデルで、特別な機能などは何一つない。彼女はそのパソコンに触れ、少しだけため息をついた。

「このままじゃダメだ。小説コンテストの締切が迫ってるのに、全然良い作品が書けない…」

真琴の書斎は、書きかけの原稿と、メモ、アイデアの束で溢れていた。彼女は作家として成功を夢見ていたが、その道のりは険しく、いつも高得点を狙うために努力を続けていた。しかし、どんなに頑張っても、結果が伴わないことが多かった。

ある日、彼女はインターネットで見つけた「魔法のパソコン」という伝説を思い出していた。伝説によると、そのパソコンは使用者のすべての想像力を引き出し、作品に魔法のような高得点をもたらすと言われていたのだ。

「もちろん、そんなものは実在しないだろうけど…」

彼女は思いながらも、ふと一つのアイデアが浮かんだ。もし、本当にその「魔法のパソコン」があったとしたら、どんな物語を作るだろう？と。

その考えが頭を離れないまま、彼女は自分の小説にその魔法のパソコンを取り入れることに決めた。設定としては、主人公が古いパソコンを偶然手に入れ、それが実は魔法の力を持っていたという内容だ。

魔法のパソコン

物語の主人公は、大学生の咲良。彼女は小説家としての夢を抱えながらも、生活費を稼ぐためにアルバイトに明け暮れていた。ある日、古びたパソコンを街のリサイクルショップで見つけた。店主はそのパソコンを「特別な力を持っている」と説明したが、咲良は単なる営業トークだと気に留めなかった。

パソコンを持ち帰った咲良は、数日間使ってみたが、初めのうちは何も変わらなかった。だが、ある夜、書き始めた物語が自然と進み、驚くべきスピードで完成に近づいていったのだ。

「これは…ただの偶然ではないはず」

咲良はそのパソコンの「魔法」の存在を疑いながらも、その不思議な力を利用して、次々と物語を完成させていった。どの作品も、見る者を惹きつける力を持ち、彼女の小説は瞬く間に評価されるようになった。

やがて、咲良は一大小説コンテストに出品することを決意した。彼女は「魔法のパソコン」の力を借りて、最高の作品を仕上げた。コンテストの結果発表の日、咲良は緊張と期待でいっぱいだった。

発表の瞬間、彼女の名前が呼ばれると、会場は拍手に包まれた。咲良の作品は、全ての審査員から高い評価を受け、見事に一位に輝いたのだ。彼女は涙を流しながら、感謝の気持ちを伝えた。

「魔法のパソコン…ありがとう」

その後、咲良はパソコンを使わなくなった。彼女はその力を借りることなく、自分自身の力で物語を書くことができるようになっていた。しかし、そのパソコンは彼女の大切な宝物として、大切に保管されていた。

現実に戻って

真琴はその物語を思い浮かべながら、自分のパソコンに向かっていた。彼女は空想の中で生まれた物語に触発され、自分の創作に対する新たな視点を得た。自分の力で高得点を叩き出すためには、何よりも自分自身を信じることが大切だと気づいたのだ。

目の前のパソコンが、たとえ魔法の力を持っていなくても、自分自身の創造力を引き出すためのツールであることには変わりない。真琴は、再びキーボードに手を伸ばし、自分の物語を書き始めた。

物語が進むにつれて、彼女は目の前の画面が、まるで魔法のパソコンのように感じられるようになった。創作の喜びが、彼女の心を満たし、焦点を合わせた文字たちが一つ一つ形を成していった。

高得点を叩き出すための「魔法のパソコン」がもし存在しなくても、真琴は自分の力を信じることで、確実に前進できると感じていく。