「俺は小説家になる」と申しております

春秋花壇

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「暗闇の先へ」

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「暗闇の先へ」

部屋の空気が静まり返る中、僕は床に座り込んで、部屋の隅に置かれた目覚まし時計に目を向ける。スヌーズ機能が設定されたその時計は、夜が深まるにつれて、繰り返し鳴り続ける。僕の心もまた、眠れない夜のように、不安と焦燥でいっぱいだった。

どうしても僕らは上手くできなくて、気がつけばからっぽになってしまった。あれほど力を入れていたことが、いつの間にか虚無に変わってしまったことが、心の奥底に重くのしかかる。僕らは、何度も何度も努力を重ねたはずだった。しかし、その努力の結晶は、いつの間にか砂のように崩れ去ってしまった。何が足りなかったのか、何を間違えたのか、その全てが今もなお分からないまま、ただ空しい気持ちが広がっている。

失くしても壊しても奪われたとしても、消えないものはどこにもなかった。僕たちが大切にしていたもの、守ろうとしていたもの、その全てが虚しく散ってしまった。人は失敗を重ねて成長するものだと聞いたけれど、今の僕にはその言葉が空虚に響くばかりだ。何も残らないように思えるこの世界で、ただただ孤独と虚無に包まれているだけだ。

眠れない夜でも鳴り止まないスヌーズ。目覚まし時計の音が、眠れない僕の心を煩わせ続ける。何度も止めようとするけれど、その音は無情にも続く。まるで、自分の心の深い部分が警鐘を鳴らし続けているようだ。朝が来るのを待ちながら、その音を耳にし続けることが、逆に自分の現実を直視する時間となっていた。

部屋の片隅に積まれた本や資料、努力の証としての過去の痕跡が、無力感を増すばかりだ。どれもこれも、今となっては意味を失ってしまったかのように感じる。振り返ると、どこで道を誤ったのか、どこで選択を間違えたのか、その答えが見つからずにただ迷子になっている自分がいる。

僕は、時折ベッドに横たわりながら、目を閉じて深呼吸をする。安らぎを求めているが、心の中に広がるのは不安と疑念ばかりだ。スヌーズの音が心を掻き乱し、その音がまるで自分の内面の混乱を映し出しているように思える。冷たい空気が部屋に漂い、僕の体と心を冷やしていく。

どうしても上手くできなかった自分を責めることは簡単だが、それが果たして解決策になるのかは分からない。ただ、一歩一歩進むしかないのだと自分に言い聞かせる。自分の過去を取り戻すことはできないかもしれないが、未来を作るためには、まずは今この瞬間に何をするかが大切だと信じて、前に進むしかない。

目覚まし時計の音が、夜が明ける合図を告げるまで、僕はもう一度だけ、目を閉じて心を整理しようと決めた。失ったものや壊れたもの、奪われたものに囚われずに、ただ前に進むこと。それが今の僕にできる、唯一の選択だと思いながら。








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