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朝目が覚めたら、僕はおじさんになっていた

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朝目が覚めたら、僕はおじさんになっていた

目が覚めた瞬間、僕は何かが違うと感じた。身体が重いし、心地よい温かさも、いつものベッドの感触もない。だんだんと現実がはっきりしてきたとき、僕は自分が以前とは全く異なる状況にいることに気づいた。鏡の前に立つと、そこには思いがけない自分が映っていた。髪は薄くなり、顔には深いシワが刻まれている。老眼のせいで視界もぼやけていた。

「え、これ…僕?」

僕は呆然と自分の姿を見つめた。今までの20代の自分が、50代の中年男性になっていたのだ。焦りと混乱が一気に押し寄せてくる。

部屋を見回すと、散らかったゴミが目に入る。床には空き缶やペットボトル、いくつかの食べ物のパッケージが転がっている。冷蔵庫を開けると、そこにはビールの缶がぎっしり詰まっていた。食べ物の気配はまったくなく、ビールだけがその空間を占めていた。

震える手でビールの缶を取り出し、振り返ると、部屋の一角に古びたソファがあり、そこに腰を下ろした。手にはまだビールの缶を持っているが、どうにも体が思うように動かない。何度かビールの缶を開けようとしたが、指が震えて上手く開かない。アルコール依存症という言葉が頭をよぎった。

「これは一体どうなってるんだ?」

僕は無意識に呟いた。どうしてこうなってしまったのか、全く見当もつかない。眠りから覚めたとき、突然おじさんになっていたのだ。思い出そうとするも、昨晩何をしていたのか全く記憶がない。ただ、今の自分が手にしているビールと散らかった部屋が、何か大きな問題を抱えていることを示していた。

手元のビール缶に目を落とすと、そのラベルに書かれていた文字が読めた。「アルコール依存症」の文字が目に入る。これが自分の現実なのかもしれない、そう思うと胸が苦しくなった。何度もビールの缶を開けようとして、ようやく中身を注ぎ込むことができた。しかし、その味はまったく美味しくなく、体が拒絶しているのを感じた。

部屋の中で何かに取り憑かれているような感覚があった。いつもなら見向きもしなかったが、そこに置かれた古びた日記帳が目に留まった。思い切ってその日記を手に取り、ページをめくると、そこには過去の自分が書いた様々なことが記されていた。

「もう一度、普通の生活に戻りたい…」

日記にはそんな言葉がつづられていた。僕がどれほどこの状況から抜け出したいと思っているかが、切々と綴られていた。ふと、そこに書かれていた言葉が心に刺さる。「変わりたい」と強く願っている自分がいた。

「今からでも変えられるんじゃないか?」

僕はその言葉に勇気をもらい、気持ちを新たにする決意を固めた。古びたソファから立ち上がり、まずは部屋を片付けることにした。ゴミをまとめ、ビールの缶を処分し、少しずつ整理整頓を始めた。少しでも心地よい空間を作りたいと思い、無理をせず、自分にできる範囲で行動することにした。

その後、冷蔵庫を開けると、缶詰や保存食を取り出し、栄養のある食事を作り始めた。昔の自分を取り戻すためには、まずは体を整えることから始めなければならなかった。ビールではなく、まともな食事が必要だと感じた。

一歩ずつ、一歩ずつ、少しずつ変わっていく自分を感じながら、僕はその日を乗り越えた。明日にはもっと良い一日が待っていると信じて、歩き始めることができた。どんなに状況が変わっても、自分自身を変えようとする気持ちさえあれば、未来は少しずつ明るくなっていくのだと感じた。

部屋が整い、食事ができるようになると、僕は少しだけ前向きな気持ちを持って、次の朝を迎える準備をしていた。自分を取り戻すための第一歩を踏み出し、再び未来を切り開くために。








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