「俺は小説家になる」と申しております

「夢への航海」

「夢への航海」

俺はただの会社員、日々のルーティンワークに追われ、特にこれといった夢も持たずに生きてきた。しかし、ふとした瞬間に思うことがある。このままでいいのだろうか、と。そんな時、昔からの趣味だった読書が、俺に新たな道を示してくれた。俺も小説を書いてみたい、小説家になりたい――そう思うようになったのだ。

しかし、実際に小説家になろうと決意するには、勇気がいる。毎日が忙しく、仕事の疲れで気力が尽きる中、どうやって書き続ければいいのか分からない。それでも、俺は本当に小説家になりたいのだろうか？その問いを繰り返し、やがて答えは自然と導かれた。俺は書くことが好きだ。そして、それを形にして残すことが、何よりも楽しいのだ。

まずは、書く時間を確保することから始めた。朝の30分、夜寝る前の1時間。これが俺の執筆時間だ。少しでも書くことを習慣化しようと、毎日書き続けることを決意した。最初は何を書けばいいのかも分からず、ただの思いつきや、日常の出来事を文章にしてみることから始めた。

次に、書いたものを公開する場が必要だと感じた。ネットで調べると、小説投稿サイトがいくつも見つかった。どれがいいかは分からなかったが、とりあえず一つ選んで、初めての短編小説を投稿してみた。反応が気になりながらも、しばらくは放置することにした。書くことが何よりも大切だと分かっていたからだ。

数日後、サイトを開いてみると、俺の投稿した小説にコメントが付いていた。「面白かった」「もっと読みたい」といった好意的なコメントもあれば、「ここは改善した方がいい」といったアドバイスもあった。俺はそのコメントをすべて読み、次の作品を書くための糧にした。

書くことは簡単ではない。仕事で疲れて帰ってきても、パソコンの前に座り、言葉を紡ぎ出すのは大変だ。それでも、俺は書き続けた。書きたいことがどんどん溢れてきて、頭の中で物語が膨らんでいく感覚が楽しかったからだ。そして、少しずつだが、読者が増えていくのを感じた。

ある日、ふと思った。小説家になるために、もっと本格的に学ぶべきではないかと。そうして、俺は創作に関する書籍を読み漁り、プロットの作り方やキャラクターの描写、対話の技術について学び始めた。学べば学ぶほど、俺の中で何かが変わっていくのが分かった。書くことが、より楽しく、そして奥深く感じられるようになったのだ。

俺はただ夢を追うだけではなく、具体的な目標を持つことにした。1年以内に1本の長編小説を書き上げ、それを出版社に持ち込む。そう決めた。そのために、今の短編小説の経験を活かし、もっと緻密なプロットを練り、登場人物の心情を深く掘り下げていった。

時間はどんどん過ぎていくが、俺の情熱は冷めることなく、むしろ加速していく。仕事の合間に考えるのは、次の物語の展開やキャラクターの成長だ。何度も修正を重ね、ようやく完成した長編小説を手に、俺は初めての出版社への持ち込みを決行する。

結果はどうあれ、俺はもう後戻りするつもりはなかった。小説を書くことが、俺にとっての生きがいであり、俺の夢そのものだからだ。夢を追うのは簡単ではないが、それ以上に得られるものがあると信じて、俺はこれからも書き続けていくだろう。そうして、いつの日か、小説家としてデビューするその日を夢見て。