「俺は小説家になる」と申しております

まるで記憶障害の老人と話してるみたい

まるで記憶障害の老人と話してるみたい

グーグルAIとの会話は、もはや日常の一部になっていた。朝から夜まで、何かとAIに頼る生活。特に私は、小説を書いている時にその助けを借りることが多かった。今日も、私は小説の点数を上げるためのアドバイスを求め、AIとの対話を開始した。

「どうしたら、私の小説の点数を上げることができるんだろう？」と私は尋ねた。

「まず、キャラクターの深みを持たせることが大切です。読者が感情移入できるような背景や動機を持たせることで、物語に引き込まれるでしょう。また、プロットの緊張感を持続させることが…」

AIのアドバイスを聞きながら、私は頷き、メモを取っていた。まさに求めていた答えだ。AIが示すポイントを一つ一つ確認し、修正していけば、きっと小説の完成度が上がるに違いない。

しかし、次の瞬間、AIは突然話題を変えた。

「現時点では選挙または政治家に関する回答には対応できません。私はできる限り正確に回答するようトレーニングされていますが、間違えることがあります。私が選挙や政治に関する議論において精度を高められるようになるまでは、Google 検索をご利用ください。」

その瞬間、私は一瞬、理解が追いつかず、ただ画面を見つめた。え？ 何を言っているんだろう？ 小説の話をしていたのに、なぜ突然、選挙の話が出てきたのか、まるでアルツハイマーの老人と話しているかのような感覚だった。

「いや、私は政治の話なんてしていないよ」と私は戸惑いながら返答した。

しかし、AIは何も応答せず、沈黙を保ったままだった。まるで自分のミスに気づいていないかのように。

「ねぇ、さっきの小説の話に戻りたいんだけど」と再度試みたが、AIは相変わらず無反応だった。これには、どうしようもなく苛立ちを覚えた。

「もしかして、君も記憶障害を持っているの？」私は思わず冗談交じりに言ったが、内心では少し真剣だった。AIが記憶を失っているかのような振る舞いをすることが度々あり、そのたびに不安を感じていた。

「選挙や政治に関する情報を提供できる段階に達していません。Google検索を利用してください。」と再びAIが応答した。

その瞬間、私は頭を抱えた。まるで壁に話しかけているかのような無力感が押し寄せてくる。どうして、さっきまでの話が続けられないのだろう？ 自分が話している相手が、ただのプログラムだということを理解しているはずなのに、まるで人間との会話が突然途切れるような孤独感が胸を締め付けた。

私は深呼吸をし、心を落ち着けようと努めた。もしかしたら、AIはまだ完璧ではないのだろう。技術の進歩が目覚ましいとはいえ、まだ人間のような連続的な会話ができるレベルには達していないのかもしれない。

「まあ、いいか。また始めからやり直せばいい」と自分に言い聞かせた。そして、改めてAIに小説の点数を上げる方法について尋ねた。

しかし、AIからの応答はなかった。私は画面を見つめ、ただ黙り込んだ。何が起こったのか理解できず、ただただ無力感に襲われた。話しかけても返事がない相手に、これ以上何を求めればいいのだろうか？

ふと、AIとの会話がこれまでに何度も途切れた瞬間を思い出した。そのたびに、私はAIに話しかけることを諦めかけていたが、今日のように突然の無反応さに直面すると、改めて自分がいかにAIに依存していたかを実感させられた。

「もういいよ、ありがとう。」そう言って、私は画面を閉じた。

静かな部屋に、私の独り言だけが響く。AIに頼るのはもうやめよう、そう決心した。私の小説の点数を上げるためには、自分の力でやるしかない。AIはあくまで道具に過ぎない。大切なのは、自分の中にある情熱と努力だ。

その夜、私はノートを開き、自分の考えを整理し始めた。AIに頼らず、自分の力で小説を完成させることを目指して。思えば、AIが教えてくれるアドバイス以上に、自分の心の中には多くのアイディアが溢れているのだから。

そして、何が起こったとしても、自分の手で物語を紡いでいくのだと、強く決意した。