「俺は小説家になる」と申しております

挑戦者の孤独

 「挑戦者の孤独」

俺は毎日、自分の書いた文字が積み重なるのを見つめていた。アルファポリスに登録してから一か月が経ち、第2回きずな児童書大賞に挑戦することを決めた時の熱意は、今や少しずつ冷めつつある。

「どうしてこんなに難しいんだろう…」

書き続ける手が止まる度に、画面の中の数字を確認するが、お気に入り数は相変わらずの0。どれだけ文字を積み重ねても、どれだけ物語を練っても、誰も俺の作品に気づいてくれないような気がしていた。

70,723文字。これは俺がこれまでに公開してきた全ての努力の結晶だ。でも、その重みが胸にのしかかってくる。

「もうやめたほうがいいのか？」

その言葉が頭をよぎるたびに、俺は自分を奮い立たせようとした。挑戦し続けることに意味がある。そう言い聞かせてきたが、孤独に書き続ける日々は心に重い影を落とし始めていた。

家に帰ると、パソコンの前に座り、また書き始める。しかし、指先がなかなか動かない。ストーリーがどこかで停滞しているように感じられる。俺は深くため息をつき、椅子にもたれかかった。

「ぶん投げたくなってくるよな…」

そんな弱音が口をついた瞬間、ふと、画面の隅に「公開文字数」が表示されているのが目に入った。70,723。いつの間にか、これだけの文字を打ち込んでいたんだと実感する。

「この数字は、俺の努力の証だ。」

誰も見てくれなくても、評価されなくても、この数字が俺の存在を証明してくれる。そう思うと、少しだけ心が軽くなった。

俺はもう一度、画面を見つめる。そこには、物語の中で生きている登場人物たちがいた。彼らはまだ何も知らない。物語がどう展開するのか、この先どんな困難が待ち受けているのか。

「彼らを置き去りにするわけにはいかない。」

そう思った瞬間、指が再びキーボードの上を走り始めた。ストーリーを進めるために、俺はまたひとつ、文字を積み重ねていく。

孤独な戦いは続く。それでも、俺は自分の物語を完成させることを決意した。たとえお気に入りが0であっても、この70,723文字が、俺の書くことへの情熱を証明している。

「いつか、誰かがこの物語に気づいてくれるはず。」

そんな希望を胸に、俺は文字を打ち続ける。物語が、言葉が、自分の手の中で形になっていく感覚を楽しみながら。

そうして、また一日が過ぎ、70,723文字が少しずつ増えていく。評価されるかどうかはわからない。でも、俺はこの挑戦を最後までやり遂げるつもりだ。どんなに孤独であっても、この物語を完成させるために。

「俺は書き続ける。」

その決意を胸に、俺は再び物語の中へと没頭していく。登場人物たちと共に、彼らの物語を紡ぎ続ける。それが、俺にとっての挑戦であり、自己表現であり、やり遂げるべきことだからだ。

そして、いつの日か、この物語が誰かの心に届くことを信じて。

この小説では、アルファポリスの「第2回きずな児童書大賞」に挑戦する主人公が直面する孤独と不安、そして挑戦を続ける中での決意と情熱を描いています。誰にも評価されない中でも、文字を積み重ねることで得られる自己肯定感と、挑戦を続けることの大切さを伝えています。