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春秋花壇

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バックドラフト

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バックドラフト

雨が降りしきる日曜日の午後、私は実家のドアの前に立っていた。外は冷たい風が吹き、空は鉛色の雲に覆われていた。こんな日に限って、母はひとりで独居生活をしている。いつもは電話での連絡だったが、今日は直接顔を見に来たかった。

鍵を取り出し、ゆっくりとドアを開ける。中からはいつもの暖かい香りが漂ってくるはずだった。しかし、突然、全てが変わった。ドアを開けた瞬間、部屋の中からものすごい勢いで炎が押し出され、私の目の前で爆発が起こった。

火の手が瞬時に広がり、濃い煙が私を包み込んだ。耳をつんざくような音が響き、体中が震える。目を開けると、目の前の視界が真っ白になり、わずかに見える火の中で家具や物が燃えているのがわかった。煙と炎に包まれた家の内部は、まるで別世界のように見えた。

私の心臓は激しく鼓動し、周囲の音が耳に残る中で、頭の中は混乱していた。母がここにいるかもしれないという恐怖と、どうすればいいのか分からない無力感でいっぱいだった。火がどんどん勢いを増していくのが感じられた。私は何とか落ち着こうとしながらも、消火器を探すために家の中に入り込む決心をした。

一歩踏み込むと、急激に熱が体を包み込んだ。火災によって室内はすでに高温になっており、呼吸をするのも一苦労だった。壁に沿って進むと、床に散らばった破片と煙で視界はほとんどゼロになっていた。全身を覆う熱さと煙で、目を開けることすらできない。わずかに開けたドアから逃げるための道を探し、恐る恐る進む。

それが、私が入ると同時に室内で起こったバックドラフト現象の典型的な例だった。バックドラフトとは、火が酸素不足により不完全燃焼を起こし、その結果として空気が一気に流れ込んだときに爆発的に火が再燃する現象である。これは私が部屋に入った瞬間に、燃え残ったガスが一気に引き込まれて大爆発を引き起こしたのだった。

煙が深く立ち込めた部屋の中で、私は必死に母の名前を呼びながら動き続けた。しかし、火の勢いがますます増していく中で、音もかすれ、視界も失われていった。最初の爆発から数分後、もう一度火が猛烈に燃え上がり、視界がさらに悪化した。心の中でどうか母が無事でありますようにと祈るばかりだった。

手探りで進んでいると、突然、足元の温かさが強く感じられた。振り返ると、炎が私の後ろから迫ってきていた。無事に脱出するためには、迅速な判断と行動が必要だ。必死で出口を探し、煙が薄くなる方向を目指した。幸運にも、ドアの近くまで辿り着いた。

外に出たとき、私はすぐに消防隊員に助けを求めた。彼らはすぐに現場に到着し、私を安全な場所に避難させてくれた。火が激しく燃え続ける家の中からは、悲しい音が聞こえてきた。消防士たちが必死に消火作業を行っている様子を見ながら、私はただただ無事であることを感謝するしかなかった。

しかし、心の中には深い痛みが残った。母がまだ中にいるかもしれないという恐怖と、それを防げなかった自分への悔しさが交錯していた。火が収まるまでの間、私はただ呆然と見守り、心の中で再び母の安全を祈り続けた。

数時間後、ようやく火が消え、消火作業が終わった。消防士たちが部屋の中に入り、捜索を始めた。私は冷たい外気の中で待ちながら、胸の中で必死に希望を抱いていた。母が無事でありますように、どうか奇跡が起こりますようにと心から願っていた。








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