「俺は小説家になる」と申しております

つわり

主人公春菜の夫は、つわりで苦しむ妻に対して無頓着だった。春菜は吐き気と倦怠感に襲われながらも、家事や食事の準備をこなし、彼のために握り飯を作っていた。それは春菜の愛情と優しさが溢れる行為だったが、夫にはその姿に対する感謝の念は薄かった。

ある日、夫は仕事から疲れた体で帰宅し、妻の手料理を召し上がった。しかし、彼女の顔色が悪く、疲れ切った表情をしていることに気づかなかった。彼は自分の食事を取り、テレビを見始めた。

妻は無理をして笑顔を作りながら、夫の横で静かに食事をしていた。彼女の心の中には、少しの寂しさと、夫への軽い失望が渦巻いていた。彼女はつわりの辛さを理解してほしかった。だが夫は、それに気づくこともなく、自分の世界に没頭していた。

SNSに夫が無理解であることをほのめかすポストをした。

「つわりってなに?」

何人もの人がそうコメントしてきた。

そうよね。地震の被災地で、水も確保できないのに布製の洗って使うナプキンを女の子の日のために配給したするくらい、日本の男性は女性のことがわかっていない。同様に、女性も男性のことがわかっていないのかもしれない。

そんなある日、妻はつわりの辛さに耐え切れず、泣き崩れてしまった。その時、夫は初めて妻の苦しみに気づいた。彼は驚きと同時に、自分の無関心さを後悔した。

その夜、夫は心からの謝罪と感謝の気持ちを込めて、妻の手料理を作ることに決めた。彼は調理本を開き、握り飯のレシピを熟読し始めた。初めは戸惑いながらも、徐々に慣れていき、炊き上がったご飯を手で握り、海苔で包み始めた。

妻は台所で夫の姿を見て、驚きと感動の涙を流した。彼女は夫の優しさに触れ、心から幸せを感じた。夫が自ら料理を作ることで、彼女のつわりの苦しみを少しでも軽くしてくれることに、彼女は深い感謝を抱いた。

その日から、夫と妻の関係はより深まり、お互いの理解と支え合いが一層強固なものとなった。彼らはつわりの辛さを乗り越え、より絆を深めていくのだった。

一緒に作った焼きおにぎりもおいしかった。
お醤油の匂いが香ばしいと思った。それを持って夜桜見物に行った。
雨上がりのアスファルトが湖面のように街灯をリフレクションしてる。
しっぽりと優しいミストが二人を包む。あでやかに華やかに咲く河津桜の木の下で、

「来年も一緒にここにこような」

「うん」

「そうだ、春菜とこれから毎年、この河津桜の写真を撮ろう。二人がおじいちゃんとおばあちゃんになるまで……」

春や春、春爛漫のローマンス

あれから、50年、今日はあなたとお花見に来ています。
焼きおにぎり、たまごやき、菜の花の辛し和え、たこさんウインナー

あなたが作れるレパトリーも増えました。
うふふ。
あなたと結婚できてよかった。