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独居老人のつぶやき 8 走馬灯
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お迎えが近いのかな?
朝から子供の頃の昔々のことがグルグルと回る。
悲しくて辛くて涙が止まらなかった。
もしももう一度、生まれて治すことができたら少しは親を悲しませないで済むのだろうか。
カラカラと音を立てて糸引き車は絡みつく糸を巻いていく。
ぎったんばっこん、からから。
わたしという名の織物でも織っていくのだろうか。
それともお迎えのためにリセットでもしているのだろうか。
このままいくと、確実に地獄かディストピアか永遠の滅び。
放置したらきっと、ミイラの包帯のように私の周りを取り囲み、
死のディストピアといざなうのだろう。
「恥の多い人生でした」
と、太宰は書いているけど名を残せただけすごいと思う。
できれば、お花のたくさん咲いている天獄がいいな。
そこで思い切りガーデニングできたら、楽しいだろうな。
野菜や果物をたくさん植えて、近所の人と集まってパーティーを開くだ。
はーい、パリピ老人の促成栽培。
「安いよ、やすいよー」
私が残したものは、2度と故郷の土を踏むことはできない汚名。
「きちがい」「村始まって以来の悪」
食べるものも食べないで、必死で働いて大切に育てた子供が周りから言われたら、
私ならとっくに親子心中している。
そのくらい、解決策のない状態でした。
がんじがらめに絡みついた糸のほどき方がわからなくて、
何度神に助けを求めても傲慢なわたしには、神の解決策を受け入れることはできなかった。
だから、70過ぎるこの年までメビウスの輪をぐるぐる。
螺旋階段なら同じところにいるとしても確実に上に上がっているのに、
豚は洗われても土にまみれ、犬は吐いたものにもどる。
ああーーー、やめだ。やめだ。
どうも、最近のわたしは暗くていけねー。
もうすぐ、燃え尽きようとしてるのなら余計に最後位潔くパッパッと花を咲かせようじゃないか。
ほらー、線香花火だって、ちりちり、ぱらぱら、ぱっぱっぱっ。
最後は大きな球を作ってぽとんと落ちるじゃねーか。
えへへ。江戸っ子の真似をしてみた。
落語でも聞きに行こうかな?
うまいもんでも食おうかな?
そうだ、駅のすぐそばに新しい餃子の店ができて、12個で500円。
10時過ぎたら、郵便局に行ってお金をおろして、買い物に行こう。
独居老人のくせに、痛みがひどいとはいえ、家に引きこもってるから
うじうじぐだぐだ。
消極的なオノマトペがたくさん連結して通ります。
座ってることもしんどい、きっと腹筋と背筋がめちゃくちゃ弱ってるのかな?
口笛吹いて ホライ ホラオ
手をとりゆこう ホライアオ
青空に向かい ホライ ホラオ
声高く歌おう ホライアオ~
うん、口角も上がってきた。
心の太陽を 唇に歌を
老人は、古びた椅子に腰をかけ、窓の外を眺めていた。寂しさがその背中にそっと寄り添っていた。家は静まり返り、ただ時折聞こえる時計の針音が静寂を切り裂く。
「ああ、昔は賑やかだったな。子供たちの笑い声や、家族が集まって食卓を囲んでいた頃が懐かしい。今はもう、誰もこないんだ。」
老人は窓の外に広がる小さな庭を見つめながらつぶやいた。彼の心は思い出に浸り、昔の日々がよみがえる。
「妻が言っていたよな。『いつかは孤独になるかもしれないから、その時は自分の足で立ち上がりなさい』って。でもなかなか難しいものだ。」
老人は手に取った写真立てをなでながら、遠い日の笑顔に微笑む。妻の笑顔があれば、寂しさも少しは和らぐのだろうか。
「この家は思い出の詰まった宝箱みたいなものだ。だけど、宝箱を開けても、現実は変わらない。」
彼はゆっくりと起き上がり、静かに歩きながら家の中を巡る。物音一つしない廊下や、しみついた匂いのする台所。これまでの歳月がここに詰まっている。
「もうすぐ誕生日だ。何歳になるんだっけ。数えるのも億劫になってきたな。」
老人は棚から取り出したノートに鉛筆で日付を書き込む。時間が過ぎるのは早いものだ。
「もう少しで夏だ。昔は庭で花たちが咲き誇っていた。今は草花も年老いて、僕と同じくらいの静けさに包まれている。」
窓辺に座りながら老人は外の景色を見つめ、静かに過ぎ去る季節を感じた。太陽はやわらかく頬を撫で、風が遠くの木々の葉をそっと揺らしている。
「こんなに穏やかな日も悪くはない。でもなんだかんだ言って、誰かに話したくなるんだよな。」
老人は部屋に戻り、古びた椅子に再び腰をおろした。手元にある古びたラジオからは懐かしいメロディが流れてくる。
「明日も一日がんばろう。たとえ一人でも、生きるって素晴らしいことだから。」
老人はひとりごちながら、しみじみと笑顔を浮かべた。窓から差し込む光が、彼の寂しさを優しく包み込んでいた。
今日も一日、包丁とまな板を丁寧に洗っている。
昨日書いたような「リンゴの皮をむいたら、ねぎの香がした」なんてことができるだけないようにしたい。
70歳過ぎて、基本的な生活態度を改めるなんてことが、自分の課題になるなんて思わなかったぜ。
朝から子供の頃の昔々のことがグルグルと回る。
悲しくて辛くて涙が止まらなかった。
もしももう一度、生まれて治すことができたら少しは親を悲しませないで済むのだろうか。
カラカラと音を立てて糸引き車は絡みつく糸を巻いていく。
ぎったんばっこん、からから。
わたしという名の織物でも織っていくのだろうか。
それともお迎えのためにリセットでもしているのだろうか。
このままいくと、確実に地獄かディストピアか永遠の滅び。
放置したらきっと、ミイラの包帯のように私の周りを取り囲み、
死のディストピアといざなうのだろう。
「恥の多い人生でした」
と、太宰は書いているけど名を残せただけすごいと思う。
できれば、お花のたくさん咲いている天獄がいいな。
そこで思い切りガーデニングできたら、楽しいだろうな。
野菜や果物をたくさん植えて、近所の人と集まってパーティーを開くだ。
はーい、パリピ老人の促成栽培。
「安いよ、やすいよー」
私が残したものは、2度と故郷の土を踏むことはできない汚名。
「きちがい」「村始まって以来の悪」
食べるものも食べないで、必死で働いて大切に育てた子供が周りから言われたら、
私ならとっくに親子心中している。
そのくらい、解決策のない状態でした。
がんじがらめに絡みついた糸のほどき方がわからなくて、
何度神に助けを求めても傲慢なわたしには、神の解決策を受け入れることはできなかった。
だから、70過ぎるこの年までメビウスの輪をぐるぐる。
螺旋階段なら同じところにいるとしても確実に上に上がっているのに、
豚は洗われても土にまみれ、犬は吐いたものにもどる。
ああーーー、やめだ。やめだ。
どうも、最近のわたしは暗くていけねー。
もうすぐ、燃え尽きようとしてるのなら余計に最後位潔くパッパッと花を咲かせようじゃないか。
ほらー、線香花火だって、ちりちり、ぱらぱら、ぱっぱっぱっ。
最後は大きな球を作ってぽとんと落ちるじゃねーか。
えへへ。江戸っ子の真似をしてみた。
落語でも聞きに行こうかな?
うまいもんでも食おうかな?
そうだ、駅のすぐそばに新しい餃子の店ができて、12個で500円。
10時過ぎたら、郵便局に行ってお金をおろして、買い物に行こう。
独居老人のくせに、痛みがひどいとはいえ、家に引きこもってるから
うじうじぐだぐだ。
消極的なオノマトペがたくさん連結して通ります。
座ってることもしんどい、きっと腹筋と背筋がめちゃくちゃ弱ってるのかな?
口笛吹いて ホライ ホラオ
手をとりゆこう ホライアオ
青空に向かい ホライ ホラオ
声高く歌おう ホライアオ~
うん、口角も上がってきた。
心の太陽を 唇に歌を
老人は、古びた椅子に腰をかけ、窓の外を眺めていた。寂しさがその背中にそっと寄り添っていた。家は静まり返り、ただ時折聞こえる時計の針音が静寂を切り裂く。
「ああ、昔は賑やかだったな。子供たちの笑い声や、家族が集まって食卓を囲んでいた頃が懐かしい。今はもう、誰もこないんだ。」
老人は窓の外に広がる小さな庭を見つめながらつぶやいた。彼の心は思い出に浸り、昔の日々がよみがえる。
「妻が言っていたよな。『いつかは孤独になるかもしれないから、その時は自分の足で立ち上がりなさい』って。でもなかなか難しいものだ。」
老人は手に取った写真立てをなでながら、遠い日の笑顔に微笑む。妻の笑顔があれば、寂しさも少しは和らぐのだろうか。
「この家は思い出の詰まった宝箱みたいなものだ。だけど、宝箱を開けても、現実は変わらない。」
彼はゆっくりと起き上がり、静かに歩きながら家の中を巡る。物音一つしない廊下や、しみついた匂いのする台所。これまでの歳月がここに詰まっている。
「もうすぐ誕生日だ。何歳になるんだっけ。数えるのも億劫になってきたな。」
老人は棚から取り出したノートに鉛筆で日付を書き込む。時間が過ぎるのは早いものだ。
「もう少しで夏だ。昔は庭で花たちが咲き誇っていた。今は草花も年老いて、僕と同じくらいの静けさに包まれている。」
窓辺に座りながら老人は外の景色を見つめ、静かに過ぎ去る季節を感じた。太陽はやわらかく頬を撫で、風が遠くの木々の葉をそっと揺らしている。
「こんなに穏やかな日も悪くはない。でもなんだかんだ言って、誰かに話したくなるんだよな。」
老人は部屋に戻り、古びた椅子に再び腰をおろした。手元にある古びたラジオからは懐かしいメロディが流れてくる。
「明日も一日がんばろう。たとえ一人でも、生きるって素晴らしいことだから。」
老人はひとりごちながら、しみじみと笑顔を浮かべた。窓から差し込む光が、彼の寂しさを優しく包み込んでいた。
今日も一日、包丁とまな板を丁寧に洗っている。
昨日書いたような「リンゴの皮をむいたら、ねぎの香がした」なんてことができるだけないようにしたい。
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