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『楢山節考』(ならやまぶしこう)

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『楢山節考』は、深沢七郎の処女作である短編小説。1956年に『中央公論』11月号に掲載され、第1回中央公論新人賞を受賞した。

物語は、信州の山深い村で、70歳になると楢山に捨てられるという風習がある村を舞台に、おりんという老婆が、息子の辰平に背負われて楢山に捨てられるまでの様子を描いたものである。

おりんは、家事や農作業を一生懸命にこなしてきた、村の良き妻であり母親である。しかし、70歳を迎えると、村の掟に従って、楢山に捨てられることになる。

おりんは、楢山に捨てられることを覚悟し、自ら進んで「楢山まいり」の日にちを早める。辰平は、おりんを捨てなければならないことを悲しみながらも、村の掟に逆らうことができない。

おりんと辰平は、楢山に向かう道中で、さまざまな人々と出会う。おりんは、彼らに自分の人生を語り、そして、楢山に捨てられる覚悟を固める。

やがて、楢山に到着したおりんは、辰平に背負われて、山中に分け入っていく。おりんは、村の掟に従って、楢山に捨てられるが、その姿は、神に召されるようにも見える。

『楢山節考』は、高齢者に対する差別や偏見を、厳しくも美しく描いた作品である。また、親子や家族の絆、そして、人間の尊厳を問う作品でもある。

1959年には、木下惠介監督によって映画化され、パルム・ドール(カンヌ国際映画祭最高賞)を受賞した。
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