「俺は小説家になる」と申しております

春秋花壇

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しずく感たっぷりのかんをしゃぱっとあけて、くびくびとビールを飲めば喉を音楽隊が通ります

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暑い夏の日、私は公園のベンチに座って、ビールを飲んでいた。

かなかなかなとうるさいほどのせみ時雨。

わたしの額からは、ぽたぽたと汗がしたたり落ちる。

タオル地のハンカチでゆっくりと首筋を拭いていく。

「はーー。まったりと今日も一日が終わっていく」


缶を手に取ると、しずく感がたっぷりと感じられる。缶の側面をこすると、冷たい水滴が指にまとわりつく。

缶のプルタブを開ける音が、乾いた空気を切り裂く。

シュポッと音を立てて、ビールを口に含む。

はじける炭酸が舌の上で転がっていく。

上あごにに向けて鮮やかに舞い上がる。

照りつける太陽はとうに沈んだはずなのに、

アスファルトに残る真夏日の残骸がいつまでも地球に張り付いていた。

喉を通り抜けるビールの冷たい感触は、まさに至福の瞬間だった。

ビールの味わいは、複雑で奥深い。苦味と甘味が絶妙に混ざり合い、口の中で広がる。

ビールの香りは、麦の香りとホップの香りが合わさって、心地よい。

ビールの音は、喉を通る音と缶を手に取る音が合わさって、心地よいリズムを奏でている。

まるで、喉の中で音楽隊が演奏しているかのようだった。

ビールを一口飲むごとに、疲れが吹き飛んでいく。

暑さも、何もかも忘れて、ただただビールを飲む幸せに浸っていた。

ビールを飲みながら、周りの景色を眺めた。

公園の芝生には、子どもたちが元気に遊んでいる。

ベンチには、カップルを見つめ合う人や、一人でぼんやりと座っている人がいる。

誰もが、それぞれに幸せそうに過ごしている。

私も、この瞬間を大切にしたいと思った。

ビールを飲み終え、缶を捨てる。

缶がゴミ箱に落ちる音が、寂しく響いた。

しかし、私はすぐに立ち上がった。

汗疹ができているのか、首筋とわきの下が痛痒い。

まだ暑い夏は続く。

また、ビールを飲みに来よう。

繁茂した公園の木々からのぞく空が狭い。

そう決めて、公園を後にした。

帰り道、私はふと、こんなことを思った。

「しずく感たっぷりのかんをしゃぱっとあけて、くびくびとビールを飲めば、喉を音楽隊が通る。

そんな、ささやかだけど、幸せな瞬間がある。」

それは、誰にでも経験できる幸せかもしれない。

ふわりふわりと酔いが回って、眉間をかすかに押されていく感じ。

こんな時に君がそばにいてくれたら、ほろりと

「愛 LOVE  優」

と、漏らしてしまうかも……。

そして、この幸せは、きっと、君の心に届くはず

朝顔が恥ずかしそうにつぼみを膨らませてく

もうすぐ風が立つ
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