自分を愛する365日

9月21日 まわりの人を意識的に選択する

まわりの人を意識的に選択する

9月21日。美咲は、久しぶりに一人の時間を作り、カフェの窓際に座っていた。秋の風が軽やかに通り過ぎる中、彼女はこれまでの自分の生活を振り返りながら、ふと心の中に浮かんだ問いかけに思いを巡らせた。

「私は、いったい誰のためにこの生活を続けているんだろう？」

家族や友人、同僚に囲まれながらも、いつもどこか孤独感を感じていた美咲。誰かの期待に応えたり、無意識のうちに周囲の意見に左右されることが多かった。特に最近は、職場での関係がストレスの原因になっていた。彼女は、上司の小言や同僚との競争に疲れ果てていた。

「こんなふうに、人に振り回されるのはもうやめたいな」と、美咲はコーヒーカップをそっとテーブルに戻し、心の中で自分に言い聞かせた。

幼い頃から、両親の期待に応えるために努力してきた美咲。勉強も、部活動も、友人関係も、いつも「正しい選択」をしなければならないと感じていた。だが、成長するにつれ、その「正しさ」が自分自身の意志ではなく、周囲の期待に基づくものであることに気づいた。

最近、彼女は友人の亜希子と話しているときに、ある種の違和感を感じるようになった。亜希子はいつも他人の噂話や愚痴ばかりで、会話のたびに美咲は心が重くなるような感覚を抱いていた。しかし、長い付き合いの中で関係を続けることが「普通」だと考え、深く考えずに付き合っていた。

「でも、もうそろそろ変わる時かもしれない」と美咲は思った。人間関係も選択できるのだと気づいたのだ。

その夜、美咲は自宅のベッドで本を開きながら、心の中で自分に問いかけた。「私は、誰と本当に深い関係を築きたいのか？誰に自分の時間とエネルギーを使いたいのか？」

彼女は紙とペンを取り出し、自分の生活に影響を与えている人たちの名前をリストに書き出した。家族、友人、職場の同僚…。名前を一つ一つ書き出すたびに、その人たちとの関係を振り返った。そして、美咲は気づいた。自分が無意識に誰かのために動いていることが多く、誰に時間を割くかという意識的な選択がほとんどなかったことに。

「この関係は、私にとって本当に必要なのか？」と自問するたびに、美咲は少しずつ答えを見つけ出した。

翌日、彼女は亜希子にメッセージを送った。いつも週末に誘われていた飲み会に対して、初めて断る決断をした。「ごめんね、今週は予定があるから難しいの。次の機会にね」と。

その一言を送るだけでも、美咲は心が軽くなるのを感じた。自分の時間を、意識的に誰に費やすかを決めること。それが自分の生活をコントロールする第一歩だと理解した。

それから数週間、美咲は自分の生活の中で、少しずつ人間関係を見直し始めた。自分にとって本当に大切な友人たちとは、もっと深い交流をしようと決め、逆に、心が疲れる関係は少し距離を置くことにした。

職場でも、彼女は同僚との関係に対して新たな姿勢を持つようになった。無理に合わせることをやめ、自分の意見をしっかり伝えるように心がけた。初めは反発もあったが、次第に彼女の意見を尊重してくれる人たちが増えていった。

美咲の生活は、少しずつシンプルで、心地よいものへと変わっていった。彼女はもう、無意識に誰かの期待に応えるために動くことはなく、自分が選んだ人たちと、心からの関係を築いていくことができるようになった。

9月21日。カフェの窓から差し込む秋の陽射しを浴びながら、美咲は自分の選択が正しかったことを確信していた。これからも、自分自身を大切にし、まわりの人を意識的に選択していこう。