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「アルファポリスのptの基準が解らないよ」
達也さんは昨日も今日も頑張って小説を書いている。
なのに、200ptちょっと。
小説家になろうよりもからいよね。
おはようございます
空を観ろと
あなたが言うから
空の写真を撮りたくて
あっちこっち彷徨った
東京の空は四角くて
綺麗な朝焼けを
垣間見ても
電線や屋根が邪魔して
上手く撮れない
外階段のビルに
不法侵入
最上階に着く前に
ふと思い出した
極度の高所恐怖症
うわーん><
降りられないよ
どうしよう
Help me!! pic.twitter.com/TPG5uq91yw
早朝4時過ぎ。
東の空が赤く染まるころ、
みるくは達也さんに言われたとおり、
空を観察していた。
『 みな月の 有明づくよ つくづくと おもへばをしき 此の世なりけり 』
「素敵な大和言葉ね」
頭の中、お花畑のみるくは、朝から晩まで
達也さんづくし。
自分でもおかしくって笑ってしまうほど、
どっぷりとつかっている。
「達也さん、眠れたかな」
「達也さん、風邪ひいてないかな」
「達也さん、アトピー平気かな」
「達也さん、下痢してないかな」
ヤンデレです。
ごめんなさい。
写真が撮れそうな場所をそぞろ歩き。
昨日の達也さんが書いた小説を思い起こしながら
あんなふうに楽しそうに描写できたらいいのになって。
心ときめかせ。
どこを探しても建物や木で空が物凄く狭い。
「ビルに上がるしかないか」
まだみんな寝ている時間なので、
外階段のある高い建物を捜した。
やっと見つけたビルは外階段のフェンスが低かった。
「うん、ここなら、撮影できそう」
そーと、音を立てない様に一歩一歩昇る。
スポーツジムのような建物みたい。
5階まで来たとき、突然、体が重くなる。
「軟弱な奴め。5階でへたるのか」
叱咤激励しなおも上る。
6階、7階、空だけを眺めながら、
「ここでもだめか。じゃあ、もう少し」
少し息が切れてくる。
「あと、もう少し」
8階を過ぎた辺りで、ふと下を見てしまった。
「え?」
その途端、急に手足が震えだす。
頭の中が真っ白になっていく。
「道路よりではなくビルよりに……」
しゃがみこみそうになる。
「あれ?」
何でこんなことになってるの。
何で私動けないの。
それでも、写真が撮りたいという欲求の方が勝っていたのだろうか。
何とか屋上の一つ下まで来れた。
「あ」
わたし、気付いてしまった。
そう、極度の高所恐怖症で今住んでいる所も、
わざわざ1階を捜したのだ。
なんとか息を整えながら、写真は撮ったんだけど。
その後がどうにもならない。
足の裏は、滑り落ちるあの感覚。
むずむずする。
手はカタカタと震えている。
不随意筋のように思わぬアクションに気持ちばかりが焦ってくる。
おろおろと小動物のように怯えてしまう。
できることなら、ドラえもんのどこでもドアで扉を開けたら自分のお家。
そんなこあるわけないのにね。
天使のはしごのように雲の合間から見える太陽は心躍るほど美しいのにね。
タワマンに住む理由が何となく解るような気さえする。
「下見ちゃダメ」
言い聞かせるのだが、鼻水と涙でこれから
どう対処すればいいのかもわからなくなる。
屋上まで這うようにして辿り着き、少し座って休もうとしたのだが、
それも無理そう。
スマホ持ってたら、レスキュウ呼びたい。
びえーん。
誰かおろしてください。
達也さんは昨日も今日も頑張って小説を書いている。
なのに、200ptちょっと。
小説家になろうよりもからいよね。
おはようございます
空を観ろと
あなたが言うから
空の写真を撮りたくて
あっちこっち彷徨った
東京の空は四角くて
綺麗な朝焼けを
垣間見ても
電線や屋根が邪魔して
上手く撮れない
外階段のビルに
不法侵入
最上階に着く前に
ふと思い出した
極度の高所恐怖症
うわーん><
降りられないよ
どうしよう
Help me!! pic.twitter.com/TPG5uq91yw
早朝4時過ぎ。
東の空が赤く染まるころ、
みるくは達也さんに言われたとおり、
空を観察していた。
『 みな月の 有明づくよ つくづくと おもへばをしき 此の世なりけり 』
「素敵な大和言葉ね」
頭の中、お花畑のみるくは、朝から晩まで
達也さんづくし。
自分でもおかしくって笑ってしまうほど、
どっぷりとつかっている。
「達也さん、眠れたかな」
「達也さん、風邪ひいてないかな」
「達也さん、アトピー平気かな」
「達也さん、下痢してないかな」
ヤンデレです。
ごめんなさい。
写真が撮れそうな場所をそぞろ歩き。
昨日の達也さんが書いた小説を思い起こしながら
あんなふうに楽しそうに描写できたらいいのになって。
心ときめかせ。
どこを探しても建物や木で空が物凄く狭い。
「ビルに上がるしかないか」
まだみんな寝ている時間なので、
外階段のある高い建物を捜した。
やっと見つけたビルは外階段のフェンスが低かった。
「うん、ここなら、撮影できそう」
そーと、音を立てない様に一歩一歩昇る。
スポーツジムのような建物みたい。
5階まで来たとき、突然、体が重くなる。
「軟弱な奴め。5階でへたるのか」
叱咤激励しなおも上る。
6階、7階、空だけを眺めながら、
「ここでもだめか。じゃあ、もう少し」
少し息が切れてくる。
「あと、もう少し」
8階を過ぎた辺りで、ふと下を見てしまった。
「え?」
その途端、急に手足が震えだす。
頭の中が真っ白になっていく。
「道路よりではなくビルよりに……」
しゃがみこみそうになる。
「あれ?」
何でこんなことになってるの。
何で私動けないの。
それでも、写真が撮りたいという欲求の方が勝っていたのだろうか。
何とか屋上の一つ下まで来れた。
「あ」
わたし、気付いてしまった。
そう、極度の高所恐怖症で今住んでいる所も、
わざわざ1階を捜したのだ。
なんとか息を整えながら、写真は撮ったんだけど。
その後がどうにもならない。
足の裏は、滑り落ちるあの感覚。
むずむずする。
手はカタカタと震えている。
不随意筋のように思わぬアクションに気持ちばかりが焦ってくる。
おろおろと小動物のように怯えてしまう。
できることなら、ドラえもんのどこでもドアで扉を開けたら自分のお家。
そんなこあるわけないのにね。
天使のはしごのように雲の合間から見える太陽は心躍るほど美しいのにね。
タワマンに住む理由が何となく解るような気さえする。
「下見ちゃダメ」
言い聞かせるのだが、鼻水と涙でこれから
どう対処すればいいのかもわからなくなる。
屋上まで這うようにして辿り着き、少し座って休もうとしたのだが、
それも無理そう。
スマホ持ってたら、レスキュウ呼びたい。
びえーん。
誰かおろしてください。
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