離婚率35%

紙切れ一枚に大きな重力を感じました

真夏の太陽が容赦なく照りつける中、アスファルトの熱気は肌を刺すように熱い。そんな日、私は離婚届を手に、重たい足取りで区役所へ向かっていた。

結婚生活は5年。かつては愛し合い、幸せを誓った相手との関係は、いつの間にか修復不可能なほど壊れていた。原因は些細な諍いの積み重ね。互いの理解が欠如し、言葉は棘となり、愛情は憎悪へと変わっていった。

離婚届を提出する窓口は、まるで人生の終着駅のような静寂に包まれていた。目の前に置かれた書類に、私は何度もためらった。しかし、もう後戻りはできない。深呼吸をして、私はペンを握り、署名欄に自分の名前を記した。

書類を提出した瞬間、奇妙な解放感と喪失感が同時に押し寄せた。これで自由になる。しかし、同時に、愛する人を失った喪失感も拭えない。

区役所を出た私は、人混みに紛れて歩き出した。行き先は決まっていない。ただ、このまま家に帰るには早すぎる。何気なく見上げた空は、どこまでも高く、青く、眩しかった。

公園のベンチに腰掛け、私は空を見上げた。離婚という決断は正しいのだろうか。後悔はしないのだろうか。答えはどこにもない。ただ、太陽の光は、私の顔を優しく照らしていた。

ふと、携帯電話が鳴った。画面には、夫の名前が表示されていた。一瞬、無視しようと思ったが、思い切って電話に出た。

「離婚届、出したんだって。」

夫の声は、どこか虚無感に満ちていた。

「ああ。」

私は、ただそれだけ答えた。

「…ごめん。」

夫は、短い沈黙の後、そう呟いた。

「…私も。」

私も、同じ言葉を返した。

電話を切った後、私はしばらく呆然と空を見上げていた。

離婚という決断は、決して簡単ではない。しかし、それは新たな始まりの一歩でもある。

これから私は、自分の人生を歩んでいく。どんな未来が待っているかは分からない。しかし、私は希望を捨てない。

いつか、また誰かと愛を分かち合える日が来ると信じて。

公園を後にし、私は歩き出した。一歩、一歩、力強く。

太陽の光が、私の背中を押してくれるように感じた。

「紙切れ一枚に大きな重力を感じました」

結婚するまでは、彼の一挙一投足がいとおしかった。

あばたもえぐぼで、汗の匂いさえ男らしさの象徴だと感じていたのに。

いつからだろう?

新型感染症で、二人が家にいることが増えてから?

お互いにスマホを見てることが増えていった。

初めはこれじゃあいけないねとスマホの電源を切って、

一緒に食事をしたりしていたのだが、

いつしかさっさと食べて、自分のしたいことに戻っていった。

以前のように、食事の食材のことに触れることはほとんどなくなった。

セックスレスになって、別々なベッドに寝るようになって

どんどんただの同居人になっていった。


「ありがとう」

を言うこともなく、

「あら、いたの？」

って……。

二人で一緒に出掛けることもできなかったから、

関係をリセットするのも難しかったのかな?

愛は、流れなくなり、澱んで瀞になり、

それさえも汚泥に変わっていくのかもしれない。

「ごめんね」

新たな一歩
離婚から数ヶ月が経った。

私は、新しい生活に慣れ始めていた。一人暮らしのアパートは狭いが、自分だけの空間は心地良い。仕事も充実し、以前よりも責任感のある自分に成長していた。

週末は、友人と会ったり、趣味を楽しんだり、充実した時間を過ごしている。以前は夫と過ごす時間だけが全てだったが、今は自分のために使える時間が増え、心が解放されたような感覚だった。

ある日、私は久しぶりに街で元夫と会った。彼は少し痩せて、顔には疲労の色が濃かった。

「元気？」

私は、ぎこちなく声をかけた。

「ああ、元気だよ。」

彼は、苦笑いしながら答えた。

「…新しい彼女、できた？」

私は、思わず聞いてしまった。

「…まだだよ。」

彼は、うつむきながら答えた。

私たちは、しばらく言葉を交わさなかった。

「…よかった。」

私は、小さな声で呟いた。

彼は、私の言葉に驚いたような顔をした。

「…なんで？」

彼は、目を丸くして聞いてきた。

「…あなたにも、幸せになってほしいから。」

私は、彼の目をまっすぐ見つめて答えた。

彼は、何も言わず、ただ私の言葉を受け止めた。

その日以来、私たちは連絡を取っていない。しかし、あの時の彼の表情を、私は忘れない。

離婚は、決して美しいものではない。しかし、それは人生の新たなスタートでもある。

私は、これからも自分の人生を歩んでいく。

いつか、また誰かと愛を分かち合える日が来ると信じて。

そして、その時には、心から幸せになれるよう、自分自身を成長させていきたい。

希望の光
数年後、私は新しいパートナーと出会い、再婚した。彼は優しくて誠実な人。私を尊重し、支えてくれる。

私たちは、小さな子供を授かった。子供は元気で、毎日笑顔を絶やさない。

私は、今ようやく、本当の幸せを見つけたような気がする。

離婚という苦難を乗り越えたからこそ、今の幸せがより一層輝いて見える。

人生は、山あり谷あり。

しかし、どんなに辛い時でも、希望を捨てずに歩んでいけば、必ず光は見えてくる。

私は、これからも家族と共に、幸せな人生を歩んでいきたい。

そして、いつか自分の経験を誰かに語り、希望を与えることができたら、これ以上の喜びはない。