トレンド

春秋花壇

文字の大きさ
上 下
198 / 556

怪獣王、覚醒 キングオブモンス

しおりを挟む
怪獣王、覚醒

夜の帳が下り、街を暗闇が包み込む。

高層ビル群の影から、巨大な影がゆっくりと姿を現した。それは、かつて人々に恐れられた怪獣王、キングオブモンスだった。

かつて、キングオブモンスは街を破壊し、人々を恐怖に陥れた。しかし、ウルトラマンの手によって倒され、長い眠りに就いていた。

しかし、再び目覚めたキングオブモンスは、かつてとは違う姿を見せていた。体は傷つき、弱り果て、かつての威厳は失われていた。

キングオブモンスは、街を見下ろし、呟いた。

「無理するな。お前も強くてかっこいい怪獣が好きなんだろ?町を破壊し、大暴れする怪獣たちが大好きだ……でもそんなこと言ったら笑われるもんな、いい年して怪獣なんか、幼稚な、ダサい、くだらない。くだらなくて悪かったな!今こそ見せてやる、怪獣の本当の凄さを、その恐ろしさを!! 全て壊してやる! こんな世界全てぶち壊すんだ!! 暴れろ、俺の最恐怪獣・キングオブモ――ンス!!!」

キングオブモンスは、渾身の咆哮を上げ、街に向かって突進した。

街の人々は、キングオブモンスの咆哮を聞いて、恐怖に震え上がった。しかし、中には、キングオブモンスの言葉を聞き、かつての怪獣王の姿を思い出した人もいた。

かつてのキングオブモンスは、強かった。

人々を恐怖に陥れながらも、どこか哀愁漂う姿は、多くの人々の心を惹きつけていた。

しかし、今は違う。弱り果て、傷つき、絶望に打ちひしがれたキングオブモンスは、ただ破壊するだけだった。

キングオブモンスは、街を破壊し続けた。

建物は倒壊し、車はひっくり返り、人々は逃げ惑った。しかし、キングオブモンスは止まらない。

その時、背後から声が聞こえた。

「キングオブモンス、お前は本当にそれでいいのか?」

キングオブモンスは振り返った。

そこには、かつての宿敵であるウルトラマンが立っていた。ウルトラマンは、キングオブモンスを見つめ、静かに言った。

「お前は、まだ戦える。まだ、怪獣王として、人々を恐怖させることができる。しかし、それは本当に、お前が望むことなのか?」

キングオブモンスは、言葉を失った。

ウルトラマンの言葉は、キングオブモンスの心に深く突き刺さった。

キングオブモンスは、街を見下ろし、自問自答した。

自分は本当に、この街を破壊したいのか? 自分は本当に、人々を恐怖に陥れたいのか?

キングオブモンスは、答えを見つけた。

自分は、もう戦いたくない。もう、人を傷つけたくない。

キングオブモンスは、ウルトラマンに跪いた。

そして、言った。

「ウルトラマン、助けてくれ。俺を、この苦しみから解放してくれ。」

ウルトラマンは、キングオブモンスに手を差し伸べた。

そして、言った。

「キングオブモンス、お前は間違っていない。お前は、強くてかっこいい怪獣だ。しかし、もう戦う必要はない。俺が、お前を導いてやる。」

キングオブモンスは、ウルトラマンの手を取った。

そして、立ち上がった。

キングオブモンスは、街に向かって叫んだ。

「俺は、もう戦わない! もう、人を傷つけない! 俺の力は、人々を守るために使う!」

街の人々は、キングオブモンスの言葉を聞いて、歓声を上げた。

かつての怪獣王は、再び立ち上がった。

キングオブモンスは、ウルトラマンと共に、街を復興するために戦い始めた。

夜明けが近づき、街は再び明るさを取り戻した。

キングオブモンスは、街を見下ろし、微笑んだ。

ようやく、本当の自分を見つけられた。

キングオブモンスは、怪獣王として、人々を守るために戦い続けることを誓った。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

シニカルな話はいかが

小木田十(おぎたみつる)
現代文学
皮肉の効いた、ブラックな笑いのショートショート集を、お楽しみあれ。 /小木田十(おぎたみつる) フリーライター。映画ノベライズ『ALWAIS 続・三丁目の夕日 完全ノベライズ版』『小説 土竜の唄』『小説 土竜の唄 チャイニーズマフィア編』『闇金ウシジマくん』などを担当。2023年、掌編『限界集落の引きこもり』で第4回引きこもり文学大賞 三席入選。2024年、掌編『鳥もつ煮』で山梨日日新聞新春文芸 一席入選(元旦紙面に掲載)。

そのご令嬢、婚約破棄されました。

玉響なつめ
恋愛
学校内で呼び出されたアルシャンティ・バーナード侯爵令嬢は婚約者の姿を見て「きたな」と思った。 婚約者であるレオナルド・ディルファはただ頭を下げ、「すまない」といった。 その傍らには見るも愛らしい男爵令嬢の姿がある。 よくある婚約破棄の、一幕。 ※小説家になろう にも掲載しています。

双子の姉がなりすまして婚約者の寝てる部屋に忍び込んだ

海林檎
恋愛
昔から人のものを欲しがる癖のある双子姉が私の婚約者が寝泊まりしている部屋に忍びこんだらしい。 あぁ、大丈夫よ。 だって彼私の部屋にいるもん。 部屋からしばらくすると妹の叫び声が聞こえてきた。

私はアナタから消えます。

転生ストーリー大好物
恋愛
振り向いてくれないなら死んだ方がいいのかな ただ辛いだけの話です。

ご飯を食べて異世界に行こう

compo
ライト文芸
会社が潰れた… 僅かばかりの退職金を貰ったけど、独身寮を追い出される事になった僕は、貯金と失業手当を片手に新たな旅に出る事にしよう。 僕には生まれつき、物理的にあり得ない異能を身につけている。 異能を持って、旅する先は…。 「異世界」じゃないよ。 日本だよ。日本には変わりないよ。

悠久の機甲歩兵

竹氏
ファンタジー
文明が崩壊してから800年。文化や技術がリセットされた世界に、その理由を知っている人間は居なくなっていた。 彼はその世界で目覚めた。綻びだらけの太古の文明の記憶と機甲歩兵マキナを操る技術を持って。 文明が崩壊し変わり果てた世界で彼は生きる。今は放浪者として。 ※現在毎日更新中

因果応報以上の罰を

下菊みこと
ファンタジー
ざまぁというか行き過ぎた報復があります、ご注意下さい。 どこを取っても救いのない話。 ご都合主義の…バッドエンド?ビターエンド? 小説家になろう様でも投稿しています。

鬼母(おにばば)日記

歌あそべ
現代文学
ひろしの母は、ひろしのために母親らしいことは何もしなかった。 そんな駄目な母親は、やがてひろしとひろしの妻となった私を悩ます鬼母(おにばば)に(?) 鬼母(おにばば)と暮らした日々を綴った日記。

処理中です...