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冬のあたたかさ
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「冬のあたたかさ」
冬の寒さが身に染みる中、私は息子と二人きりで向き合っていた。昨日の会議が、まるで断罪裁判のようだった。七人もの人たちが一堂に会し、私たち親子の生活を決めつけるような話がなされた。私たちは発達障害を抱え、統合失調症の診断も受けている。それだけで十分に困難な状況なのに、さらに「居宅に値しない」との評価が書面に記され、私たちの存在がどれほど社会に迷惑をかけているのかを証明されたような気がした。
その書面を手にして、私はただ黙っていた。どう受け取るべきか分からなかった。素直に感謝すべきことだと言われれば、それはそれでありがたいことなのだろう。しかし、私は一緒に住みたいんだ。息子と、他の子供たちと一緒に過ごしたい。どんなに障害を抱え、社会の期待に応えられなくても、それだけは叶えたかった。
息子がちらりと私を見つめ、少しの沈黙の後に言った。「ママ、僕は一緒に住みたい。ずっと一緒にいたい。」その言葉が胸に突き刺さった。私も同じ気持ちだった。だが、母のアパートで一緒に暮らすことは、家族の中でも認められなかった。それは当然だろう、私の記憶力が衰え、日々の生活に不安を感じるようになったから。最近では、思い出すことすらできない小さな出来事が多くなってきた。
先日、長年活動してきた小説投稿サイトで規約違反を犯し、作品を削除されるという出来事があった。小説を書くことが、私にとって唯一の救いだったのに、その道も閉ざされてしまった。どれだけ努力しても、どれだけ手を伸ばしても、生活を支えるためのお金は足りず、気づけば生活保護を受ける日々が続いていた。
あの日、七人の会議で言われた言葉が頭を離れない。「これ以上、あなたたちの生活を支援することはできません。」その言葉は、まるで私たちが邪魔者であるかのように響いた。息子と二人、どんなに小さなことでも支え合い、頼り合って生きていこうと思っているのに、それが許されないのだろうか。
「でも、ママ、僕は大丈夫だよ。」息子の言葉が、今までの不安を少しだけ和らげてくれた。彼はそう言いながらも、どこか悲しそうに笑っている。その顔を見て、私は改めて彼のために頑張ろうと思った。
後悔は多いけれど、それでも私は息子がいてくれることを感謝している。二人の子供が亡くなったことは、私にとって一生の悔いだ。しかし、残りの二人がこうして私の元にいてくれること、それがどれほどありがたいことか、日々実感している。
「ありがとう、ママ。かあさんがいるから僕は幸せだよ。」
息子のその一言は、私の心にしみる。どんなに暗い日々が続いても、彼の存在が私の支えとなっている。それだけが私の希望だった。
クリスマスもお正月も、今年も一緒に過ごせない。でも、それでもいい。どんなに寒い冬でも、心の中には温かさを感じることができる。息子がいる限り、私はこの寒さにも耐えられる。
外は冷え込んでいたが、私たちの小さな部屋はどこか温かかった。火を灯した小さなストーブが、ほんのりと温かい空気を作り出し、私は息子と一緒に過ごすことの幸せを感じていた。
今年の冬も、またひとつ過ぎていく。どんなに生活が厳しくても、どんなに世間に理解されなくても、私たちは二人で生きていく。それが私たちの選んだ道だ。
そして、また来年の冬も、息子と一緒に暖かい部屋で過ごすことを願って。
冬の寒さが身に染みる中、私は息子と二人きりで向き合っていた。昨日の会議が、まるで断罪裁判のようだった。七人もの人たちが一堂に会し、私たち親子の生活を決めつけるような話がなされた。私たちは発達障害を抱え、統合失調症の診断も受けている。それだけで十分に困難な状況なのに、さらに「居宅に値しない」との評価が書面に記され、私たちの存在がどれほど社会に迷惑をかけているのかを証明されたような気がした。
その書面を手にして、私はただ黙っていた。どう受け取るべきか分からなかった。素直に感謝すべきことだと言われれば、それはそれでありがたいことなのだろう。しかし、私は一緒に住みたいんだ。息子と、他の子供たちと一緒に過ごしたい。どんなに障害を抱え、社会の期待に応えられなくても、それだけは叶えたかった。
息子がちらりと私を見つめ、少しの沈黙の後に言った。「ママ、僕は一緒に住みたい。ずっと一緒にいたい。」その言葉が胸に突き刺さった。私も同じ気持ちだった。だが、母のアパートで一緒に暮らすことは、家族の中でも認められなかった。それは当然だろう、私の記憶力が衰え、日々の生活に不安を感じるようになったから。最近では、思い出すことすらできない小さな出来事が多くなってきた。
先日、長年活動してきた小説投稿サイトで規約違反を犯し、作品を削除されるという出来事があった。小説を書くことが、私にとって唯一の救いだったのに、その道も閉ざされてしまった。どれだけ努力しても、どれだけ手を伸ばしても、生活を支えるためのお金は足りず、気づけば生活保護を受ける日々が続いていた。
あの日、七人の会議で言われた言葉が頭を離れない。「これ以上、あなたたちの生活を支援することはできません。」その言葉は、まるで私たちが邪魔者であるかのように響いた。息子と二人、どんなに小さなことでも支え合い、頼り合って生きていこうと思っているのに、それが許されないのだろうか。
「でも、ママ、僕は大丈夫だよ。」息子の言葉が、今までの不安を少しだけ和らげてくれた。彼はそう言いながらも、どこか悲しそうに笑っている。その顔を見て、私は改めて彼のために頑張ろうと思った。
後悔は多いけれど、それでも私は息子がいてくれることを感謝している。二人の子供が亡くなったことは、私にとって一生の悔いだ。しかし、残りの二人がこうして私の元にいてくれること、それがどれほどありがたいことか、日々実感している。
「ありがとう、ママ。かあさんがいるから僕は幸せだよ。」
息子のその一言は、私の心にしみる。どんなに暗い日々が続いても、彼の存在が私の支えとなっている。それだけが私の希望だった。
クリスマスもお正月も、今年も一緒に過ごせない。でも、それでもいい。どんなに寒い冬でも、心の中には温かさを感じることができる。息子がいる限り、私はこの寒さにも耐えられる。
外は冷え込んでいたが、私たちの小さな部屋はどこか温かかった。火を灯した小さなストーブが、ほんのりと温かい空気を作り出し、私は息子と一緒に過ごすことの幸せを感じていた。
今年の冬も、またひとつ過ぎていく。どんなに生活が厳しくても、どんなに世間に理解されなくても、私たちは二人で生きていく。それが私たちの選んだ道だ。
そして、また来年の冬も、息子と一緒に暖かい部屋で過ごすことを願って。
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