ありがとうの詩

春秋花壇

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終わりのない医療保護入院

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終わりのない医療保護入院

白い壁、冷たい床
窓の外に見えるのは灰色の空
空気の中に漂う静けさ
時間が止まったような感覚

足音が響く廊下を
看護師が通り過ぎていく
顔も見せず、ただそのまま
人々の目は遠くを見つめる

ここでは終わりのない日々が続く
出口のない部屋で囚われたように
一歩踏み出せばまたその足が
戻されるだけ

医療保護、名の下で
自由は閉じ込められたまま
過去の自分も、未来の夢も
すり抜けていく

薬が与えられ、眠りに落ちる
そのたびに心は遠くへ
夜が訪れ、また一人になり
明日が来るのかさえわからない

病院の庭、閉じられた扉
そこにはたどり着けない
誰もが見ているけれど
誰もが触れられない場所

時が経ち、季節が変わっても
体はここに、心はそこに
思い出は霞んで消えていく
終わりのない医療保護入院

でもそれでも生きている
無力でも、静かにただ
希望を持ちながら
もう一度外の世界を見てみたいと願う






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