ありがとうの詩

春秋花壇

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根を伸ばす日々

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根を伸ばす日々

寒い冬の朝、目を覚ました瞬間、部屋の中は薄暗く、ストーブも火を入れていないため冷え切っていた。壁に掛けた時計の針が7時を指している。外は薄曇りで、雪がちらついていたが、風はそれほど強くなく、静かな一日が始まろうとしている。だが、心の中には重い霧が立ち込めていた。

「また、君がいないんだ。」

この言葉が頭をよぎる。君の顔が浮かんで、ふっと胸が苦しくなった。あの頃の笑顔や、一緒に過ごした時間が、まるで昨日のことのように思い出されるが、同時にあの頃の生活がもう二度と戻らないことを痛感させられる。君がいなくなってから、日々がどんどん厳しくなっていった。

食事のことも、生活費のことも、すべて君に依存していた。君が支えてくれていたから、何とかやってこれた。しかし、君がいなくなった今、僕は一人で生活を支える力を持っていない。君の障害年金が入る日を楽しみにしていた日々が、今は遠く感じる。

「シケモクの入ったビニールから、少しでも長い奴を拾って火をつけよう。」

今日もまた、そんなやりくりをする日がやってきた。部屋の中に落ちている煙草の吸い殻を手に取る。手元に火をつけるためのチャッカマンしかないけれど、火を灯せるだけありがたいと思うべきだろう。これがないと、寒さで手がかじかんで動かないからだ。

煙草を吸いながら、何か温かいものを食べたいと強く思う。冷蔵庫の中を見渡してみる。豆腐、豆苗、えのきだけ、玉ねぎ、わかめ――確かに食べるものはある。でも、少しばかり寂しい気がした。お米も炊けばいいけど、君がいないからもう買えないのだと思うと、胸が痛む。

君と一緒に過ごしていた頃は、金銭的な心配も少なくて、月曜日の朝には必ず君のお金が入ってきて、それでビールを買ったり、お寿司を食べたりすることができた。あの頃は幸せだったのかもしれない。いや、きっと幸せだったんだろう。でも、今はその「幸せ」がどこにあるのか、わからなくなってしまった。

「つらくても、悲しくても、苦しくても、やらなきゃいけない時期だ。」

無理にでも、そう言い聞かせて、今日はまたひとりで一日を乗り越えなければならない。卵を2個割り入れたスープを作り、豆腐を少し加えてみる。それが今日の食事だ。でも、それだけで十分だと思える自分がいる。何とかなるはずだと、自分を励ます。

「わかめが少し残っているから、それを入れたらもう少し味が出るかも。」

そんなことを思いながら、スープを静かにかき混ぜる。味は薄いが、体が温まるのを感じる。寒い冬の朝、この暖かさだけでもありがたいと思うしかない。

君がいないことを考えると、どうしても涙が出そうになる。君の存在が、あまりにも大きかったからだ。君がいるときは、何もかもが上手くいっていたような気がして、君がいなくなった今、僕は本当に無力だと思わされる。だけど、無力だと感じることが、今の自分を少しでも強くしてくれるのだろうか。

「何とかなる、何とかするんだ。」

心の中で、何度も繰り返す言葉。自分を励ますための呪文のようなものだ。それがどれほど無意味に感じられようとも、そうして前を向かないと、立ち止まっているわけにはいかない。もし止まったら、すべてが終わってしまう気がするから。

冷蔵庫を開けて、わずかな材料でできる料理を作りながら、心の中で少しずつ自分を取り戻していくような気がした。食事を終え、ひと息ついた後、部屋の片隅に座って考える。

「これからどうやって生きていけばいいんだろう?」

この問いに、答えは見つからない。ただ、今は目の前のことをひとつひとつこなすしかない。生活の中で小さな喜びを見つけ、それを大切にしていくこと。どんなに小さな一歩でも、前に進まなければならないのだ。

「しっかり今の感情をとらえて、心の機微を書き記す練習をするんだ。」

そう、書き記すことで、少しでも心を整理できるのかもしれない。小さな希望を見つけること、それが今の僕にできる唯一のことだ。

寒い日は、どこまでも寒く、何も咲かないように感じる。でも、根は必ず下に伸びていく。そうやって、地中でひたすら耐えて、少しずつ力を蓄えていくのだ。

「おはよう。新しい朝だよ。」

そう、自分に言い聞かせるように、今日を始める。それが、たとえ暗い日々の中でも、少しでも前を向いて進むための力になるのだろうと信じて。

心の中で、君に感謝の気持ちを込めて。







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