ありがとうの詩

搾取子の願い

 搾取子の願い

冷たい風が窓から差し込み、部屋を薄暗くしていた。今夜もまた、心の中に渦巻く不安を抱えながら、私はひとりその空間に沈んでいた。時計の針が進んでいくのを感じるたびに、冷や汗が背中を流れ落ちる。お金がない、生活が苦しい、それが私の毎日だった。けれど、今日という日は特別だった。家族が入院してしまい、頼れるものがひとつ、またひとつと消えていった。今、手元にあるのは、私自身のお金だけ。これまでの生活が、今、目の前で崩れ始めている。

お金がない。私の心はその事実に押し潰されそうだった。これまでは家族のお金に依存していた。家族の障碍者年金、そして二日に一度入るお金。私はその流れの中で、どうにか生活をしていた。だが、今はそれがない。家族が入院している今、私に頼るものは何もなく、ただ自分一人の力でこの日々を乗り越えなければならない。

「どうしよう…」

声に出してみても、空しい響きが部屋に響くだけだった。私の手元にあるのは、わずかな金額の入金だけ。次の入金まで、まだ数日ある。その間、どうやってしのげばいいのか、答えは見つからなかった。

私はADHDだ。計画的にお金を使うのは、どれだけ頑張ってもできない。計画的に、冷静にお金を管理することなんて、私には無理だった。それはずっと感じていたことだったし、今までは家族のお金でどうにかなっていた。しかし、今その支えが消えてしまったことで、私の足元は崩れ落ちそうになっていた。

「今まで、どれだけ依存していたんだろう…」

その言葉が、胸に刺さった。家族の支えがあったからこそ、私は何も考えずに生きてこられた。しかし、今それがなくなり、私一人でやっていかなければならない現実に直面している。どうしてこんなに依存してしまったのだろう。どうしてもっと早くに自立しなかったのだろう。そんな思いが頭の中を巡るが、それを後悔してもどうしようもない。

「もう、どうにもならないよね…」

私の心の中で、何度もその言葉が反響する。けれど、実際にその現実に直面している私には、今その言葉を言っている余裕すらなかった。お金がない。生活のために必要なものを買うお金すらない。そのことが、私をますます追い詰めていた。

それでも、私は何とかしなければならない。泣いても仕方がない。現実を受け入れて、前を向かなければならない。どうにかして乗り越えなければならない。そんな思いが心の中で渦巻いていた。

そのとき、部屋の隅に置いてある一枚のメモが目に入った。それは、私が何度も見返していた、家計の管理表だった。そこに書かれた数字を見ると、何もかもが無理だと思える。けれど、私はそのメモをじっと見つめることにした。

「ここからどうにかしなければならない…」

私は少しだけ深呼吸をして、ペンを取った。何もできないと思っていたけれど、今ならできるかもしれない。少しでも、無駄を減らして、次の入金まで何とかしのげるかもしれない。それが私にできることだと、心に誓った。

そして、ふと気づいた。私には、支えがなくても一人で生きていける力があるのかもしれない。それは今はまだ分からないけれど、少なくとも私はあきらめることはできない。

「ごめんね、搾取子…」

その言葉を胸の中でつぶやいた。私が依存していたから、家族に負担をかけてしまった。それを反省し、心から謝った。そして、これからは少しでも自立して生きていこうと、決意を新たにした。

これから先、どれほど辛いことが待っていようとも、私は生き抜かなければならない。それが私に与えられた試練であり、私の成長のために必要なことだと信じて。どんなに辛くても、私は立ち上がる。

お金がない今でも、私は一歩一歩前に進んでいくしかない。きっと、それが私にできることだ。

そして、最後に心の中で誓った。

「私は、この壁を乗り越えてみせる」