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僕はもふもふのジュリアーノ 女性のリハビリ施設
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「右手が寂しい。抱っこしていた胸が寒い」
ママは、子供を養護施設に預けて、
女性のリハビリ施設に入寮したんだけど、
子供たちと、ミーティングに行くとき、
少年とつないでいた右手が、やけに冷たく寂しかった。
いつもお嬢ちゃんを抱っこしていたから、寒くて心が凍えそうだった。
ママは、はじめ怒ってばかりいた。
自分が許せなかったのだろう。
「ばかやろう、てめえなんか死んじまえ」
「産むだけなら犬猫でもできる」
「親になる資格なし」
これ以上ないほどに、自分を裁く。
ここは、施設。
ODすることも、自殺することもできない。
みんな生きるために闘っている。
一切の薬を飲むことができない。
まあ、処方された薬を飲んで意識がなくなって、
少年にお酒を買いに行かせてしまったママからしたら、
薬なんてとんでもないんだろうけど。
自己肯定感なんてまるでない。
徹底的に無力になったもののみが這い上がれると悟る。
この施設のプログラムは、個人に合わせて、スタッフ会議で決められる。
一日、3ミーティングを基本として、起床、歯磨き、掃除、食事、
規則正しい。
合宿みたいでとても楽しかった。
それでも、小さないざこざは結構あって、
特にママは解離性遁走があるから、ミーティーング中に
突然出て行って、チョコレートを買いにいったりして、
スタッフを困惑させていた。
あまりに頭痛と行動発作がひどいために、
ママだけ、漢方薬を処方されたりしていた。
スタッフもママの家族も保健婦さんも病院のカウンセラーも主治医も、
ママの決断に賛同し、協力しようとしてくれている。
ママは、この長くつらい戦いに疲れ果て、何度も分投げようとするのだが、
不思議な形でそれは止められた。
たとえば、ママは支持されたことを持続してやることに異常に抵抗する。
いたって反抗的なのである。
新宿の歌舞伎町にもうどうでもよくなって、遊びにいったりするのだか、
施設の子供たちが、少年は腕の骨をおり、お嬢ちゃんは歯が折れて、
やるしかない状態に追いやられる。
なんとも不思議な家族だ。
運命共同体。
へたをすると、離れてもなお、共依存状態。
1年間の入寮生活は、本当に長くつらい戦いであった。
ママは、生まれてはじめて、事務職に就労したりするのだが、
専務と仲良くなってしまったりして、
お茶に誘われて、何度か食事をしたりしただけなのだが。
突然スタッフ会議で、勤務先変更が決まってしまったりする。
男性にもてるのはママだけのせいじゃないのに。
まるで問題児。まあ、実際に問題児なのだが。
子供の頃から、家が料理屋だったり、
芸者さんの見習いをしていたりして、
媚を売ることが自然と身についているのかもしれない。
危ない危ない。
人間なんて、どんなに悔いても、
1年くらいでそんなに変われるわけもなく、
まして、自己肯定感なんて全くないから、
お得意の表面いいこを演じて、
時を過ごしたようなものなのかもしれない。
仲間の男性が少年に会いに行ったり、
いろいろ問題があるためにとりあえず、復縁が決まる。
何にも解決していないのにね。
パパさんは、家がなくなってから、
池袋のマンションの5階に住んでいたのだが、
ママは高所恐怖症なので、
とりあえず施設のそばの一軒家を借りて住むことになった。
もちろん、子供たち二人を引き取って。
さて、待ちに待った子供たちとの生活。
ミーティングに行くことは禁じられた。
他の入寮した人たちは、ミーティングに行くことからはじめるのに、
ママは何があってもミーティングにいく行かないと怖くて仕方ないという
症状だったから、行かないことからプログラムは組まれた。
嬉しい楽しいはずの団欒。
食事つくり。
なのに、ものすごい頭痛で、
息をすることさえしんどかった。
僕はもふもふのジュリアーノ。マルチーズ。
かつて、ママに飼われていた。
今はお空のお星様。
ママを守るためにここにいる。
その頭痛は、吐くほどにひどく、
そばで見ている僕は悲しくなる。
「一体、ママはいつになったら幸せになれるの」
少年が、夜中に起きると、冷蔵庫の前がうすぼんやり明るい。
怖いけれど、目を凝らしてみると、
冷蔵庫の扉を開けてママが箱のアイスをほうばっている。
少年は、いまだにその光景を思い出すという。
「こわかったーー」
少年はつぶやく。
ママの意識はなかった。
ママはすでに壊れていて、治ることはないのだろうか。
いろんな困難の中で、家族は力を合わせ、
明るく楽しい生活をしようとする。
夜、寝る前に今日あった感謝できることを言い合う。
「朝、遅刻しないで学校に行けた」
ぱちぱちぱち、拍手。
「ママとおいしいお料理をみんなで作れた」
パチパチパチ、拍手。
「ママと熱帯魚を買いに行った」
8888888、拍手。
どうか、この幸せが続きますように。
読んで下さってありがとうございます。
ママは、子供を養護施設に預けて、
女性のリハビリ施設に入寮したんだけど、
子供たちと、ミーティングに行くとき、
少年とつないでいた右手が、やけに冷たく寂しかった。
いつもお嬢ちゃんを抱っこしていたから、寒くて心が凍えそうだった。
ママは、はじめ怒ってばかりいた。
自分が許せなかったのだろう。
「ばかやろう、てめえなんか死んじまえ」
「産むだけなら犬猫でもできる」
「親になる資格なし」
これ以上ないほどに、自分を裁く。
ここは、施設。
ODすることも、自殺することもできない。
みんな生きるために闘っている。
一切の薬を飲むことができない。
まあ、処方された薬を飲んで意識がなくなって、
少年にお酒を買いに行かせてしまったママからしたら、
薬なんてとんでもないんだろうけど。
自己肯定感なんてまるでない。
徹底的に無力になったもののみが這い上がれると悟る。
この施設のプログラムは、個人に合わせて、スタッフ会議で決められる。
一日、3ミーティングを基本として、起床、歯磨き、掃除、食事、
規則正しい。
合宿みたいでとても楽しかった。
それでも、小さないざこざは結構あって、
特にママは解離性遁走があるから、ミーティーング中に
突然出て行って、チョコレートを買いにいったりして、
スタッフを困惑させていた。
あまりに頭痛と行動発作がひどいために、
ママだけ、漢方薬を処方されたりしていた。
スタッフもママの家族も保健婦さんも病院のカウンセラーも主治医も、
ママの決断に賛同し、協力しようとしてくれている。
ママは、この長くつらい戦いに疲れ果て、何度も分投げようとするのだが、
不思議な形でそれは止められた。
たとえば、ママは支持されたことを持続してやることに異常に抵抗する。
いたって反抗的なのである。
新宿の歌舞伎町にもうどうでもよくなって、遊びにいったりするのだか、
施設の子供たちが、少年は腕の骨をおり、お嬢ちゃんは歯が折れて、
やるしかない状態に追いやられる。
なんとも不思議な家族だ。
運命共同体。
へたをすると、離れてもなお、共依存状態。
1年間の入寮生活は、本当に長くつらい戦いであった。
ママは、生まれてはじめて、事務職に就労したりするのだが、
専務と仲良くなってしまったりして、
お茶に誘われて、何度か食事をしたりしただけなのだが。
突然スタッフ会議で、勤務先変更が決まってしまったりする。
男性にもてるのはママだけのせいじゃないのに。
まるで問題児。まあ、実際に問題児なのだが。
子供の頃から、家が料理屋だったり、
芸者さんの見習いをしていたりして、
媚を売ることが自然と身についているのかもしれない。
危ない危ない。
人間なんて、どんなに悔いても、
1年くらいでそんなに変われるわけもなく、
まして、自己肯定感なんて全くないから、
お得意の表面いいこを演じて、
時を過ごしたようなものなのかもしれない。
仲間の男性が少年に会いに行ったり、
いろいろ問題があるためにとりあえず、復縁が決まる。
何にも解決していないのにね。
パパさんは、家がなくなってから、
池袋のマンションの5階に住んでいたのだが、
ママは高所恐怖症なので、
とりあえず施設のそばの一軒家を借りて住むことになった。
もちろん、子供たち二人を引き取って。
さて、待ちに待った子供たちとの生活。
ミーティングに行くことは禁じられた。
他の入寮した人たちは、ミーティングに行くことからはじめるのに、
ママは何があってもミーティングにいく行かないと怖くて仕方ないという
症状だったから、行かないことからプログラムは組まれた。
嬉しい楽しいはずの団欒。
食事つくり。
なのに、ものすごい頭痛で、
息をすることさえしんどかった。
僕はもふもふのジュリアーノ。マルチーズ。
かつて、ママに飼われていた。
今はお空のお星様。
ママを守るためにここにいる。
その頭痛は、吐くほどにひどく、
そばで見ている僕は悲しくなる。
「一体、ママはいつになったら幸せになれるの」
少年が、夜中に起きると、冷蔵庫の前がうすぼんやり明るい。
怖いけれど、目を凝らしてみると、
冷蔵庫の扉を開けてママが箱のアイスをほうばっている。
少年は、いまだにその光景を思い出すという。
「こわかったーー」
少年はつぶやく。
ママの意識はなかった。
ママはすでに壊れていて、治ることはないのだろうか。
いろんな困難の中で、家族は力を合わせ、
明るく楽しい生活をしようとする。
夜、寝る前に今日あった感謝できることを言い合う。
「朝、遅刻しないで学校に行けた」
ぱちぱちぱち、拍手。
「ママとおいしいお料理をみんなで作れた」
パチパチパチ、拍手。
「ママと熱帯魚を買いに行った」
8888888、拍手。
どうか、この幸せが続きますように。
読んで下さってありがとうございます。
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