子供部屋おばさんのチューニング

春秋花壇

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61　実践、スマートライフ

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実践、スマートライフ

感染を防ぎ、新たな日常を生きるために

1密集・密接・密室を避ける

2安全な距離を保つ

3こまめに手を洗う

4室内換気と咳エチケット

5接触確認アプリをインストール

バランスのとれた食事、適度な運動、睡眠、スマイル

自己免疫力をあげるんだ!!
オミクロン、笑い飛ばしてしまえ

と、いう事で淳さんには布団にもぐり込んでもらって

雪見障子とサッシを開け放し部屋の喚起をする。

笑いを押し殺しているのか布団が小刻みに揺れている。

「40過ぎたら自分の顔に責任を持て」

何となくその意味が解るような気がした。

淳さんの薄い目じりの皺は、きっと優しい笑顔の忘れ物。

サッシを開け放した途端に、待ってましたとばかりに吹き込む爽やかな一陣の風が

ゆるくお団子にしたわたしのうなじを擽る。

クリミアの天使と呼ばれたフローレンス・ナイチンゲールは、

衛生面に細やかな気を使ったらしい。

(そうか、うがい、手洗い)

２階には、洗面所はない。

換気は一時間に5～１０分間。

手はアルコールで消毒してもらった。

うがいは、ブクブク口内洗浄とガラガラうがいを２回。

希釈したうがい液でバケツに吐き出して貰った。

ネットで検索して、うがいの仕方を検索したのだが、

淳さんもわたしも『正しいうがいの仕方』を知らなかった。

うがい液を口に含み、左右交互に頬を膨らませ15秒ほどブクブクとゆすぐ。

うがい液を吐き出す。

また、うがい液を口に含んで上を向き、約１５秒くらい「ガラガラ」とうがいし吐き出し、これを２回行う。

「へー、ガラガラしかしてなかった」

「わたしも、ブクブクしてなかった」

「なんか気持ちいいね、口の中のネバネバもとれたし」

「高熱の後だからね」

心地よさそうににこやかに笑う淳さんの顔が何故かとっても眩しい。

バケツを直ぐに風呂場に持って行き、熱めのお湯で洗い流した。

わたしも丁寧に手を洗い、ブクブクうがいとガラガラうがいをした。

問題が起きた時、問題が起きた事が問題では無くて、

問題をどう捉え、どう対処したかが問題。

母の口癖を思い出し、また一つ賢くなったような気がしてとても嬉しかった。

40℃以上あった高熱も38℃まで下がっている。

このまま順調に回復してくれたらいいな。

解熱後、回復しはじめたとき

おすすめは、具材として野菜、卵、豚肉などをよく煮込んだ雑炊やスープです。

緑黄色野菜（ほうれん草、ニンジン、ブロッコリー等）、

卵、豚肉には、免疫力を高めるために必要なビタミンB群、

ビタミンC、たんぱく質が多く含まれています。

雑炊もスープも、水分を多く含むため、水分補給にもなります。

と、いうことでお鍋にしてみました。

って、悲しい程、料理のレパートリーがない。

えのき、しめじ、椎茸、白菜、春菊、ねぎ、豚肉、わかめ。

清拭など含めて、これだけそばに居るんだから、

今更、同じ鍋に箸を突っ込んでなんて言っていられない。

淳さんが、潔癖症じゃなくて良かった。

柚子と大根おろしを添えて、ポン酢で頂いた。

若芽を入れるとほんとにいいおだしが出て、美味。

「新型感染症は、味覚が変わるのを心配してたけど、おいしい」

と、ホフホフしながら食べている淳さんを見て、

(ああ、やっぱり、お鍋は独りで食べるより二人の方が楽しい)

と、心から至福の時を満喫している。

春菊と、柚子の香りがいかにも鍋―――って感じで好きだ。

「ユーチューブの動画に、子供部屋おばさんとは結婚しない方がいいってあったけど

淳さんはどう思う?」

「うーん、ぼくはその動画見てないからよくわからないけれど、

子供部屋おばさんじゃなくても家事苦手な人とかいるでしょう」

「そうなのかな?独り暮らししたことある人なら、

とりあえずは生活の基本くらいは出来るでしょう?」

「そうだね、できないよりはできた方がいいね」

「淳さんが結婚したいと思う人はどんな人?」

「結婚か―――」

「独身主義?」

「いや、そうじゃないけど……」

(そういえば、知り合ったばかりでわたしは淳さんの事を何も知らない。

好きな色も好きな食べ物も、好きな女性のタイプも……)

結婚相手に求める条件とは

価値観が近いこと 72.2%

一緒にいて楽しいこと 67.8%

一緒にいて気をつかわないこと 65.7%

金銭感覚 35.3%

急ぐことはないよね。

時間はたっぷりあるんだから。

一時の寂しさに負けて早急にのめり込んでいくのは辞めよう。

って、言い聞かせるように気持ちを確認する。

「僕にとっての結婚相手は、いろんなことがあるだろうけど

年を取った時に一緒に縁側でお茶が飲めたらいいな～。

これじゃ答えになってないね」

って、いたずらっぽく笑う唇が食べちゃいたいくらい可愛い。

「それが、真理さんだったら嬉しいかな?」

(ほえ?)

きゃーーー。

場の空気がいきなり華やいでいく。

愛に触れると誰でも詩人になれるとプラトンは言っている。

知り合ったばかりなのにとか理性が邪魔しそうになるけど、

一目ぼれを信じることよとサラ・ベルナールは教えている。

だから、今このときめきを信じてみよう。

ブレーキをかけずにありのままに。

白い湯気が素敵な靄(もや)に変わっていく。

夢のような世界に誘ってくれる。

愛に酔ってもいいのよね。

アニメの世界なら、沢山の花々が咲き乱れていく。

小川はさらさら流れ、小鳥はさえずる。

きらきらと陽光が差し込んでくる。

風がそよぎ木の葉が揺れる。

モノトーンに近かった私の日常が色づいていく。

子供部屋に籠り(こもり)下だけをむいて生きてきた

私の瀞(とろ)のように淀んだ心に新しい水が流れ始める。

体の底から、嬉しさと恥ずかしさが込み上げて来る。

雪見障子から見える落ち葉の舞が小躍りしているようにはしゃいで見えて、

夜なのに辺りがパーと明るくなっていく。

恋をすると、女性ホルモンの一つ、エストロゲンの分泌が高まり、

お肌をツヤツヤにして、うるうるの瞳を作り、

女性らしい丸みのある体を作ってくれる

幸せホルモン放出。

(ああ、ワンスモアプリーズ)

めっちゃ、しあわせ。

「ありがとう淳さん、わたしとっても幸せ」

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