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私は小説の書き方がまったく解ってない。
いつも承もない話を書いて面白くもなんともないシナリオにしてしまう。
きしょう-てんけつ【起承転結】
第一句(起句)でうたい起こし、第二句(承句)でこれを受けて発展させ、第三句(転句)で場面や視点を転じ、第四句(結句)でこれらを受けつつ全体をしめくくる。 また、文章や話などで全体を秩序正しくまとめる構成の意として用いられる。
空白の職歴。
職業として、生保レディーを選ぶにしても介護を選ぶにしても職安に行くにしてもとりあえず必要なのは、履歴書。
職歴 なし
なんと情けない。
わたしはこの時点でもう
「ムリゲー」と、叫びたくなっている。
わたしが、お金を稼がなきゃいけない理由は何?
と、自分に問うてみる。
答えは明白。
「家の修繕費が心配だから」
すでに、トイレの床がぶよぶよになり日増しに違和感を覚えるような状態だった。
ぼこぼこになだらかな凹凸ができている。
踏むと、偶に音さえする。
借家なら家主に言って即座に修繕してもらえるだろう。
でも、幸か不幸か持ち家で名義も先日、自分の名義に変えたばかりだった。
新築時から現在までに自宅修繕にかけた費用の総額を聞いたところ、全体平均は556万円でした。 築年数別に見てみると、築30~34年で平均495万円、築35~39年で平均583万円という結果で、築年数が古いほど、修繕費がかかっている傾向がうかがえます。
あああああ。
もういっそのこと、トイレの床の修理だけおこなって、売却してしまいたい。
固定資産税だって、相続税だっていくら請求が来るかわからない。
母の預金通帳にはまだたくさんのお金が入ってるが、何でいつ必要になるか皆目見当がつかない。
薄氷の上をそろそろと歩いていくような足の裏がむずむずする不安定さ。
お酒でも飲んで、
「わたしは関係ない」と、ぶん投げたい気分だった。
いったい、誰に言い訳してるんだろう。
さっさと、やれよ。
髪の毛をうなじで一つに纏めると軽くお団子にして髪飾りを付けた。
多分、9時出社なのでその時間に合わせて電車に乗ろうと試みている。
なんせ、もう、10年以上、電車に乗った事がないんだから。
白のボウタイのブラウスに紺色のスカート。
就活の時に買ったリクルートスーツだ。
17年も前の品物。
洋服は、採用が決まったなら、新しく少し買ってもいいし、
母が来ていたものをアレンジしても着れる。
本当は、真珠のピアスをしたいけど穴が開いていないから夏が終わったら準備したい。
わくわくするようなことを考えるんだ。
心躍るんだ。
冒険の始まりなんだよ。
味わわなければもったいない。
「痴漢にあったらどうしよう」
「パニックになったらどうしよう」
ありもしないネガティブなことから必死で思いを変えて、
明るい、嬉しい、楽しい、幸せな、とってもついてる自分をイメージした。
駅まではとりあえず、自転車で。
慣れたら徒歩に挑戦したい。
まるで小学生の遠足のように、駅にたどり着くことさえも心ときめいている。
「わたし、かわいい」
自画自賛。
家を出る時に持ち物の確認。
そう、わたしの発達障害、注意欠陥多動性障害ADHDは、忘れ物、遅刻の名人なのだ。
「マスクよし」
「お財布よし」
「カメラよし」
「タオルハンカチよし」
「ティッシュよし」
「スマホよし」
「鍵よし」
「火の点検よし」
「GO」
こんなにたくさんの人が毎日仕事や学校に行ってるのね
とっても新鮮な驚き。
切符を買い、改札を通り、階段を下る。
流れのような人の波の中で押される勢いで前へ前へ。
わたしはなんか、戦士になれたような気がした。
「うふふふ」
心から笑みが浮かぶ。
電車に乗ってから、たった13分で目的地に着くのに、
身動きできないくらいの人間達が息づいている。
3密避けてなんて、無理。
私はそっと目を閉じ、一面のお花畑にいると幻想する。
あしたからは、わたしの好きな波の音が聴けるようにできたらいいな。
整髪料の香り、石鹸とシャンプーのさわやかさ。
そして、わたしのミントオイルのアロマの香り。
色んな人の自己主張、こだわりの中でみんな生きている。生かされている。
目、耳、鼻、触感を駆使して、今ここに私がいる事を感じている。
この箱の中が毎日これから、戦場にも楽園にもなっていくんだろうな。
今日は蒸し暑い。不快指数が上がる中で揺れる度に
お尻の辺りにへばり付いてくる手の甲に力が込められているような気がするのは
きっと私の錯覚だろう……。
人の体でスリルを味わうようなことがありませぬように。
お戯れが過ぎましてよ。
わたしは今、命がけで社会復帰しようとしてるのでございますから><
幸せかどうかは私が決めるのです。
いつも承もない話を書いて面白くもなんともないシナリオにしてしまう。
きしょう-てんけつ【起承転結】
第一句(起句)でうたい起こし、第二句(承句)でこれを受けて発展させ、第三句(転句)で場面や視点を転じ、第四句(結句)でこれらを受けつつ全体をしめくくる。 また、文章や話などで全体を秩序正しくまとめる構成の意として用いられる。
空白の職歴。
職業として、生保レディーを選ぶにしても介護を選ぶにしても職安に行くにしてもとりあえず必要なのは、履歴書。
職歴 なし
なんと情けない。
わたしはこの時点でもう
「ムリゲー」と、叫びたくなっている。
わたしが、お金を稼がなきゃいけない理由は何?
と、自分に問うてみる。
答えは明白。
「家の修繕費が心配だから」
すでに、トイレの床がぶよぶよになり日増しに違和感を覚えるような状態だった。
ぼこぼこになだらかな凹凸ができている。
踏むと、偶に音さえする。
借家なら家主に言って即座に修繕してもらえるだろう。
でも、幸か不幸か持ち家で名義も先日、自分の名義に変えたばかりだった。
新築時から現在までに自宅修繕にかけた費用の総額を聞いたところ、全体平均は556万円でした。 築年数別に見てみると、築30~34年で平均495万円、築35~39年で平均583万円という結果で、築年数が古いほど、修繕費がかかっている傾向がうかがえます。
あああああ。
もういっそのこと、トイレの床の修理だけおこなって、売却してしまいたい。
固定資産税だって、相続税だっていくら請求が来るかわからない。
母の預金通帳にはまだたくさんのお金が入ってるが、何でいつ必要になるか皆目見当がつかない。
薄氷の上をそろそろと歩いていくような足の裏がむずむずする不安定さ。
お酒でも飲んで、
「わたしは関係ない」と、ぶん投げたい気分だった。
いったい、誰に言い訳してるんだろう。
さっさと、やれよ。
髪の毛をうなじで一つに纏めると軽くお団子にして髪飾りを付けた。
多分、9時出社なのでその時間に合わせて電車に乗ろうと試みている。
なんせ、もう、10年以上、電車に乗った事がないんだから。
白のボウタイのブラウスに紺色のスカート。
就活の時に買ったリクルートスーツだ。
17年も前の品物。
洋服は、採用が決まったなら、新しく少し買ってもいいし、
母が来ていたものをアレンジしても着れる。
本当は、真珠のピアスをしたいけど穴が開いていないから夏が終わったら準備したい。
わくわくするようなことを考えるんだ。
心躍るんだ。
冒険の始まりなんだよ。
味わわなければもったいない。
「痴漢にあったらどうしよう」
「パニックになったらどうしよう」
ありもしないネガティブなことから必死で思いを変えて、
明るい、嬉しい、楽しい、幸せな、とってもついてる自分をイメージした。
駅まではとりあえず、自転車で。
慣れたら徒歩に挑戦したい。
まるで小学生の遠足のように、駅にたどり着くことさえも心ときめいている。
「わたし、かわいい」
自画自賛。
家を出る時に持ち物の確認。
そう、わたしの発達障害、注意欠陥多動性障害ADHDは、忘れ物、遅刻の名人なのだ。
「マスクよし」
「お財布よし」
「カメラよし」
「タオルハンカチよし」
「ティッシュよし」
「スマホよし」
「鍵よし」
「火の点検よし」
「GO」
こんなにたくさんの人が毎日仕事や学校に行ってるのね
とっても新鮮な驚き。
切符を買い、改札を通り、階段を下る。
流れのような人の波の中で押される勢いで前へ前へ。
わたしはなんか、戦士になれたような気がした。
「うふふふ」
心から笑みが浮かぶ。
電車に乗ってから、たった13分で目的地に着くのに、
身動きできないくらいの人間達が息づいている。
3密避けてなんて、無理。
私はそっと目を閉じ、一面のお花畑にいると幻想する。
あしたからは、わたしの好きな波の音が聴けるようにできたらいいな。
整髪料の香り、石鹸とシャンプーのさわやかさ。
そして、わたしのミントオイルのアロマの香り。
色んな人の自己主張、こだわりの中でみんな生きている。生かされている。
目、耳、鼻、触感を駆使して、今ここに私がいる事を感じている。
この箱の中が毎日これから、戦場にも楽園にもなっていくんだろうな。
今日は蒸し暑い。不快指数が上がる中で揺れる度に
お尻の辺りにへばり付いてくる手の甲に力が込められているような気がするのは
きっと私の錯覚だろう……。
人の体でスリルを味わうようなことがありませぬように。
お戯れが過ぎましてよ。
わたしは今、命がけで社会復帰しようとしてるのでございますから><
幸せかどうかは私が決めるのです。
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