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母の日
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お花やさんで、いつものようにお花を眺めていたら、
「誰も買ってくれないから自分で買おう」
って、寂しそうに言っている60歳くらいの奥様がいた。
「この前、電話がかかってきて、
親って子供が面倒見るものなの?」
と、息子さんに言われたと嘆いている。
「子育て失敗したのかも」
とっても悲しそう。
明日、母の日ということで、どこのお花やさんもプレゼント用の
カーネーションでいっぱい。
赤や黄色、ピンクと色も鮮やか。
何故か白は一つもなかった。
墓石に備える人はいないのかな。
今日の東京は、今にも泣き出しそうなどんよりぐもり。
それでも、温度が19℃なのでむしむしした感じはない。
むしろ、涼しい風が頬に心地よかった。
何軒か、お花やさんを見て回ったが、
さくらこがママにプレゼントしたいカーネーションはなかった。
赤い小さなカーネーションは、
今日の夜中、公園に3株植えた。
ピンクも黄色も既にある。
「どうしようかな」
そういえば、さくらこはママの好きなお花を知らなかった。
そんな、普通の会話さえまだ出来ていない。
「これって、大問題だよね」
コミュニケーションが円滑に取れてないというよりは、
話す時間さえないのかもしれない。
さくらこ12歳。中学1年生。
努力して、時間を見つけて、もっとママとお話しないと。
これから、思春期に向けて、反抗期をうまく乗り切るには、
やっぱり、源家族とのつながりが重要だと、
ネットサーフィンで学んだ。
よし、今日の夜はおうちで焼肉にしよう。
お肉も野菜も昨日買ってきてある。
ちゃんとしたお料理を作る元気はまだないけど、
一緒にホットプレートで焼きながら食べるくらいならできる。
ママは、お花をもらうよりも、お洋服をもらうほうが喜ぶかも。
フェミニンな小花の模様のTシャツを買った。
小さな、かわいい赤いカーネーションの鉢も添えて。
パパとママの誕生日、
好きな色。
好きな花。
趣味。
好きな音楽。
最低でも知っておきたい質問を書き出して、メモをする。
さくらこは、昨日から、口笛を練習しているのだが、
まだ上手に音が出ない。
ちゃんとメロディーにはなってるのだが、
マイクでも近づけない限り、すごくそばにいないと
聞くことが出来ないくらいの音しか出すことが出来なかった。
口笛吹きと犬 The Whistler And His Dog
何度も何度も暇さえあれば練習している。
お金も楽器もなくても、どこでも気軽に練習できる。
上手に出来るようになったら、
パパやママにも聞いてもらいたかった。
出来ることなら、頭もなでて欲しかった。
さくらこが覚えている限り、
頭をなでてもらったり、ハグしてもらったりした覚えは
あまりなかった。
ママと同じように、白雪姫コンプレックスになるのもいやだった。
愛着障害は、大人になっても影響が残るみたい。
夕刊を配り終えて、今日は家族で食事をするからと
新聞店の食事を食べないで帰った。
いつものように、おかずを色々タッパーにつめて、
持たせてくれたのだが、すごくありがたいと思っている。
お店を出てから、大変なことを思い出した。
「ああああああああ」
なんと、新聞店の奥さんへのプレゼントを全く用意してなかった。
なんという恩知らずな。
これでは、お花やさんでぼやいていた、
「誰も買ってくれないから自分で買おう」
といった人と同じ悲しい思いをさせてしまう。
慌てて大きなスーパーに行き、
買い物用のバッグと赤いカーネーションを買った。
カードも添えて、新聞店に行く。
「あの、これ」
「あら、母の日?うわー、嬉しい」
奥さんはとても喜んでくださった。
やっぱり、人からプレゼントもらうのって嬉しいよね。
「さくらこちゃん、ありがとう」
買い物用のバッグは二種類にした。
「ほつれてきて、買わなきゃって思ってたところだったのよ」
にこにこして、明けてみている。
喜んでもらえてほんとによかった。
国内感染者1万5687人(横浜港のクルーズ船除く) 新型感染症
東京 36人感染確認 4日連続40人下回る 新型感染症
2020年5月9日 17時10分
少しずつ、終息に向かっているのかな。
このまま、下火になってくれたら嬉しいのだが。
「母の日」
極度の貧困,教育不足,無責任な夫や同棲相手,度重なる虐待,エイズの流行などが,アフリカ南部の母親たちを苦しめています。最近の母の日に,南アフリカの「シティズン」紙はこう伝えました。「母の日にも,非常に多くの女性が夫や同棲相手から虐待され,中には命を落とす女性もいるだろう」。そうした問題があるため,南アフリカでは毎年幾千人もの母親が赤ちゃんを捨てています。捨てられる子どもの数は最近の2年間に25%増加しました。さらに深刻なこととして,自殺する女性が増えています。少し前のこと,極貧地帯で暮らすある女性が3人の子どもを抱いて,向かって来る列車の前に立ち,全員が死亡するという事件がありました。暮らしを立てるために売春や麻薬の密売に走ったり,自分の娘にもそうするよう勧めたりする母親もいます。
香港<ホンコン>からは,「精神的重圧に耐え切れず,産後すぐに赤ちゃんを殺したり,ごみ箱に捨てたりする若い母親がいる」という報告が寄せられています。サウス・チャイナ・モーニング・ポスト紙(英語)によると,香港の若い既婚女性の中には,「現在あまりにも大きなストレスを受けているため,自殺を考えるほど精神的に参っている」人がいるということです。
目ざめよ! 2002より引用
育ててもらえてるだけで感謝なんだね。
この記事を読むまでは、自分は、普通の子に比べて不幸だと
少し自己憐憫になっていた。
そうじゃないんだね。
ごめんなさい。
ママは、確かに白雪姫症候群でさくらこをネグレクトしたりしたけど、
それでも、育てようとしてくれた。
さくらこを愛せないことですごく悩んでくれた。
ああ、自分は自分のことばっかりしか考えていない。
まだまだ、これからだね。
心を育てよう。
感謝できるようにしよう。
それがさくらこのみんなに対する母の日の贈る心だから。
たけちゃんパパとたけちゃんの弟、ゆうくんが遊歩道で遊んでいる。
たけちゃんパパを見ると、何故か下を向いてしまう自分が不思議だった。
どきどきするのだ。
はずかしいのだ。
他のパパにはなんでもないのに、どうしてなんだろう。
この前、ドライブに連れて行ってもらったからなのかな。
顔を赤くなってしまう。
なんかへんなの。
自分が初恋真っ只中だって全く気づかないさくらこ。
よりによって、よそのだんなさまにねー♪
「誰も買ってくれないから自分で買おう」
って、寂しそうに言っている60歳くらいの奥様がいた。
「この前、電話がかかってきて、
親って子供が面倒見るものなの?」
と、息子さんに言われたと嘆いている。
「子育て失敗したのかも」
とっても悲しそう。
明日、母の日ということで、どこのお花やさんもプレゼント用の
カーネーションでいっぱい。
赤や黄色、ピンクと色も鮮やか。
何故か白は一つもなかった。
墓石に備える人はいないのかな。
今日の東京は、今にも泣き出しそうなどんよりぐもり。
それでも、温度が19℃なのでむしむしした感じはない。
むしろ、涼しい風が頬に心地よかった。
何軒か、お花やさんを見て回ったが、
さくらこがママにプレゼントしたいカーネーションはなかった。
赤い小さなカーネーションは、
今日の夜中、公園に3株植えた。
ピンクも黄色も既にある。
「どうしようかな」
そういえば、さくらこはママの好きなお花を知らなかった。
そんな、普通の会話さえまだ出来ていない。
「これって、大問題だよね」
コミュニケーションが円滑に取れてないというよりは、
話す時間さえないのかもしれない。
さくらこ12歳。中学1年生。
努力して、時間を見つけて、もっとママとお話しないと。
これから、思春期に向けて、反抗期をうまく乗り切るには、
やっぱり、源家族とのつながりが重要だと、
ネットサーフィンで学んだ。
よし、今日の夜はおうちで焼肉にしよう。
お肉も野菜も昨日買ってきてある。
ちゃんとしたお料理を作る元気はまだないけど、
一緒にホットプレートで焼きながら食べるくらいならできる。
ママは、お花をもらうよりも、お洋服をもらうほうが喜ぶかも。
フェミニンな小花の模様のTシャツを買った。
小さな、かわいい赤いカーネーションの鉢も添えて。
パパとママの誕生日、
好きな色。
好きな花。
趣味。
好きな音楽。
最低でも知っておきたい質問を書き出して、メモをする。
さくらこは、昨日から、口笛を練習しているのだが、
まだ上手に音が出ない。
ちゃんとメロディーにはなってるのだが、
マイクでも近づけない限り、すごくそばにいないと
聞くことが出来ないくらいの音しか出すことが出来なかった。
口笛吹きと犬 The Whistler And His Dog
何度も何度も暇さえあれば練習している。
お金も楽器もなくても、どこでも気軽に練習できる。
上手に出来るようになったら、
パパやママにも聞いてもらいたかった。
出来ることなら、頭もなでて欲しかった。
さくらこが覚えている限り、
頭をなでてもらったり、ハグしてもらったりした覚えは
あまりなかった。
ママと同じように、白雪姫コンプレックスになるのもいやだった。
愛着障害は、大人になっても影響が残るみたい。
夕刊を配り終えて、今日は家族で食事をするからと
新聞店の食事を食べないで帰った。
いつものように、おかずを色々タッパーにつめて、
持たせてくれたのだが、すごくありがたいと思っている。
お店を出てから、大変なことを思い出した。
「ああああああああ」
なんと、新聞店の奥さんへのプレゼントを全く用意してなかった。
なんという恩知らずな。
これでは、お花やさんでぼやいていた、
「誰も買ってくれないから自分で買おう」
といった人と同じ悲しい思いをさせてしまう。
慌てて大きなスーパーに行き、
買い物用のバッグと赤いカーネーションを買った。
カードも添えて、新聞店に行く。
「あの、これ」
「あら、母の日?うわー、嬉しい」
奥さんはとても喜んでくださった。
やっぱり、人からプレゼントもらうのって嬉しいよね。
「さくらこちゃん、ありがとう」
買い物用のバッグは二種類にした。
「ほつれてきて、買わなきゃって思ってたところだったのよ」
にこにこして、明けてみている。
喜んでもらえてほんとによかった。
国内感染者1万5687人(横浜港のクルーズ船除く) 新型感染症
東京 36人感染確認 4日連続40人下回る 新型感染症
2020年5月9日 17時10分
少しずつ、終息に向かっているのかな。
このまま、下火になってくれたら嬉しいのだが。
「母の日」
極度の貧困,教育不足,無責任な夫や同棲相手,度重なる虐待,エイズの流行などが,アフリカ南部の母親たちを苦しめています。最近の母の日に,南アフリカの「シティズン」紙はこう伝えました。「母の日にも,非常に多くの女性が夫や同棲相手から虐待され,中には命を落とす女性もいるだろう」。そうした問題があるため,南アフリカでは毎年幾千人もの母親が赤ちゃんを捨てています。捨てられる子どもの数は最近の2年間に25%増加しました。さらに深刻なこととして,自殺する女性が増えています。少し前のこと,極貧地帯で暮らすある女性が3人の子どもを抱いて,向かって来る列車の前に立ち,全員が死亡するという事件がありました。暮らしを立てるために売春や麻薬の密売に走ったり,自分の娘にもそうするよう勧めたりする母親もいます。
香港<ホンコン>からは,「精神的重圧に耐え切れず,産後すぐに赤ちゃんを殺したり,ごみ箱に捨てたりする若い母親がいる」という報告が寄せられています。サウス・チャイナ・モーニング・ポスト紙(英語)によると,香港の若い既婚女性の中には,「現在あまりにも大きなストレスを受けているため,自殺を考えるほど精神的に参っている」人がいるということです。
目ざめよ! 2002より引用
育ててもらえてるだけで感謝なんだね。
この記事を読むまでは、自分は、普通の子に比べて不幸だと
少し自己憐憫になっていた。
そうじゃないんだね。
ごめんなさい。
ママは、確かに白雪姫症候群でさくらこをネグレクトしたりしたけど、
それでも、育てようとしてくれた。
さくらこを愛せないことですごく悩んでくれた。
ああ、自分は自分のことばっかりしか考えていない。
まだまだ、これからだね。
心を育てよう。
感謝できるようにしよう。
それがさくらこのみんなに対する母の日の贈る心だから。
たけちゃんパパとたけちゃんの弟、ゆうくんが遊歩道で遊んでいる。
たけちゃんパパを見ると、何故か下を向いてしまう自分が不思議だった。
どきどきするのだ。
はずかしいのだ。
他のパパにはなんでもないのに、どうしてなんだろう。
この前、ドライブに連れて行ってもらったからなのかな。
顔を赤くなってしまう。
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