陽だまりの家

フルーツパーティー

『フルーツパーティー』

サクラはキッチンで手を動かしながら、ふと窓の外を見る。午後の柔らかな日差しが差し込み、部屋を明るく照らしている。その中で、彼女は小さな子供たちと一緒に過ごしてきた日々を思い返す。

「もうすぐだね、ハル、ヒナ、ミク。準備できてる？」

長女のハルが窓のそばに座り、興奮した様子で小さな手を振った。「うん、ママ！お客さん来るんでしょ？楽しみ！」

次女のヒナも嬉しそうに踊りながら、「フルーツパーティーだもんね！」と笑顔を見せる。

三女のミクはまだ小さいが、お姉ちゃんたちが楽しそうにしているのを見て、一緒にぴょんぴょん跳ねている。

サクラは、ゆっくりとテーブルにフルーツを並べ始めた。イチゴ、りんご、みかん、レモン。どれも色鮮やかで、春を感じさせる。彼女は微笑みながら、一つ一つ果物をカットして、子供たちに声をかけた。

「これ、あたしが切るの！」ハルが元気よく手を挙げると、サクラは笑ってうなずいた。「いいよ、ハルが切ったイチゴはきっとおいしいね。」

サクラは少しでも子供たちに楽しい時間を作りたかった。彼女は精神的に厳しい状況にあったが、それでも子供たちが笑顔でいられる瞬間を作ることが、何よりも大切だと思っていた。

エホバの証人として、サクラはクリスマスを祝うことはない。だが、彼女の家にはいつも温かい空気が漂っていた。今日は藤森兄弟とその家族を招いて、ホームパーティーを開くことにした。フルーツで彩ったテーブルを囲み、みんなで楽しく過ごすのだ。

玄関のチャイムが鳴り、サクラは立ち上がり、ドアを開けた。そこには藤森兄弟が微笑んで立っていた。「サクラさん、お久しぶりですね。お子さんたちも元気そうで何よりです。」

「ありがとうございます、藤森さん。今日は来てくれて嬉しいです。」サクラはそう言いながら、藤森さんの後ろにいる二人のお子さんを見て、優しく微笑んだ。

「サクラ、見て見て！」ハルがすぐに駆け寄って、藤森さんの子供たちを迎えた。「みんなでフルーツ食べようね！」

「うん、楽しみ！」ヒナも続いて走り寄り、みんなで手をつなぎながらテーブルに座った。

サクラは席に戻り、テーブルを見渡した。いちご、りんご、みかん、レモン、ポンカン、文旦、キンカン、キウイフルーツ、洋ナシ、柿、アボカド――旬の果物がきれいに並べられていた。

「今日はフルーツをいっぱい食べて、元気になろうね。」サクラは穏やかに言った。藤森兄弟も微笑みながら頷き、それぞれ果物を手に取った。

「このキウイ、すごく甘いね！」藤森の奥さんが驚きながら言うと、サクラは嬉しそうに答えた。「そうなんです、最近のキウイは甘さがしっかりしてて、すごくおいしいんです。」

子供たちは果物を手に取り、みんなで楽しそうに食べながら会話を交わした。サクラの心も次第に温かくなり、少しずつ元気を取り戻していった。

サクラが家族に対して感じていた思いは、いつもと変わらず深い愛情で満ちていた。しかし、彼女は時折、夫のことを思い出しては、その喪失感に打ちひしがれることもあった。しかし、今日のようなひとときを重ねることで、少しずつその痛みも和らいでいくような気がした。

「おいしいね！」と、ハルが大きな声で言う。「ママ、ありがとう！」彼女の無邪気な笑顔が、サクラにとって一番の励ましだった。

「みんなでこうして過ごせて幸せだね。」サクラは心からそう思いながら、子供たちと藤森兄弟を見守った。家の中に漂う果物の香りが、どこかで温かい安らぎをもたらしていた。

その後も、子供たちはお互いに果物を分け合い、楽しそうに笑い合った。サクラも藤森兄弟と話しながら、少しずつ心が軽くなっていくのを感じた。

「これからも、こうしてみんなで楽しい時間を過ごしたいな。」サクラは静かに思いながら、子供たちの幸せそうな笑顔を見つめていた。

――愛と希望のフルーツパーティー。

サクラは心からそう願っていた。どんな困難があっても、子供たちと共に、いつでもどこでも幸せを見つけていけることを。そして、彼女の心に少しずつではあるが、平穏な光が差し込んでいくのだった。