陽だまりの家

ふわふわの絆

ふわふわの絆

サクラは娘たちに、軍手をはめさせて手を差し出させた。「こうやって手の上でシャボン玉を受け止めてみよう」と微笑みながら説明すると、ハル、ヒナ、ミクの3人はそれぞれの小さな手をそっと差し出した。

サクラがゆっくりとシャボン玉を吹き上げ、空に浮かべると、やがて風に流されてふわりふわりと舞い降りてきた。それを、娘たちはドキドキしながら見つめ、そっと手のひらの上で受け止めた。軍手をはめた手に触れると、シャボン玉は不思議と壊れず、軽やかに跳ね返っていく。

「ママ！ほんとに壊れない！」とハルが驚きの声を上げる。ヒナも「ふわふわして、かわいい！」と目を輝かせ、夢中で手のひらの上で弾ませていた。ミクも「ふわ、ふわ！」と嬉しそうにシャボン玉を見つめている。

シャボン玉が軽く手の上で跳ね返るたびに、娘たちは大喜びして声を上げる。サクラはその姿を微笑みながら見守り、胸がじんわりと温かくなるのを感じた。シャボン玉のように、ふわりと柔らかく、はかなくも愛おしいその瞬間が、サクラの心を静かに満たしていく。

彼女は、失われたものや癒えない傷がある一方で、この子どもたちとのささやかな喜びが、かけがえのない宝物であることを再確認していた。シャボン玉が空に浮かび、そしてそっと落ちてきて、手のひらで優しく弾ませられるように、サクラの人生もまた、子どもたちの愛情に支えられながら、少しずつ柔らかく弾んでいくのだった。

サクラはふと思いつき、今回のシャボン玉液にグラニュー糖を混ぜてみることにした。洗濯のりの代わりに甘さを少し加えたシャボン液で、どんなシャボン玉ができるのか興味が湧いたのだ。

娘たちがワクワクした表情で待つ中、サクラはシャボン玉を吹き上げた。いつもより少し粘りのある液体が細く伸び、やがてふわりと大きなシャボン玉が浮かび上がる。

「おおー！」と、ハルとヒナが声をあげ、ミクも手をパチパチと叩いて喜んでいる。しばらく空中でぷかぷかと漂った後、シャボン玉はゆっくりと娘たちのほうに近づいてきた。

サクラは手を差し出しながら、「じゃあ、何も入れてないシャボン液も試してみようか」と提案し、同じようにシャボン玉を吹き上げてみた。しかし、こちらは少し形が安定せず、ふわりと飛び立ってからすぐに弾けてしまった。

「やっぱりグラニュー糖を入れた方が、少し壊れにくくなってるみたいね」と、サクラは自分の新しい発見に小さな満足感を感じる。科学の知識に詳しいわけではないが、このように手軽な実験をして楽しむのも、子どもたちと過ごす時間を彩る一つの方法だと思った。

子どもたちの笑顔を見ながら、サクラはまた新しい工夫を試してみたくなり、次は何を加えたらもっと面白いシャボン玉ができるかを考え始めた。