陽だまりの家

春秋花壇

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ヒナのいやいや期

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ヒナのいやいや期

「いやだー」

ヒナがかんしゃく起こして、新聞紙をびりびり破ってる。

よっぽどいらいらしてるのかな?

ここのところ、3日くらい、春霖で雨が続いていてほとんどお家にいる。

ヒナはお外が大好きだから、我慢できなくなっちゃったのかな?

「ハル、ちょっとミク見ててね」

「はーい、お姉ちゃんだもん。うふふ」

5歳のハルは、最近、ちいままみたいになってる。

(ハルにも後で時間を取ってあげよう)

さあて、ヒナはどうかな?

新聞紙は、一日分くらい破ったのかな?

「ヒナちゃん、何が嫌なのかな?」

「あのね、いやだなの」

「うん」

「うんとね、いやだなのー」

「うん」

「わかんないの。たけどいやだなのーーー」

わたしは、思わず大笑いしてしまった。

「そうかー、そういうことってあるよね」

「ママもある?」

「うん、あるよ」

3人が輪になって、わたしを見てる。

「ママだって人間だもん、なんだかわからないけどイライラすることあるよ」

「へー」

「たとえばー。女の子の日の前とか」

「なーにそれ」

「あこちゃんのベッドが毎月、大人になるとできるんだけど、赤ちゃんいないと壊れちゃうの」

「ああ、ちががでるひ?」

「そう、よく知ってるねー。血が出る日」

3人とも女の子なのでここぞとばかりに性教育。えっへん。

いつのまにか、ヒナのイライラは収まったのかな?

「じゃあ、3人とも、お目目つむって見ようかー」

「はーい」

「お外に行きたい人?」

「あい」

5歳の長女ハル、3歳の次女ヒナは即座に手が上がる。

1歳の三女ミクは、訳が分からず、周りを見渡して

「あいなー」

「ああ、ミク、目をあけたなー」

「にゅふ」

肩をすぼめてかわいい―。

「了解です。今日は暖かいから、雨に濡れてみようかー」

「お風邪ひかない?」

「にこにこしてたら、お風邪、にげてっちゃうよ」

「わーい」

散らかった新聞紙を、ビニールにつめて、準備完了。

傘もかっぱもなしで外に出る。

一分くらい、どうしていいのかわからずボーとたってたけど、

「ぴちゃびちゃしていいの?」

「いいよー」

「どろんこもいいのー」

「いいよー」

むせぶような小雨の中を大はしゃぎ。

団地の前の小さな広場は、黄色いたんぽぽと薄紫のハナニラが咲き乱れてる。

白い雪柳もキラキラと雫をまとってきらめいてる。

家族4人が健康でいられることに感謝。

最近、サクラの涙腺は壊れてるみたい。

すぐに泣きだしてしまうんだから。

みんな頭までしっぽりと濡れてしまったから、

「おうちにかえるよー」

「いやだ。もう少しいる」

やっぱり、ヒナはいやいや期。

「お風邪さんが、いざ、ヒナちゃん、尋常に勝負しろーっていっるよ」

「いやだ」、いやだ」

真っ先に駆け出して家に帰ってしまった。

「お風呂場でシャワー浴びるよー」

「いやだ」

「そっかー、ヒナちゃん、いやいやえんにいくのかな~?」

「いやだ」

おっかしい。

嫌だ、嫌だと言いながら、裸になってお風呂に行くんだから。

「みんな、かわいいね~。だーいすき」

「ハルもママだーい好き」

「ミクもでしゅー。だいちゅき」

「いやだ。だいしゅき」

あははは、たのしいね~♪

サクラは25歳の若い母親で、3人の娘たちと一緒に新しい家に引っ越してきた。長女のハルは5歳で、おとなしく礼儀正しい。次女のヒナは3歳で、活発でやんちゃな性格だ。そして、1歳の三女のミクは、まだ歩けないが笑顔が絶えない明るい子だ。

引っ越し後、サクラは新しい環境に戸惑いながらも、子育てに奮闘していた。特に、ヒナのいやいや期はサクラを悩ませることが多かった。ヒナはやんちゃで好奇心旺盛なため、いつも家の中を駆け回っては何かをしでかしてしまう。そのため、サクラはヒナの目が離せない日々を送っていた。

ある日、サクラは家事をしながらヒナを見守っていた。すると、ヒナがリビングで大声を出して何かを叫びながら床に投げつけた。サクラは急いで駆け寄り、ヒナを抱き上げてなだめようとするが、ヒナは頑なに抵抗した。

「ヒナちゃん、どうしたの?怒ってるの?」

サクラが心配そうに尋ねると、ヒナはまだ泣き止まずに頭を振った。

「嫌だ!」

ヒナの言葉にサクラは戸惑いながらも、少しずつヒナの気持ちを汲み取ろうと努力した。そんな中、長女のハルがやってきて、ヒナの手を握りながら優しく微笑んだ。

「ヒナちゃん、一緒にお絵かきしようよ。」

ハルの言葉に、ヒナの顔がほころび、少しずつ泣き止んでいく。サクラは感謝の気持ちで胸がいっぱいになりながら、三人の娘たちの笑顔を見つめた。

その日以降、サクラはヒナのいやいや期にも寛容な心で接するようになった。そして、家族みんなで助け合いながら、新しい生活を楽しんでいくことを決意したのだった。






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