春秋花壇

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秋の夕日

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「秋の夕日」

夕日が沈みかける頃、朱色に染まった空と山の輪郭が美しいシルエットを描いていた。涼しい秋風が吹き抜け、落ち葉がひらひらと舞い降りる。僕は、古い神社の境内からその光景を眺めていた。

この神社は、僕が幼い頃から通い続けている場所だった。山の奥にひっそりと佇む神社は、いつも静寂に包まれていて、時間が止まっているような気さえした。秋になると、夕日の色に照らされて境内が幻想的な雰囲気を帯びる。紅葉の木々がまるで燃えるように輝き、境内に色彩豊かな影を落とすのだ。

ふと、小さな足音が聞こえ、隣に誰かが座った。振り返ると、そこには見覚えのある姿があった。彼女の名は菜摘。僕と同じ小学校に通っていたが、中学に進学してからは別々の学校へ通うことになり、今ではめったに会うこともなかった。

「久しぶりだね。」と彼女が微笑みながら言った。

「うん、こんなところで会うなんて思わなかったよ。」僕は少し照れながら返事をした。

二人でしばらく黙って、空が染まる様子を眺めていた。何を話すわけでもなく、ただ並んで秋の夕日を見つめていると、遠い昔の記憶がふっと蘇ってきた。小学生の頃、僕たちは毎日のようにこの神社に来て、鬼ごっこをしたり、虫取りをしたりして遊んでいた。菜摘は元気で活発な子だったから、いつも僕を引っ張ってあちこち連れ回した。あの頃は何も考えずに、ただ楽しかった。

「ねぇ、覚えてる?昔ここで、かくれんぼしたこと。」菜摘が笑顔で問いかけた。

「もちろん覚えてるよ。僕が隠れてるのに、すぐに見つかっちゃってさ。」

「それはね、君の隠れる場所が下手だったからだよ。」

二人で顔を見合わせて笑った。そのときの景色が、まるで昨日のことのように鮮やかに蘇る。秋の夕日に照らされる彼女の横顔を見ていると、子供の頃と変わらないようで、どこか大人びた雰囲気が漂っていた。

「高校に入ったら、もっと忙しくなるんだろうね。」彼女は小さな声でつぶやいた。

「そうだね、もうこうして夕日を見ることも少なくなるかも。」

菜摘は頷きながら、「でもね、きっとまた来るよ。秋の夕日は、私たちの記憶と一緒にここで待っていてくれる気がするから」と言った。

僕はその言葉に驚いた。彼女がそんな風に考えているなんて、思ってもいなかったからだ。

「そうだね、またいつか、ここで一緒に夕日を見られたらいいね。」僕も静かに答えた。

二人は再び沈黙した。秋の夕日は少しずつその色を濃くし、空が紫色に染まっていく。僕は、菜摘と並んでいるこの瞬間を、しっかりと心に刻みつけたかった。









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