春秋花壇

春秋花壇

文字の大きさ
上 下
578 / 653

パリの空の下 秋

しおりを挟む
パリの空の下 秋

パリの空の下
秋が静かに忍び寄る
セーヌの水面に映る雲は、
やわらかな金色の風を纏いながら
街路樹の葉を一枚ずつ落としていく。

エッフェル塔はいつもと同じ場所で
空に手を伸ばし、夕陽に照らされて輝く。
しかし今日の光は、夏の強さを失い
ほのかな冷たさを含む優しさに変わる。

カフェのテラスには、
コートを羽織る人々が集い、
赤いワインを傾ける。
耳には、
遠く響くアコーディオンの旋律。

モンマルトルの坂を上がるたび、
秋風が頬を撫でていく。
静かな街のささやきと、
石畳に残る夏の記憶。

パリの空の下、秋は確かに来ている。
日々の喧騒も、夕暮れには薄れ
夜空には、淡い月が浮かび上がる。
恋の始まりと終わりを包む、
この季節だけの美しい時間。

パリの空の下、秋は
色あせた記憶に新しい光を灯し
また次の物語をそっと始めている。









しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

体育教師に目を付けられ、理不尽な体罰を受ける女の子

恩知らずなわんこ
現代文学
入学したばかりの女の子が体育の先生から理不尽な体罰をされてしまうお話です。

【キスの意味なんて、知らない】

悠里
BL
大学生 同居中。 一緒に居ると穏やかで、幸せ。 友達だけど、何故か触れるだけのキスを何度もする。

【完結】愛とは呼ばせない

野村にれ
恋愛
リール王太子殿下とサリー・ペルガメント侯爵令嬢は六歳の時からの婚約者である。 二人はお互いを励まし、未来に向かっていた。 しかし、王太子殿下は最近ある子爵令嬢に御執心で、サリーを蔑ろにしていた。 サリーは幾度となく、王太子殿下に問うも、答えは得られなかった。 二人は身分差はあるものの、子爵令嬢は男装をしても似合いそうな顔立ちで、長身で美しく、 まるで対の様だと言われるようになっていた。二人を見つめるファンもいるほどである。 サリーは婚約解消なのだろうと受け止め、承知するつもりであった。 しかし、そうはならなかった。

【一話完結】3分で読める背筋の凍る怖い話

冬一こもる
ホラー
本当に怖いのはありそうな恐怖。日常に潜むあり得る恐怖。 読者の日常に不安の種を植え付けます。 きっといつか不安の花は開く。

鳳月眠人の声劇シナリオ台本

鳳月 眠人
現代文学
胸を打つあたたかな話から、ハイファンタジー、ホラーギャグ、センシティブまで。 あなたとリスナーのひとときに、心刺さるものがありますように。 基本的に短編~中編 台本。SS短編集としてもお楽しみいただけます。縦書き表示推奨です。 【ご利用にあたって】 OK: ・声劇、演劇、朗読会での上演(投げ銭配信、商用利用含む)。 ・YouTubeなどへのアップロード時に、軽微なアドリブを含むセリフの文字起こし。 ・上演許可取りや報告は不要。感想コメント等で教えて下されば喜びます。 ・挿絵の表紙をダウンロードしてフライヤーや配信背景への使用可。ただし、書かれてある文字を消す・見えなくする加工は‪✕‬ 禁止: ・転載、ストーリー改変、自作発言、改変しての自作発言、小説実況、無断転載、誹謗中傷。

夏の終わり

かのん
現代文学
 夏の終わり。縁側での一幕。

求め合う血筋

水綺はく
現代文学
優ちゃんは完璧、私は欠陥品。 姉の優ちゃんはバレエを習っていて、真面目でストイックで誰よりも美しく輝いている。 それに対して妹の私は同じ血の通った姉妹なのに不器用で飽き性で何も出来やしない。 手を伸ばしても永遠に届かない優ちゃんに負けたくない私はいつも“何も出来ない私“を極めることで家族からの愛情を量っていた。 ところがある日、優ちゃんが骨折をしたことでその土台が崩れることになった私は…

株破滅日記

ロン・イーラン
現代文学
株で成功を目指す俺のサクセスストーリー (≧∀≦) 株用語の解説もするよ! これから株取引を始めたい人はぜひ読んでね!!

処理中です...