春秋花壇

冷たく感じる水のシャワー

冷たく感じる水のシャワー

10月8日、東京。気温は24℃。秋の訪れを感じさせる風が吹き、木々の葉は少しずつ色づき始めていた。しかし、まだ日中は暖かい日差しが差し込むため、私たちの心には夏の名残が残っていた。そんなある日、私はいつも通りに朝のシャワーを浴びることにした。

水道をひねると、勢いよく出てくる水。しばらくはその感触を楽しみながら、気持ちよく体を洗っていた。しかし、ふと気づくと、水の温度がいつもより冷たく感じる。少し驚きながらも、今の季節に入ったのだと実感した。私の心の中で、夏の終わりを告げる小さな鐘が鳴ったようだった。

「冷たい…」

思わず声を漏らし、シャワーの勢いを調整した。今までは暑い夏の中で、心地よい冷水を浴びることが快感だった。しかし、今はその感覚が少し厳しく感じられた。シャワーを浴びながら、ふと秋の風景が目に浮かぶ。

外の景色は、色とりどりの葉が舞い降りる風景で、どこか優雅だった。自分の生活の一部になっている景色の美しさに、しばしば心を奪われることがある。毎年、この季節になると、秋の訪れを告げるように心が弾むのだ。

その日は、特に何も予定がなかった。家でゆっくり過ごすつもりだった。朝のシャワーが終わると、冷たい水の感覚がまだ体に残っていた。髪を乾かしながら、何か特別なことをしたいという気持ちが湧いてきた。

ふと思い立ち、私は友人に連絡をすることにした。秋の散歩を提案してみようと思ったのだ。外の空気は、きっと気持ちいいに違いない。友人の佳子は、すぐに「行こう！」と返事をくれた。

午後、私たちは近くの公園に向かうことにした。日差しは温かく、秋の風が心地よく吹いていた。公園に着くと、色づいた木々が並び、その下には落ち葉が絨毯のように広がっていた。歩きながら、二人は思い出話や最近の出来事を語り合った。

「この季節って、毎年やっぱり素敵だよね」と佳子が言った。

「うん、特にこの公園はいつ来ても綺麗だね」と私も同意した。

その時、ふと木の下に座っているおじいさんが目に留まった。彼は、手にしている本を読みながら、ゆったりとした時間を楽しんでいるようだった。私たちはその姿に、自然の一部としての人の暮らしを感じた。

「私もああいう風に、のんびりできる時間が欲しいな」とつぶやくと、佳子は笑って返した。「あの人の年齢になったら、どんなことを考えているんだろうね」

私たちは、そのおじいさんの横を通り過ぎた。彼は微笑んで、軽く頭を下げてくれた。私たちも笑顔を返しながら、また歩き始めた。

しばらく歩くと、池が見えてきた。水面に映る紅葉した木々が、まるで絵画のように美しかった。私たちはしばらくその景色に見入っていた。静寂の中、時折風が吹き、葉が落ちる音が心地よく響く。

「ねえ、ここで写真を撮ろうよ！」佳子が提案した。私も同意し、二人でポーズを決める。カメラを構えた彼女の笑顔に、思わず自分も微笑んだ。その瞬間、どこか心が軽くなった気がした。

公園を後にした後、私たちは近くのカフェで温かい飲み物を楽しむことにした。カフェの窓からは、外の風景が見え、ゆっくりと流れる時間を感じさせてくれた。私たちは色々なことを話し合いながら、温かいココアをすする。

「本当に、いい一日だったね」と私は感謝の気持ちを込めて言った。

「うん、またこういう時間を持とう」と佳子は微笑み返した。

その日は、冷たく感じるシャワーから始まったが、心が温まるような一日になった。水の冷たさが、逆に心を引き締め、秋の魅力に気づかせてくれたのかもしれない。

帰り道、秋の風が吹く中、私の心は満たされていた。何気ない日常の中にも、素敵な瞬間はたくさん隠れているのだと実感した。季節が変わるように、私たちも変わっていく。新しい発見を楽しみながら、これからの季節を迎え入れる準備ができた気がした。