春秋花壇

「春秋花壇」の詩

「春秋花壇」の詩

「春秋花壇、名前はきれいだけど、文字数の10分の1も累計ポイントがない小説なんてごみだろう？」

彼の冷笑が耳に刺さり、わたしの胸に鋭い痛みを走らせた。目の前に立つ彼は、まるで自分が絶対的な正義であるかのように、わたしの作品を一蹴した。彼の言葉は、わたしの心の中で再生され、まるで毒がじわじわと広がるように、わたしの自尊心を侵食していった。

「黙れ。」

わたしは小さく呟いた。だが、彼の嘲笑は止まらなかった。わたしの手が無意識に震え、体中に怒りが込み上げてきた。彼の言葉は、わたしが長い時間をかけて育んできた自信を打ち砕き、心の奥底に眠っていた闇を呼び覚ました。

春秋花壇――このタイトルには、わたしの全てが詰まっていた。四季折々の花が咲き誇る庭園をイメージし、過去と未来が交錯する物語を書き上げた。だが、現実は残酷だった。誰にも読まれることなく、わたしの作品は埋もれていった。努力が報われないことは承知の上だったが、それでも、彼の言葉は耐え難いほどの侮辱だった。

「ごみなんて…」

彼の嘲りの言葉が、頭の中でこだまし続ける。わたしの頭の中で、何かがカチリと音を立てて壊れたような感覚が走った。もう耐えられない。彼の存在そのものが、わたしの中で巨大な影を落とし、その影は日増しに濃くなっていた。

「黙れ。」

再び口を開いたとき、わたしの声は冷たく、無機質だった。わたしは彼に向かって、じっと見つめた。彼の瞳が一瞬、怯えたように揺れ動いたが、すぐにまた嘲笑に変わった。

「お前に何ができるっていうんだ？ただの自己満足の落書きを書いてるだけだろ？」

その瞬間、わたしの中で何かが切れた。わたしは右手を彼に向かって突き出した。何も考えず、ただ本能のままに。次の瞬間、彼は消えていた。まるでその場にいなかったかのように、跡形もなく。

わたしは呆然とその場に立ち尽くした。何が起こったのか理解できず、ただ彼が消えたという事実だけが頭の中で繰り返されていた。恐怖がじわじわと胸の中を満たし始めた。

「わたし…消した…？」

何をどうしたのか、全くわからない。ただ、わたしの心の奥に潜む暗い力が、彼をこの世から消し去ったのだということだけは確信していた。そして、その力を制御できるとは限らないという恐怖が、わたしを襲った。

しばらくして、わたしはゆっくりとその場を離れた。心の中で渦巻く不安と恐怖、そして奇妙な解放感が混ざり合っていた。わたしは何か大きな罪を犯したのではないかという疑念が、後を追ってきた。

数日後、彼のことは誰からも話題にされなくなった。まるで初めから存在しなかったかのように。わたしは日常に戻り、再び「春秋花壇」を書き続けた。しかし、その言葉の一つ一つが、今までとは異なる感覚を持っていた。わたしの書く言葉には、何かが宿っているように感じられた。それは、彼を消してしまったあの瞬間に芽生えたものだった。

「春秋花壇」は、徐々に注目を集め始めた。読者たちは、物語の深さと美しさに魅了され、感動の声を寄せた。わたしはついに、望んでいた評価を手に入れた。しかし、それと同時に、心の中には重い罪悪感が残り続けていた。

「ごみだと言われたからって…こんなことをするつもりはなかった…」

自分に言い聞かせても、その言葉は虚しく響いた。誰にも言えない秘密を抱えながら、わたしは作家として成功を収めていく。しかし、その成功はわたしにとって、決して純粋な喜びではなかった。

「春秋花壇」は、わたしの魂の叫びだった。しかし、その叫びが生み出した力は、恐ろしいものだった。わたしが成し遂げた成功の裏には、取り返しのつかない罪が隠されている。その罪が、いつかわたしを蝕んでいくのではないかという恐怖が、日々わたしを苦しめ続けた。

「黙れ」と言ったあの瞬間、わたしは全てを捨て去った。そして、その代償を払わなければならない日は、必ず来るのだとわかっていた。

春秋花壇――それはわたしの美しい夢であり、同時に恐ろしい悪夢でもあった。