春秋花壇

夏の空

夏の空

7月の終わり、町は真夏の陽射しに包まれていた。空は高く青く、雲ひとつない晴天が広がっていた。町の外れにある小さな公園では、子どもたちの笑い声と元気な遊び声が響き渡っていた。

公園のベンチに座っていたのは、高校生の彩花。彼女は、夏休みの宿題に追われているものの、ふとした瞬間にこの公園に逃げ込むことが多かった。今日もまた、ノートを広げながらも、視線は空に向かっていた。空の青さと太陽のまばゆい光に心が癒され、自然とリラックスしていくのを感じていた。

彩花の横に座るのは、小さな妹の美咲。美咲はまだ小さく、元気いっぱいで、彩花の膝の上に座っている。彼女は、彩花が勉強する横で、自分のお気に入りの絵本を読んでいた。時折、ページをめくりながら、彩花に質問をすることもあった。

「お姉ちゃん、どうして空はこんなに青いの？」美咲が突然尋ねた。

彩花は少し考えた後、微笑みながら答えた。「空が青いのは、空気中の小さな粒子が太陽の光を散らすからだよ。青い光は、他の色の光よりも多く散らされるから、空が青く見えるんだ。」

美咲は納得したようにうなずき、再び絵本に夢中になった。その間に、彩花はふと考え事をしていた。将来のこと、進路のこと、そして何よりも自分が本当にやりたいことがわからないままでいた。青い空を見上げながら、彼女はその自由で広がりのある空間に、自分の未来も自由に広がっているのではないかと感じ始めていた。

そのとき、公園に一人の中年男性が現れた。彼は古びたカメラを持ち、何やら撮影をしていた。彩花の目がその男性に引き寄せられた。彼は周囲の風景をパシャパシャと撮りながら、時折空を見上げていた。彩花は興味津々で、その男性に声をかけてみることに決めた。

「こんにちは。何を撮っているんですか？」彩花が尋ねた。

男性はにっこりと微笑んで、カメラを彩花に向けながら答えた。「こんにちは。今日はこの夏の空の美しさを撮りたいと思っているんです。空は毎日違う表情を見せるから、今日のこの空を記録したくて。」

彩花はその言葉に感動し、男性のカメラのレンズを通して見る空が、さらに美しく感じられた。彼の熱心な姿を見て、自分もその空の一部であることに気づいた。無限に広がる空を前に、自分の未来もまた、自由に選べるのだと感じた。

「お姉ちゃん、空の写真も撮りたい！」美咲が声を上げた。

男性は優しく微笑みながら、美咲にカメラを渡してくれた。美咲は楽しそうにシャッターを切り、何度も何度も空を撮影した。彩花もその様子を見守りながら、自分の心に変化が起きているのを感じていた。

その日の夕暮れ時、彩花と美咲は公園を後にした。空は橙色に染まり、ほんのりとした紫色が混じり始めていた。彩花は心に決めた。これからの自分も、青い空のように広がりのあるものにしようと。未来の選択肢は無限にあり、自分の夢を追い求める勇気を持つことが大切だと感じた。

空はどこまでも広がり、自分たちの可能性もまた、限りなく広がっているのだと、彩花は心に刻みながら、家路を急いだ。

いかがでしたか？夏の空が持つ無限の可能性と、その美しさに触れることで、自分自身を見つめ直すというテーマで書いてみました。