春秋花壇

シャボン玉

シャボン玉

ちいさな ちいさな シャボン玉
ふわふわ ふわふわ 飛んでいく
虹色の ゆめをのせて
どこまでも どこまでも

風にゆられて ゆらめいて
きらきら 光る ちいさな星
消えてしまうの わかってるけど
追いかけて 走っていく

いつか きっと 届くはず
あの ふわふわの シャボン玉
虹色の ゆめをのせて
どこまでも どこまでも

シャボン玉のうた
シャボン玉 飛んで ゆけ
青空 高く たかく
みんなの ねがい のせて
どこまでも とんで ゆけ

ふわふわ ふわふわ ゆらゆら
虹色の ゆめをのせて
消えてしまうの わかってるけど
追いかけて いくよ

いつか きっと 届くはず
あの ふわふわの シャボン玉
虹色の ゆめをのせて
どこまでも とんで ゆけ

シャボン玉
シャボン玉 シャボン玉
まるい まるい シャボン玉
どこへ 行くの シャボン玉
青い 空を 飛んで ゆく

風に乗って どこまでも
みんなの 夢を 乗せて
消えてしまうの わかってるけど
追いかけて いくよ

いつか きっと 届くはず
あの ふわふわの シャボン玉
虹色の 夢を 乗せて
どこまでも 飛んで ゆけ


「しゃぼん玉」

　ある夏の日、町の広場で子どもたちがしゃぼん玉を飛ばして遊んでいた。色とりどりの泡が空を舞い、太陽の光を受けて輝いていた。家族連れやカップルたちも、そんな光景を楽しんでいた。広場の片隅に、少し年配の女性が静かに座っていた。彼女の名前はエリコ。若いころ、彼女もまたこの広場でしゃぼん玉を作って遊んだものだった。

　エリコは今、80歳を超え、少しだけ痩せていたが、目には若かりし日の輝きが残っていた。今日もまた、彼女は小さなしゃぼん玉セットを持っていた。初めての孫が生まれたと聞いてから、エリコはその子に何か特別なものを残したいと考えていた。そして、彼女は昔のようにしゃぼん玉を作ることに決めた。

　彼女の手から生まれるしゃぼん玉は、まるで魔法のようにふわりと空に浮かび上がった。子どもたちはその光景を見て、「わあ！」と歓声を上げた。エリコの周りには、いつの間にか小さな子どもたちが集まり始めた。彼女は笑顔で、しゃぼん玉を作り続けた。

　「おばあちゃん、どうしてしゃぼん玉を作るの？」と、小さな男の子が尋ねた。エリコは微笑んで答えた。「しゃぼん玉は、ただの泡だけど、その中にたくさんの夢が詰まっているのよ。どんなに小さな泡でも、その一瞬の輝きは、とても大切なものなの。」

　男の子は不思議そうに頷いたが、エリコの言葉の意味を完全には理解していなかった。それでも、彼はエリコが作るしゃぼん玉に目を輝かせていた。

　広場にいる人々は、エリコが作るしゃぼん玉の美しさに心を奪われ、自然と周りに集まってきた。中には、昔の自分を思い出し、子どもたちと一緒に遊び始める大人たちもいた。エリコのしゃぼん玉は、見る人々に懐かしさと幸福感をもたらしていた。

　時間が経つにつれて、夕日が広場をオレンジ色に染め始めた。エリコは、しゃぼん玉を作るのを終え、ゆっくりと立ち上がった。子どもたちが彼女に感謝の言葉をかけ、彼女の手を引いて、「また遊びに来てね！」と笑顔で言った。

　エリコは、その言葉に応え、静かに頷いた。広場を見渡すと、しゃぼん玉がまだ空に浮かんでいるのが見えた。彼女は、これまでの人生で体験してきたこと、感じてきたことが、また一つ、未来に残るものとして繋がっていくのを感じていた。

　エリコはゆっくりと家路に着く。陽が沈み始めると、しゃぼん玉の輝きはやがて夜の闇に溶け込んでいくが、その美しい瞬間は心に深く刻まれていった。エリコは、その思い出を胸に、新たな一日を迎える準備を始めた。