春秋花壇

蓮始開 (はすはじめてひらく)

蓮始開 (はすはじめてひらく)

7月12～16日頃

蓮の花が開き始める時期は「蓮始開」と呼ばれます。清らかさの象徴とされるこの花は、仏教やヒンドゥー教など多くの文化において神聖なシンボルとして扱われています。泥水の中で育ちながらもその花びらは汚れなく美しいことから、逆境を乗り越えて悟りを得る人間の精神になぞらえられます。

蓮の花は深夜の闇の中で開き始め、夜明け頃に完全に開きます。しかし、昼を過ぎると再び閉じてしまいます。この神秘的な開花の様子は、古くから人々に深い感動を与えてきました。

鑑賞スポット
蓮始開の時期には、日本各地で蓮の花を鑑賞することができます。以下は有名なスポットです：

上野恩賜公園（東京都）
東京の中心に位置するこの公園は、広大な敷地に美しい蓮池があり、多くの観光客や地元の人々が訪れます。

高知城公園（高知県）
歴史ある高知城を背景に、蓮の花が咲き誇る景色は圧巻です。

糸島半島（福岡県）
自然豊かな糸島半島では、美しい蓮の花と共に素晴らしい海の景色も楽しむことができます。

楽しみ方
蓮の花を鑑賞する以外にも、蓮始開の時期には様々な楽しみ方があります：

蓮根料理を味わう
蓮根は炒め物やスープ、煮物など、幅広い料理に活用できる食材です。この時期には新鮮な蓮根を使った料理を楽しむことができます。

蓮の花祭りに参加する
夏の時期には、各地で蓮の花祭りが開催されます。伝統的な音楽や踊り、食事などを楽しむことができます。

蓮池を散策する
静寂に包まれた蓮池を散策することで、日々の喧騒から離れ、心身を癒すことができます。

大賀ハスの歴史
日本では、2000年以上前の縄文時代から蓮の花が栽培されていたことがわかっています。近年では、2000年の時を超えて蘇った「大賀ハス」が話題となりました。大賀ハスは、東京都豊島区の井の頭池で発掘された蓮の種子から育てられたもので、世界最古の蓮として知られています。

まとめ
「蓮始開」は、美しい花々とともに、人間の精神の強さや希望を象徴する特別な時期です。ぜひこの機会に、蓮の花を鑑賞し、様々な楽しみ方を見つけてみてはいかがでしょうか。

蓮始開についての詳細情報：

時期： 7月12日から7月16日頃（目安）
関連する二十四節気： 小暑（しょうしょ）
象徴： 純潔、美しさ、悟り
活動： 蓮花鑑賞、蓮根料理、蓮の花祭り、蓮池散策
ご質問等ございましたら、お気軽にお尋ねください。

小説「蓮始開の頃」
深夜の闇に包まれた静寂な蓮池。風がそっと吹き、葉がさざめく。夏の夜明け前、蓮の花が静かに開き始めた。

玲子は早朝の散歩が好きだった。特にこの時期、彼女は必ず蓮池を訪れる。幼い頃から祖母に連れられて来ていた場所。祖母が亡くなった今でも、ここは彼女にとって特別な場所だった。

蓮の花は泥の中で育ちながらも、清らかな美しさを保つ。それは玲子にとって、祖母の教えと重なる。「どんな困難な状況でも、自分を失わずに強く美しく生きなさい」と。祖母の言葉が、蓮の花を見るたびに蘇る。

この朝も、玲子は蓮池のほとりで祖母との思い出を振り返りながら、静かに蓮の花の開花を見守った。太陽が昇り、花びらが完全に開くと、玲子の心もまた、新しい希望に満ちていくのを感じた。

この時期、蓮始開の頃。玲子は新たな決意を胸に、今日もまた一歩踏み出すのだった。

蓮始開の美しい季節に、心も新たに希望を見つける物語。玲子のように、蓮の花とともに新しい始まりを迎えてみてはいかがでしょうか。