春秋花壇

ブラックリスト

ブラックリスト

高橋夏美は、東京の賑やかな街並みを見下ろすカフェで、友人の美咲と久しぶりに再会していた。美咲は笑顔を浮かべながらも、最近の恋愛事情に関しては少し疲れた様子を見せていた。

「夏美、最近どう？彼氏とはうまくいってるの？」美咲が尋ねた。

「うん、まぁね。でもさ、美咲、私たちのブラックリストの話、覚えてる？」夏美は少し笑いながら、学生時代に作ったリストのことを思い出した。

「ああ、あのリストね。金ない男、会いに来ない男、女友達多い男、だったっけ？」美咲も微笑んだ。

「そうそう。最近、それが結構当たってるんじゃないかって思うんだ。彼氏、最近あんまり会いに来ないし、なんか忙しいってばかり言うの。でも、SNSでは女友達と楽しそうにしてる写真ばかり。」夏美はため息をついた。

「それはちょっと心配だね。やっぱり、そういうリストって当たることが多いのかもね。私も最近付き合ってた人が、まさにそのブラックリストに全部当てはまってた。」美咲は苦笑いを浮かべた。

「それで、どうしたの？」夏美は興味津々で聞いた。

「別れたよ。やっぱり、信用できないし、いつも不安で仕方なかったから。それに、もっと自分を大事にしなきゃって思ったんだ。」美咲はしっかりとした口調で答えた。

「うん、それが正解だよね。私も、彼氏とちゃんと話してみるよ。もう一度、自分の気持ちを伝えてみて、それでも変わらないなら、考え直すべきかも。」夏美は決意を固めた。

その夜、夏美は彼氏の陽介に電話をかけた。電話の向こうの陽介は、いつものように忙しそうだったが、夏美は勇気を出して話を切り出した。

「陽介、ちょっと話したいことがあるんだけど、いい？」夏美の声は少し震えていたが、意を決して続けた。「最近、あんまり会えてないし、いつも忙しいって言ってるけど、私たちの関係についてどう思ってるの？」

陽介は一瞬黙り込んだが、やがて重い口調で答えた。「夏美、ごめん。正直に言うと、今の仕事が本当に忙しくて、なかなか時間が取れないんだ。でも、君のことは大切に思ってるよ。」

「それは分かってるけど、それならもっと努力して会いに来てほしいし、私も支えになりたい。でも、SNSで他の女友達と楽しそうにしてるのを見ると、正直不安になる。」夏美の声は次第に強くなっていった。

「分かった。これからはもっと君に時間を割くようにするよ。女友達のことも、ちゃんと説明する。夏美を不安にさせてごめんね。」陽介は真摯に答えた。

それから数週間後、陽介は約束通りに夏美との時間を増やし、SNSにも気を使うようになった。夏美も、彼の努力を感じて安心するようになった。

美咲と再びカフェで会ったとき、夏美は笑顔で話した。「彼、ちゃんと変わってくれたよ。ブラックリストって、一つの指標にはなるけど、やっぱり話し合いが大事だね。」

「そうだね。お互いに理解し合うことが、一番大切だと思うよ。」美咲も嬉しそうに頷いた。

夏美と美咲は、これからもお互いの恋愛を支え合いながら、成長していくことを誓った。ブラックリストはあくまで参考に過ぎないが、真の幸せを見つけるための一つのガイドとして、二人の心に刻まれ続けるだろう。