春秋花壇

夏の庭

夏の庭

ペンタス、インパチェンス、ベゴニア、サルビア、葉鶏頭

紫陽花も終わり、カサブランカも終わった

いつもなら、ポーチェラカ、ケイトウ、ルドベキア、ダリア、桔梗

色にあふれる夏の庭も今年はちょっと寂しげ

お金のあるなしがすぐにわかる私の庭

それでも必死に咲き誇っている今のお花たち

ほっこりできる

ありがとう


澄んだ夏の空の下、緑豊かな庭が広がっていた。庭の中央には、鮮やかな色の花々が咲き誇り、風に揺れるその姿はまるで生き物のように美しかった。その庭の一角で、若い女性の声が響いた。

「ここは本当に素敵な場所ね、涼太さん。」

その声の持ち主は、夏美。彼女は地元の大学生で、大学の課題で植物の観察記録を取るためにこの庭を訪れていた。庭の所有者であり、園芸家でもある涼太は、彼女に庭を案内していた。

「ありがとう、夏美さん。この庭は私の誇りなんだ。」

涼太はにこやかに答えた。彼はこの庭を一から作り上げ、多くの時間と労力を注いできた。植物の世話をすることが彼の生きがいだった。

夏美は花壇に咲く色とりどりの花々を見つめ、感動のあまりため息をついた。

「本当に素晴らしいわ。こんなに美しい庭を作り上げるなんて、涼太さんは本当にすごい。」

涼太は照れたように笑い、彼女の横に立った。

「夏美さんが喜んでくれて嬉しいよ。でも、この庭はまだまだ完成形じゃないんだ。毎年少しずつ改良していくのが楽しいんだ。」

「そうなのね。私も少しずつ成長していきたいな。」

二人はしばらく無言で庭を歩き、花々の香りに包まれた。やがて、涼太がふと立ち止まり、夏美の方を向いた。

「夏美さん、もしよかったら、今度一緒に庭の手入れをしないか？君と一緒に働けたら、この庭ももっと素敵になると思うんだ。」

夏美は驚いた表情を見せたが、すぐににこやかにうなずいた。

「もちろん、喜んでお手伝いさせていただくわ。涼太さんの庭作りに少しでも貢献できるなら、こんなに嬉しいことはないもの。」

その日から、夏美は涼太の庭を訪れるようになった。二人は一緒に草花を植え、水をやり、雑草を取る作業に励んだ。時には笑い声が庭に響き渡り、時には真剣に作業に打ち込んだ。

季節が進むにつれ、夏美と涼太の絆も深まっていった。二人はお互いに心の内を打ち明け合い、支え合うようになった。

ある日の夕暮れ、涼太はふと立ち止まり、夏美の手を取った。

「夏美さん、君がこの庭に来てから、庭がもっと生き生きと輝いて見えるんだ。そして、君と一緒に過ごす時間が、僕にとって何よりの喜びなんだ。」

夏美は涼太の瞳を見つめ、優しく微笑んだ。

「涼太さん、私も同じ気持ちよ。この庭で過ごす時間が、私にとってかけがえのないものになったわ。」

涼太は夏美を引き寄せ、そっと抱きしめた。

「夏美さん、これからも一緒に、この庭を育てていこう。そして、僕たちの未来も一緒に作り上げていこう。」

夏美は涼太の胸に顔を埋め、静かにうなずいた。

「はい、涼太さん。これからもずっと、一緒に。」

夏の庭は、二人の愛と努力によって、ますます美しくなっていった。そして、その庭は、二人の心を繋ぐ特別な場所となり、永遠に輝き続けた。