春秋花壇

春秋花壇

文字の大きさ
上 下
296 / 799

星の約束

しおりを挟む
星の約束

昔、天の川には美しい織姫と、輝く彦星が住んでいました。織姫は天界で最も巧みな織り手であり、その織った布はどんな宝石よりも美しく、どんな糸よりも細かかったと言われています。一方、彦星は天界の中でも最も美しい音楽を奏でることができる存在でした。

ある日、織姫は天の川の端で星々の集まりを見ていると、彦星の音楽に心を奪われました。彼の音楽は、空間を超えて心を揺さぶり、織姫の胸に深い感動を与えました。その日から、織姫は毎晩彦星の音楽を聴くことにしました。彼女は織りの腕を磨きながら、彦星の音色に想いを馳せていました。

彦星もまた、織姫の美しい織物に心を奪われました。彼は毎晩、織姫が織り上げる布の美しさに感嘆し、その織姫の手仕事に込められた想いに触れていました。

天の川の岸辺で、織姫と彦星は初めて出会いました。星々の光が二人の間に煌めき、彦星の音楽が風に乗って二人の心を結びました。彼らはお互いの才能と心を讃え合い、次第に深い愛情が芽生えていきました。

しかし、天の川には厳しい掟がありました。織姫と彦星は、天の川を隔てて毎日会うことができない運命にありました。たった一度年に一度、7月7日の七夕の夜だけ、天の川にかかる鳥居を渡り合うことが許されていました。

彦星は愛する織姫とのひとときを楽しみにしていましたが、その日の訪れが遠いように感じました。彼は一年中、織姫を待ち続けました。彦星の音楽は、彼の想いを天の川の彼方まで届けるための歌となりました。

七夕の日、織姫は天の川の鳥居を渡りました。彼女は彦星との再会を心待ちにしましたが、彦星の姿が見当たりませんでした。彼女の織り上げた布を愛おしそうに見つめながら、彦星の音楽が聞こえました。彼は彼女を想い、一生懸命音楽を奏でていたのです。

彼らの愛は、天の川を隔てても変わらず深まりました。彦星は織姫に誓いを立てました。二人がいつか、天の川を超え、永遠に一緒に過ごすことができる日が来るように。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

会社の上司の妻との禁断の関係に溺れた男の物語

六角
恋愛
日本の大都市で働くサラリーマンが、偶然出会った上司の妻に一目惚れしてしまう。彼女に強く引き寄せられるように、彼女との禁断の関係に溺れていく。しかし、会社に知られてしまい、別れを余儀なくされる。彼女との別れに苦しみ、彼女を忘れることができずにいる。彼女との関係は、運命的なものであり、彼女との愛は一生忘れることができない。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

生きる

春秋花壇
現代文学
生きる

ギリシャ神話

春秋花壇
現代文学
ギリシャ神話 プロメテウス 火を盗んで人類に与えたティタン、プロメテウス。 神々の怒りを買って、永遠の苦難に囚われる。 だが、彼の反抗は、人間の自由への讃歌として響き続ける。 ヘラクレス 十二の難行に挑んだ英雄、ヘラクレス。 強大な力と不屈の精神で、困難を乗り越えていく。 彼の勇姿は、人々に希望と勇気を与える。 オルフェウス 美しい歌声で人々を魅了した音楽家、オルフェウス。 愛する妻を冥界から連れ戻そうと試みる。 彼の切ない恋物語は、永遠に語り継がれる。 パンドラの箱 好奇心に負けて禁断の箱を開けてしまったパンドラ。 世界に災厄を解き放ってしまう。 彼女の物語は、人間の愚かさと弱さを教えてくれる。 オデュッセウス 十年間にも及ぶ流浪の旅を続ける英雄、オデュッセウス。 様々な困難に立ち向かいながらも、故郷への帰還を目指す。 彼の冒険は、人生の旅路を象徴している。 イリアス トロイア戦争を題材とした叙事詩。 英雄たちの戦いを壮大なスケールで描き出す。 戦争の悲惨さ、人間の業を描いた作品として名高い。 オデュッセイア オデュッセウスの帰還を題材とした叙事詩。 冒険、愛、家族の絆を描いた作品として愛される。 人間の強さ、弱さ、そして希望を描いた作品。 これらの詩は、古代ギリシャの人々の思想や価値観を反映しています。 神々、英雄、そして人間たちの物語を通して、人生の様々な側面を描いています。 現代でも読み継がれるこれらの詩は、私たちに深い洞察を与えてくれるでしょう。 参考資料 ギリシャ神話 プロメテウス ヘラクレス オルフェウス パンドラ オデュッセウス イリアス オデュッセイア 海精:ネーレーイス/ネーレーイデス(複数) Nereis, Nereides 水精:ナーイアス/ナーイアデス(複数) Naias, Naiades[1] 木精:ドリュアス/ドリュアデス(複数) Dryas, Dryades[1] 山精:オレイアス/オレイアデス(複数) Oread, Oreades 森精:アルセイス/アルセイデス(複数) Alseid, Alseides 谷精:ナパイアー/ナパイアイ(複数) Napaea, Napaeae[1] 冥精:ランパス/ランパデス(複数) Lampas, Lampades

老人

春秋花壇
現代文学
あるところにどんなに頑張っても報われない老人がいました

徒然草

春秋花壇
現代文学
徒然草 つれづれなるままに、日暮らし硯に向かひて、心に移りゆくよしなし事を、そこはかとなく書きつくれば、あやしうこそものぐるほしけれ。

陽だまりの家

春秋花壇
現代文学
幸せな母子家庭、女ばかりの日常

感謝の気持ち

春秋花壇
現代文学
感謝の気持ち

処理中です...