春秋花壇

春秋花壇

文字の大きさ
上 下
293 / 653

七夕の夜空に咲いた恋の物語

しおりを挟む
七夕の夜空に咲いた恋の物語

橋の上から眺める七夕の夜空は、星がきらめき、願い事がかなうという魔法のような雰囲気に包まれていた。人々が織りなす七夕の祭りの中で、彼女はひとり、橋の欄干に寄りかかって空を見上げていた。

彼女の名前は桜子(さくらこ)。美しい七夕の夜にふさわしい名前を持つ彼女は、心に秘めた願いを星空に託していた。大学の学園祭でのバンド演奏の成功、そして音楽と向き合う日々に対する確信が、彼女の願いの中心だった。

「桜子さん、こんばんは。一人で星を見ているんですか?」

背後からの声に振り返ると、そこには同じ大学の同級生である青年が立っていた。軽やかな笑顔を浮かべて、彼女に声をかけてきた。

「あ、太郎くん、こんばんは。はい、ちょっとだけここで星を眺めていました。七夕の夜は特別ですもんね。」

太郎は隣に座り、彼女の隣から星空を見上げた。「そうだね、願い事が叶うといいな。私も何か願い事をしたいけど、まだ何を願おうか迷ってるんだ。」

桜子は微笑みながら、星に向かって静かに語りかけた。「願いごとって、自分の心が一番強く願うことだと思うんです。太郎くんにも、きっと叶う願いが見つかると思いますよ。」

ふたりはしばらくの間、七夕の夜空を見つめて静かに話し合った。彼らの間には、何か特別な気配が漂っているようだった。

その後も、桜子と太郎は共通の友人たちとともに、学園祭の準備やイベントに忙しく過ごした。彼らの関係は、単なる友人以上のものに進展しつつあった。

そして、学園祭当日の夜、桜子はバンドのステージで華々しく歌い、太郎はその演奏を大いに楽しんでいた。ステージを降りた後、ふたりは静かな場所で再び星空を見上げながら、互いの気持ちについて話し合った。

「桜子さん、実はね、私もずっと思っていたんだ。あなたと一緒にいる時間が本当に楽しいんだ。」

桜子は驚きとともに嬉しさを隠しきれない表情で太郎を見つめた。「本当に?私も、太郎くんと一緒にいる時間が特別だって思ってたんです。」

その言葉が、ふたりの間に空気を変えた。七夕の夜の星々が、彼らの願いを叶えるかのように、彼らの間に特別な絆をもたらしたのだった。

その年の七夕の夜、桜子と太郎は特別な場所でお互いに誓いを交わした。星空の下で、彼らの愛はさらに深まり、絆はより強固なものとなっていった。

桜子は太郎の音楽の才能に対する理解と支持を惜しまず、彼の演奏会や音楽活動をサポートした。一方で、太郎も桜子の夢に向かっての努力を応援し、彼女のバンド活動や学業に寄り添った。

時には困難なこともあったが、彼らはお互いの強さと支え合う姿勢でそれを乗り越えていった。桜子は太郎との日々が自分の人生にとって特別なものであることを心から感じていた。

そして、ある秋の日の夕暮れ、二人は桜の咲く公園で散歩していた。太郎は桜子の手を取り、静かに彼女を見つめた。

「桜子、これからもずっと一緒にいたい。君がいるから僕の人生は輝いているんだ。」

桜子は幸せな涙を浮かべながら、頷いた。「私も、太郎くんなしでは考えられない。あなたとなら、どんな未来も怖くない。」

彼らはそこで再度誓いを交わし、互いの手を強く握りしめた。それは七夕の日の願いが、現実の幸せとなって彼らの前に広がっていた証しでもあった。

その後も、桜子と太郎は共に成長し、困難や喜びを共に分かち合いながら歩んでいった。星空の下で始まった物語は、二人の愛と絆を深め、永遠に続く幸せな未来へと導いていったのだった。






しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

体育教師に目を付けられ、理不尽な体罰を受ける女の子

恩知らずなわんこ
現代文学
入学したばかりの女の子が体育の先生から理不尽な体罰をされてしまうお話です。

血と華【短歌集】

手塚エマ
現代文学
恋歌多めの短歌集。 『血』『華』それぞれに所収。

ずっとお友達でいましょうって……。なんか、いい。

すずりはさくらの本棚
現代文学
かわらないために……。とか、。 おたがいに、気付いても、、気付かない振りを続けましょうって、いい。

お兄ちゃんはお医者さん!?

すず。
恋愛
持病持ちの高校1年生の女の子。 如月 陽菜(きさらぎ ひな) 病院が苦手。 如月 陽菜の主治医。25歳。 高橋 翔平(たかはし しょうへい) 内科医の医師。 ※このお話に出てくるものは 現実とは何の関係もございません。 ※治療法、病名など ほぼ知識なしで書かせて頂きました。 お楽しみください♪♪

明鏡の惑い

赤津龍之介
現代文学
浅間山の北麓には、六里ヶ原と呼ばれる高原が広がっている。その高原の一隅に、小さな人造湖が作られた。いつしかそこは照月湖と呼ばれる観光地になった。明るい風と光のなかで水面は揺らめき、それを見つめる少年の心もまた揺れ惑う。賑やかに繰り返される季節の宴。しかし滅亡の足音は迫りつつあった。湖畔に事業を展開した観光会社の栄枯盛衰と、その会社にゆかりの深い家族の没落を通じて、20世紀末の一断面を描く長篇小説の試み。 ※この作品はフィクションです。実在の人物や団体などとは関係ありません。 ※参考文献表は、全24章公開完了後に追加します。 ※明朝体推奨。

【新作へ意見募集中!】『偽りのチャンピオン~元女子プロレスラー新人記者「安稀世」のスクープ日誌VOL.3』

M‐赤井翼
現代文学
元女子プロレスラー新人記者「安稀世」のスクープ日誌の3作目になります。 今回のお題は「闇スポーツ賭博」! この春、メジャーリーグのスーパースターの通訳が起こした「闇スポーツ賭博」事件を覚えていますか? 日本にも海外「ブックメーカー」が多数参入してきています。 その中で「反社」や「海外マフィア」の「闇スポーツ賭博」がネットを中心にはびこっています。 今作は「闇スポーツ賭博」、「デジタルカジノ」を稀世ちゃん達が暴きます。 毎回書いていますが、基本的に「ハッピーエンド」の「明るい小説」にしようと思ってますので、安心して「ゆるーく」お読みください。 今作も、読者さんから希望が多かった、「直さん」、「なつ&陽菜コンビ」も再登場します。 もちろん主役は「稀世ちゃん」です。 このネタは3月から寝かしてきましたがアメリカでの元通訳の裁判は司法取引もあり「はっきりしない」も判決で終わりましたので、小説の中でくらいすっきりしてもらおうと思います! もちろん、話の流れ上、「稀世ちゃん」が「レスラー復帰」しリングの上で暴れます! リング外では「稀世ちゃん」たち「ニコニコ商店街メンバー」も大暴れしますよー! 皆さんからのご意見、感想のメールも募集しまーす! では、10月9日本編スタートです! よーろーひーこー! (⋈◍>◡<◍)。✧♡

手袋片っぽ同士

ゆなこ
現代文学
彼との愛を唄った詩です。

病院の日常

ME[Medical Engineer]
現代文学
物語編 これは病院、「帝都医科大学付属病院」のなかの、日常的な病院の物語である。病院とは、恋愛、青春、友情などのさまざまなストーリーがある。 ※この物語には、登場する患者の状態を分かりやすくするため心電図モニタの画像は入れさせていただきます。 主な登場人物 佐川 浩介(43)帝都医科大学付属病院総合外科医局長 桜井 寛(42)帝都医科大学付属病院総合外科 川野 卓郎(37)帝都医科大学付属病院総合外科 光石 大輔(35)帝都医科大学付属病院総合外科 石川 勇気(33)帝都医科大学付属病院総合外科 藤野 太郎(26)帝都医科大学付属病院総合外科研修医 吉田 秀行(41)帝都医科大学付属病院総合内科医局長 片桐 直之(39)帝都医科大学付属病院総合内科 田原 匠(26)帝都医科大学付属病院総合内科研修医 大石 一生(39)帝都医科大学付属病院救命科医局長 安西 泰彦(35)帝都医科大学付属病院救命科 田中 孝(32)帝都医科大学付属病院救命科 千住 卓郎(35)帝都医科大学付属病院麻酔科医局長 安藤 暁斗(32)帝都医科大学付属病院麻酔科 金沢 太郎(24)帝都医科大学付属病院臨床工学科(ME) 花山 綾香(47)帝都医科大学付属病院看護師長 鈴木 なぎさ(36)帝都医科大学付属病院外科病棟看護主任 工藤 明利(29)帝都医科大学付属病院外科病棟看護師 中山 遥(26)帝都医科大学付属病院外科病棟看護師 木原 美琴(22)帝都医科大学付属病院外科病棟新人看護師 根本 順子(39)帝都医科大学付属病院救命・ICU看護主任 真田 穂乃花(31)帝都医科大学付属病院救命・ICU看護師 小平 愛理(27)帝都医科大学付属病院救命・ICU看護師 中島 美奈(36)帝都医科大学付属病院手術室看護主任 川村 幸子(31)帝都医科大学付属病院手術室看護師 野々村 摩耶(30)帝都医科大学付属病院手術室看護師 沢田 耕太郎(57)帝都医科大学付属病院総合外科兼院長 浜野 ひさし(51)帝都医科大学付属病院総合内科兼副院長 広岡 正(49)帝都医科大学付属病院事務長 医療解説編 医療機器、医療用語の解説を行っています。医療系の学生の勉強になると思います。

処理中です...