春秋花壇

よもぎ餅

夏の午後、おばあちゃんの家の庭は青々としたよもぎの葉で覆われていた。日差しは柔らかく、風は心地よく吹き抜けている。小さな木陰には、おばあちゃんが座るための椅子と、さくらが座るための白い椅子が並べられている。

おばあちゃんは、古くなったまな板の上でよもぎを丁寧に刻んでいる。その手つきは確かで、いつものように優雅である。よもぎの香りが庭に広がり、心地よい空気が心を包んでいる。

さくらはおばあちゃんの傍らで、小さな包丁を持ってよもぎの葉を切っている。彼女の顔には興奮と期待が溢れ、真剣な表情で作業に取り組んでいる。

庭の隅には、よもぎを摘みに出かけたときに見つけた小さな兎の家がある。そこからは時々、うさぎたちのかわいい鳴き声が聞こえる。さくらはその声に耳を傾け、微笑みながら仕事を続ける。

風がそよそよと吹き、木々の葉がそっと揺れる。小さな鳥たちが木の枝でさえずり、庭の空気は活気に満ちている。

おばあちゃんの手元には、刻んだよもぎと米が丁寧に並べられ、その間には蒸気が立ち上っている。その光景はまるで絵画のようで、静けさと喜びが共存している。

ほのかな夕日が庭に降り注ぎ、光と影が織りなす美しい模様が地面に広がる。その中でおばあちゃんとさくらは、よもぎ餅作りに没頭し、心温まるひとときを過ごしている。


よもぎ餅


田舎の小さなおばあちゃんの家には、いつもほんのりと甘いよもぎ餅の香りが漂っていた。その家には、季節ごとに美味しいものがたくさん作られていて、特によもぎ餅は家族や近所の人々にとっての楽しみだった。

ある日、小さな女の子がおばあちゃんの家を訪ねてきた。彼女の名前はさくらで、きらきらとした笑顔が印象的だった。おばあちゃんはさくらを温かく迎え、一緒によもぎ餅を作ることにした。

まず、おばあちゃんは丁寧によもぎを摘み取り、綺麗に洗った。そして、さくらによもぎの葉っぱを刻む手伝いをしてもらった。さくらは初めての体験に興味津々で、真剣な表情で葉っぱを切っていった。

次に、おばあちゃんはもち米を研ぎ、蒸す準備をした。蒸される米の香りが広がり、部屋中に満ちていく。そんな中、さくらは大きな目を輝かせながらおばあちゃんの手元を見つめていた。

そして、蒸したもち米とよもぎを混ぜ合わせ、丸めて餅に仕上げる作業が始まった。おばあちゃんの手つきは優しく、丁寧で、その様子を見ているだけで心が和んだ。さくらもおばあちゃんの真似をしながら、一生懸命に餅を作っていた。

完成したよもぎ餅は、ほんのりと緑色がかった美しい色をしていて、その香りはますます豊かになっていた。おばあちゃんとさくらは、一緒にテーブルに座り、よもぎ餅を食べながら楽しいひとときを過ごした。その時の笑顔は、誰もが心温まる光景だった。

その日以来、さくらはおばあちゃんの家によく遊びに行くようになった。そして、二人でよもぎ餅を作る楽しい時間が彼女の大切な思い出となっていった。そのよもぎ餅は、家族や友人たちとの絆を深める特別な存在として、いつも心の中に残ることだろう。


おばあちゃんの顔には、優しい微笑みが浮かび、目の奥には幸せが宿っている。彼女は孫のさくらと一緒に過ごすこの時間を心から楽しんでいる。手にはよもぎの香りが漂い、作業の一瞬一瞬が愛おしく感じられる。

さくらの顔には、興奮と喜びが溢れている。彼女はおばあちゃんとの時間を大切にし、彼女の手際の良さや優しさに感謝している。よもぎ餅を一緒に作ることが、彼女にとって特別な体験であり、幸せな思い出になることを心から願っている。

庭の中で漂う穏やかな風に包まれながら、二人は笑顔で作業を続ける。彼らの心は、よもぎの香りや自然の音に包まれながら、深い絆で結ばれていることを感じている。このひとときが永遠に続けばいいと願いながら、彼らは幸せな時間を共有しているのだ。