春秋花壇

兼愛無私(けんあいむし)

兼愛無私(けんあいむし)

昔々、ある村に善良で心優しい老人が住んでいました。彼の名前は田中兼愛（かねあい）といい、村の人々からは「兼愛じいさん」と呼ばれていました。

兼愛じいさんは貧しいが、誰に対しても親切で、自分の利益よりも他人の幸福を願う心を持っていました。村の子供たちは彼のことを慕い、彼の話を聞くためによく彼の家を訪れました。

ある日、村に突然豪雨が降り始めました。川が氾濫し、村の住民たちは家を避難しましたが、兼愛じいさんだけが自分の家に残りました。彼は灯りを灯し、雨宿りに来た人々に食べ物や温かい布団を提供しました。

その夜、村の中心部は洪水に覆われ、多くの家が流されました。幸いにも、兼愛じいさんの家は洪水に耐え、避難民たちは彼の家で安全に過ごすことができました。

その後も、兼愛じいさんは村の人々に親切に接し続けました。彼は自分の持ち物を他人と分け合い、困っている人々を助けるために自分の時間と労力を惜しまなかったのです。

兼愛じいさんの行動は村の人々に感動を与え、彼らも彼の行動に倣いました。村の人々はお互いに助け合い、困難な状況を乗り越えました。

そしてある日、村の若者たちが集まって兼愛じいさんに感謝の意を表しました。彼らはじいさんの前でひざまずき、彼の無私の行動に感謝の言葉を贈りました。

その時、一人の若者が立ち上がり、声を強く震わせながら言いました。「兼愛じいさん、あなたのような心優しい人がこの村にいてくれて本当に幸せです。私たちはみんな、あなたのように他人を思いやる心を持ちたいと思います。」

兼愛じいさんは謙虚に微笑みながら、若者たちに言いました。「私はただ、皆さんが幸せになることを願っているだけです。そして、皆さんが同じように他人を助け、愛し合うことで、この世界がより良い場所になると信じています。」

その後も、兼愛じいさんは村の人々に愛と思いやりを示し続けました。彼の行動は、人々の心に深く刻まれ、村はより幸せな場所になりました。

「兼愛無私」は、人々を区別なく広く愛すること、またはその思想を意味する四字熟語です。