悪役令嬢は婚約破棄されたので白、回復、状態異常解除魔法を極めます。

魔法を極めるための第一歩

「魔法を極めるための第一歩」

ステファニーは一歩踏み出すことに決めた。王都を離れ、冒険者ギルドに登録したのは、あくまで自分の力を試すため、そしてその力を最も必要とする人々に役立てるためだった。彼女の決意は固かったが、実際のところ、魔法の力をどれだけ活用できるのかは自分でもわからないままだった。

ギルドの建物は賑やかで、冒険者たちが次々と仕事を受けるために集まっていた。ステファニーはギルドの掲示板を見て、どこから手をつけるべきか考えていた。依頼の内容はさまざまで、怪物退治や護衛依頼が多い中、初心者向けの依頼もいくつかあった。その中で、目を引いたのは「薬草取り」という依頼だった。

「まずは1でも参加できる薬草取りからかな？」

ステファニーは小さくつぶやくと、ギルドのスタッフにその依頼を取りたい旨を伝えた。スタッフは少し驚いた表情を見せたが、すぐに笑顔で承諾し、依頼内容を説明してくれた。

「薬草は森の近くに生えているんです。基本的には薬草を摘んで持って帰るだけの簡単な仕事ですが、森には危険な生物もいるので気をつけてください。特に初心者の方には、おすすめの場所をご案内します。」

ステファニーは頷き、必要な道具を受け取ると、早速その場所へ向かうことにした。心の中では、少しの不安と期待が入り混じっていた。だが、今はただ前に進むしかない。

森に到着したステファニーは、まずは薬草を探し始めた。辺りには様々な植物が茂っており、どれが薬草で、どれがただの草なのか、最初は全く分からなかった。しかし、彼女はすぐにそれを感じ取るようになった。微かな魔力の揺らぎや、薬草の葉の質感が、彼女の手に馴染んでいったのだ。

「これだ…！」

ステファニーはついに、薬草を見つけた。赤い小さな花が咲いたその草を慎重に摘み取る。手に取った瞬間、その草が彼女に微かな癒しの魔力を感じさせた。以前、王都で治療に使われた薬草にも似た感覚だった。

その後も順調に薬草を集め、無事に依頼を終わらせることができた。帰り道、ギルドに戻ったステファニーは、達成感とともに何か新しい力が自分に宿ったことを感じていた。

「これが、私の力…。少しずつでも進んでいるんだ。」

次の依頼をどうするか考えながら、ステファニーは自分の成長を実感していた。ゲームのように表示されるステータスや特技はないけれど、彼女は確かに何かが変わり始めているのを感じていた。