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スタイリッシュにおっさん 決めてみた!! フルネームを知らない子供たち

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「諒ちゃん、たいへーん」

「どうした?みんと」

「みるくちゃんの主人格が達也さんを食べちゃったって」

「あらまー、やっぱり」

「知ってるの?」

「いや、たとえ、みるくちゃんが消えて、遊ちゃんになっても、

習慣が変わらなきゃみるくちゃんと同じように

体も心もぼろぼろになるだけ」

「たとえば、どんなうふに変わればよかったの?」

「そうだな、たとえ達也君が朝まで起きて、何かやってても

自分は10から2時までは寝ると決めてるんなら、

起きて待ってないとか」

「ああああ」

「そうそう、それそれ」

「直接の原因は、小説の出来上がる時間が

ここのところ、2日間、朝の4時とか5時過ぎで、

遊ちゃんは、徹夜で待っていたらしいの」

「やっぱり」

「で、達也さんはその後眠ってしまうんだけど、

遊ちゃんはラジオ体操やガス会社の工事とかで

そのまま徹夜だったらしくて、やっぱり倒れてしまったらしい」

「うーん」

「己を貫きたかったら、強靭な肉体と精神。

それがないなら、分を知る」

「そうね、わたしも気をつけよう」

「さて、わたしたちはわたしたちのよい習慣を身につけよう」

「はーい」

達也は感謝行トイレ掃除を始めた。

みんとは、感謝行風呂場掃除を。

そして、二人でニコニコしながら笑顔歯磨き。

そして、ラジオ体操をしている。

今日の朝食は、手抜きだと諒は笑って言う。

昨日のパンプキンシチューに生クリームをいれて伸ばしたポタージュ、

野菜サラダと、トースト、目玉焼きだ。

「ラジオ体操の後のご飯、おいしい」

「気持ちがいいよな、体を動かした後」

食事が終わると、お茶を飲みながら、遊ちゃんが書いた小説を

ネットで読んでいる。

「この表現面白い」

「あの子、奇想天外よね」

「あはは、ずぼらなところがまたいい」

「文章も美しくはないんだけど、ちょっと変わってるのよね」

「興味のない題材でもなんか読み安いんだよな」

「そうね、あなたの言うとおりね」

「みんと、結婚してくれてありがとう」

「諒ちゃんもありがとう」

「今日は上板橋体育館に自転車で行こうか」

「はーい、楽しそう」

運動不足にならないように、二人はできるだけ、

歩いたり、サイクリングしたり、体育館にいったりしていた。

冬休みももうすぐ終わり、いくつかの公園で、

子供たちが楽しそうに遊んでいる。

途中の花屋で、二人がお花を見ていると、

自転車に二人乗りをした高校生らしきお嬢さんが通った。

まあ、どこにでもいるような感じの子達。

諒はなんとなく二人を見ていた。

すると、突然、妙な音がして、自転車が倒れた。

前で運転していた子は、後ろの子の悲鳴にも近い声に

あたふたとしてる。

諒は駆け寄ると、とりあえず自転車を道路の脇に移動した。

後ろに乗っていた子は、足を押さえて転がっている。

前の子の安全を確認すると、後ろの子をとりあえず、

道の脇におぶって移動させた。

足が、車輪に巻き込まれたみたいだ。

「みんと、救急車」

「はい」

みんとは、スマホで119番に連絡した。

諒は、出血がないことを確かめて、

自転車に入っていたブルーシートを道路に脇に敷いた。

そこに女の子を移動させると、救急車を待っている。

お花屋さんにいた人たちも心配そうに見にきた。

自分たちの自転車を確認すると、

前に乗っていた子に、

「この子のおうちの電話わかる?」

と、聞いている。

「ううん、フルネームも知らない」

「え、お友達でしょう」

「うん、幼馴染だけど、知らない」

今の子は、フルネームを知らない子が多いと聞いた。

個人情報の安全のために、子供たちの安全のために、

小学生が登下校時に名札を着けない。

連絡網を作らない動きが加速していて、

これまたフルネームを知らない。

住所録も作らない方針と

自治体は教員に対して「自宅の住所・電話番号を教えないように」

との通達を出ているので、余計にフルネームを知らない。

何年も一緒に学校に通った仲なのに、

フルネームを知らないは実際によくある話のようだ。

まもなく、救急車が到着した。

女の子の搬送先もすぐに決まった。

ご両親にも連絡が取れたようだ。

無事に救急車が動き出すのを確認して、

諒たちは体育館に向かった。

「びっくりしたね」

「名前も住所も知らない子と遊んでいるのね」

「こわいね」

不思議な世の中になったものである。

明るい広い城北公園のそばに上板橋体育館はある。

二人は、有酸素運動を兼ねて、競歩で歩き始めた。

心が変われば行動が変わる。
行動が変われば習慣が変わる。

習慣が変われば人格が変わる。
人格が変われば運命が変わる。

習慣がその人の人生を変える。

木々はすっかり冬支度で、

その葉を落として、曇った空に向かって微笑んでいる。

東京7℃。今にも泣き出しそうな空を見て、

「帰り、王将にでも寄っていくか」

と、仲むつまじい二人。

コミュケーションは結婚生活を円滑にする。

楽しんでください。


スタイリッシュにおっさん 決めてみたぜ!!







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